AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

「今」のその先

トロピカル~ジュ!プリキュア

第34話「夢は無限大! 大人になったら何になる?」

感想レビュー

 

 

冒頭の前回のあらすじが第32話のさんごのファッションショーのシーンから始まったので「あ、やっぱ前回のキメたようなひと時は夢の出来事だったんだな...」と思ったけど、さんごの「くるるんも何かになるのかなぁ」という言葉に反応したあすか先輩が何故か筋骨隆々のくるるんをイメージしてたのを見るに、前回の異様なテンション感が時空を越えてみんなの思考に影響を与えてるような気がしてならない もう終わったんだよ!!

 

「大人になったら何になる?」について、まなつ達が見つめる展開が描かれた今回のエピソード。所謂“将来の夢”的なテーマの話であり、今までのプリキュアシリーズでも中盤以降取り上げることの多いところではあったけど、「今一番大事なことをやる」がメインテーマとなっている本作においては、少し先の自分の未来について考えるという部分を取り上げるのはちょっとした特別感がありましたね。

 

前半は、将来について見据えるための指針としてみんなでまなつママやまなつパパの話を聞きに行く流れに。ここでは2人が今の自分に至るまでには色んな夢や目標を抱いたりしたということを語る流れを通じて、人生とは、思い描いた通りに行かなかったり、他の何かに惹かれて寄り道したり、色々経験した末にやっぱり自分はこれがやりたいのだと元の所へ戻ってきたり、となりたい自分や為したいことを見つめ、時に移ろいながらも気付いたら自分の道や居場所を見つけているようなものなのだということを語りかけるように描いており、そして引いては、「若いということはそうして色々考えたりやったりする時間や機会が沢山あり、それを通じて何にでもなれる大きな可能性を持ってるということ」であり、一途に突き進むも良し、目移りしながら色々なものに触れていくも良し、迷い悩みながら自分の信じるものや良いと思ったものにどんどん飛び込んで行くと良い、と子供達・若者達を激励するメッセージ性を濃く含んだ実に良い展開になっていたなと感じました。まなつパパみたく色々あっちこっちに揺れ動いた末にしっくりくるものを見つけることも、まなつママみたく目指していた夢に思うように届かなくてちょっとした挫折を味わいつつ他に何か鮮烈な経験を経てそこにグッと惹きつけられ最終的にそこを目指すようになったりすることも、等しく自分にとっての良い道・目標へと繋がっているので、そういうのどんどん経験していつの日にか見つけられるよう探し進み続ければ良いのよなきっと ここはなんか、大人になって大学や社会人とかを経験した今の自分の身だからこそ沁み入るものもあって、とても良いメッセージ性の込め方だったなぁと

ちなみにまなつパパが子供の頃抱いていた「消防“車”になる」という夢、ちょっとしたギャグかと思いきや、視聴者の方々の反応を見ると自分が小さい頃同じ夢持ってたとか、小さい頃の友人がそういう夢持ってたとかいう話がけっこう沢山見られて驚いたわね...まぁ「はたらく車」なる歌もあるし、色んなところで活躍する車のカッコ良さに憧れるのもなんか分かるかもなぁ まなつパパに関しても「故郷の島には無かった消防車のことをテレビで知って憧れた」という感じでしっかりバックが示されてたしね

 

そうして最初は自分が大人になってやりたいことに悩んでたまなつが、 そんな両親の言葉を受けて見つけた答えが「大人になったその時の私が一番なりたいものになる」だったのは、今一番大事だと思うことをやる、を地で行くまなつらしい良い答えだったなぁと感じられ、とてもグッときましたね。やりたいことや大事だと思うものが沢山ある「今」を大切にしていくという想いを貫き、大事だと思うことに向き合っていく「今」を常に積み重ねていくことで、その先の大人になった未来では自分が一番大事だと思ったことに突き進んでいけるようにしようというところに至ったのは、夏海まなつという1人の人間の一つの極致を見たりって感じがしました。それを明るく言い切り決意できる爽やかさもまなつらしいというか、トロプリらしくて良い展開運びでした

まなつ以外にも、既にこれと決めた夢や進路を強くイメージしているさんごやローラが、今回の話を経てそれを更にグレードアップさせたりもっとやりたいことを織り込んだりする形でいっそう前を向く様街頭のテニスの広告を見つめるあすか先輩や家であの文集を手に想いを巡らすみのりん先輩など、先輩組が自分のかつて目指した夢と改めて向き合う姿など、今回の話を踏まえた上で自分の将来なりたいもの・やりたいことにみんなが向き合っていく姿も印象的でした。後者の2人は最近のメイン回を経てからも後々まだもう少し掘り下げられそうな感じはあったし、終盤に向けこの自身に夢や目標というところを軸にそれぞれのドラマがどう活かされていくかは凄く楽しみになるなぁ

