AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

紅鶴と白鳥

トロピカル~ジュ!プリキュア

第38話「決めろ! あすかの友情スマッシュ!」

感想レビュー

 

 

タラバガニはカニと名付けられてはいますが、実際のところは生物分類学上ヤドカリ下目に分類される、要するにヤドカリの仲間なのです 知ってる人もいるかと思うけど覚えてて損はないので覚えておこうな!

と、やたらリアルなタラバガニが出てきたので知識をひけらかしておきました

 

長きに渡りトロプリの物語の軸の一つとして描かれてきたあすか先輩と生徒会長の関係性を追うストーリー、今回はその最終章たるエピソードとなっていました。前回のまなつとローラの関係性も凄く濃かったけど今回も女児アニメのそれとは思えない濃密さでかなり感嘆させられましたね...

 

そんな今回の話の中でも大きく目を惹いたのはやはり、生徒会長のあすか先輩への想いの描写でした。かつてのテニス部での事件以来、あすか先輩と険悪な様子が描かれ続けていた会長でしたが、その実、心の中ではかつて一緒に切磋琢磨したあすか先輩とまた一緒にテニスがしたいと純粋に思い続けており、あすか先輩に頑なな態度を取っていたのも、考えを曲げなかったためにテニスや自分から遠ざかっていってしまったあすか先輩へのもどかしさが根底にあったから、など、あすか先輩との切れない友情の強さの程が表情等の繊細な感情表現によって描かれていて引き込まれましたね。普段クールな振る舞いが多いけど、あすか先輩のことでああして物凄く感情的になる辺りに思い入れの強さが感じられたね

それでいてあすか先輩とまたテニスがしたいという想いから、あすか先輩が自分とテニスで勝負して勝ったら、大きな実績を持ったテニス部を有する進学校への自分のスポーツ推薦をあすか先輩に譲るとまで言い切る(+自分は自力で入学する、 と宣言)、という自分の人生さえ賭けるかのような大胆な行動にまで出ていて、マジに生徒会長のあすか先輩へ抱く感情とてつもなくデカいよな...となった その想いを今まで隠しつつも、胸中ではずっと純粋に願いつづけてたんだろうなぁ それに今回のこの行動、推薦を貰った自分に勝ったならばあすか先輩は推薦を譲っても文句は無いと思われるだろう、というとこまで考えてた感じだったけど、それって「あすかならきっと勝つ」的な信頼まで込みでないと賭けられないだろうし、あすか先輩の情熱や実力への理解がほんとに強い

 

そして前の卒業旅行の回で仄めかされてこそいたけど、あそこであすか先輩がプリキュアなことにも気付いていたことが語られましたね。無言で肯定するあすか先輩の画がまた沁みた 

その上でテニスの対決中にヤラネーダが現れた時には、戦いに行こうとするであろうあすか先輩を「今は自分との勝負を続けて欲しい」と引き止めていて、この「今は他の誰かのことよりも、自分に勝ってまた一緒にテニスで頑張ることのできる道を選んで欲しい」と遠回しに訴えるような姿は、1人の大切な友達に対する必死の我儘を絞り出してるって感じがして凄く胸を打つものがありました 今まで生徒みんなを想う厳格な生徒会長としての振る舞いが目を惹いてた分、ここでこういうことをあすか先輩に対して訴える様がより響いたなぁ

 

そんな想いをぶつけるかの如く繰り広げられたあすか先輩と生徒会長のテニス対決のシーン、話の流れ的にも凄く熱量高くて引き込まれたなぁ...打ち合いしてる中で一緒のテニスしてた頃のお互いのことを言い合ったりもしていて、お互いに好きだったテニスを通じ、険悪な関係が解れまた対等な関係へと近付いていく的な流れが王道ながらも熱かったね

中でも「ずっと一緒にテニスがしたかった!」って言ってスマッシュ打つ生徒会長の寄りのカットと、それを聞いてハッとなったあすか先輩の表情の寄りのカットは特にめちゃくちゃ作画に気合いが入ってて、キャラの感情が凄く強く伝わってきて良かった 他のシーンのキャラの作画がたまに怪しいこともあったけどここにリソース割いたからなのもあったのかしら

 

と、生徒会長の友達としての自分への想いを受け止めたあすか先輩だったけど、その上で「あの時も仲間として一緒に戦って欲しかった」と過去のテニス部の一件についての想いをあすか先輩自身も生徒会長にハッキリと伝え、 プリキュアとして戦いに行くよりも自分との勝負を続けて欲しいと願う会長には、大切な仲間と一緒に戦うことが今の自分には一番大切なこと、と優しく語りかけるなどしていて、こっちも1人の友人としてやっと生徒会長に改めて向き合えたな...と凄くグッときました。お互いに自分の本当の気持ちを伝えたり、相手の気持ちに気付けたりできて、壁がしっかりと取り払われたって感じがあったな

また上記の自分を説得し引き止めようとする会長の下をあすか先輩が自分の想いを貫き後にしていくというシーンが、一緒にテニスを続けることを選ぶ会長とそれを振り払うあすか先輩、という構図の共通性というところでかつて2人が決別することになったテニス部の一件でのやり取りと絵面的に類比するものでありつつも、かつてのテニス部の一件が自分に寄り添ってくれない生徒会長をはじめとした仲間達への失望から「仲間」を拒絶しあすか先輩が去っていったネガティブなものだったのに対し、今回はあすか先輩が自分に仲間の尊さやまたテニスをやろうと思う気持ちを思い出させてくれたトロピカる部の「仲間」の為に向かっていくという前向きな流れになっている、という対比も組み込んでいたのがあすか先輩の変化・成長の極地を描くとても胸が熱くなるものだったのが良かったなと。あすか先輩がまなつ達と築いてきたものが沁み入る形で感じられたね...
一方で、どちらにおいてもあすか先輩が自分の想いに反し仲間のことに拘り道を進んだことへの複雑な想いを抱いていそうな様を見せた生徒会長の姿は少し切なかったね...過去の傷を超えてあすか先輩が前向きになれたことへの嬉しさもあったかもだけどね...

けれどあすか先輩もちゃんと生徒会長の想いは受け止めていて、自分の力でちゃんと生徒会長と同じ高校に行ってまた一緒にテニスがやれるようにすると、進路志望票のカットなどで言葉少なに示す様をラストの締めに見せていたのがまた熱かったですね。進みべき道は決めていたけど自分の覚悟が足りているかを見極めたくて躊躇っていた、というところで、自分のテニスや仲間に対する強い気持ちを改めて実感させてくれた生徒会長への想いもあったのかもなと

ともかくこの一件を経て2人がちゃんと笑顔でまた話せるようになったのほんと良かったね...生徒会長もあすか先輩の気持ちにちゃんと気付いていて、待っているとでも言わんばかりに微笑んで見