 

と、大人になってからの自分を思い描くまなつ達との対比になるようにして、大人になることへの嫌悪みたいな感情をより強く滾らせるエルダの姿が描かれていたのも今回も見所でありました。「みんな勝手に大人になって自分を置いていく」という台詞からの考察として見られた意見の一つに「エルダは長命の種族故に子供の期間が長く、一緒に楽しいことをやる友達がみんな先に大人になって行ってしまうので、自分もそうなってしまうのが嫌/怖い」みたいなものがあったけど、たしかに大人というものに夢や希望を抱いてないことが濃く窺えた今回の態度からしてもだいぶあり得るかもなぁ...自分はエルダについて「長命の種族故に既に良い大人なんだけど、子供の方が良いのでずっと子供として振る舞ってる」的な考察を前にしてた覚えがあるけど、長命だからまだ子供、というアプローチには思い至らなかったし目から鱗だったなぁこれは だんだんキャラの細かい部分が掘り下げられてきたし、まなつの言葉に揺らぐ場面が見られたしで、3幹部の中だと今後の描写が一番楽しみだなエルダ

 

そんなエルダは今回バトラーさんと喧嘩して家出したという流れになっており、やる気パワーを集めるまで戻らないとバトラーさんと口論になったというのを心配してチョンギーレさんとヌメリー姐さんがめちゃくちゃ気を回してくれてたのも印象的でした。家出したエルダにこっそり会いに行った上でヤラネーダの球を渡し、戻れるよう頑張ってこいよと多くは言わず後押しするチョンギーレさんといい、失敗してしまった手前戻るのが気まずそうなエルダを迎えに来て、 貯めておいてやる気パワーをあげてちゃんと戻れるようにしてあげるヌメリー姐さんといい、2人がもう完全にお父さんとお母さんすぎて超微笑ましかったんだよな...w 意地と気まずさの間でもじもじしてる娘を応援するパパと、最後には優しく受け入れるママって感じで雰囲気が敵幹部と思えないほど凄く温かなんよほんま 家出直後のエルダを心配して2人で話してるシーンの絵面とか疑いようもないほどに夫婦のそれだしさぁ() 

何度も言ってるけどこの3人やってること的にも純粋に善人ということはないんだけど、やっぱり少なくとも気の良い人達ではあるのよ 憎めなさすぎるしゆくゆくは絶対幸せになって欲しいなぁ...終盤に差し掛かってもないのにこういうのをハッキリ言っちゃうのもちとアレだけど、どうかプリキュア達との和解ルートに行って平和に収まってと強く願ってるわ

 

最後には、女王になる夢を一心に見据えるローラにみんなが「ローラが女王になってもずっと友達でいる」という夢を加え、全員で想いを一つにするところで締め。プリキュアシリーズで「何があってもこれからもずっと友達」という言葉が用いられると、別の世界の仲間とのいつか来るお別れの時も近いんだなぁ、というのが感じられて少ししんみり来るところなんだけど、トロプリでも遂にこの流れが来たなぁ...この辺にも前述した「少し先の未来について考える」という今回の話に通ずるテーマ性が感じられ、一貫性があって良いなと
まぁここで明るく「ずっと友達!」とみんなで強く言い切る辺りの気持ち良さはトロプリらしくて良きでしたね これならば最後もあまり湿っぽくはならないかもねと明るい気持ちになれる

ともあれ、そのいつかが本作ではどのように描かれるのか、しっかり見届けるためにもこの物語を最後までしっかり追いかけようと思います

 

 

以上、トロプリ34話でした。「今を全力で楽しむ」的なテーマの本作において「少し先の未来を見据える」というところを取り上げつつも、作品の軸をブレさせることなく気持ちの良い答えを示した良きストーリーでした。子供達へ向けたメッセージ高めの流れが実に味わい深かった。終盤に向けての布石みたいな要素も細かく散りばめられ、メイン構成らしく横谷さんの細やかなストーリー運びが光ったなと 実際そろそろクライマックスに向けて本郷猛が入っていく頃ではあるだろうし、我々も見守っていきましょう

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた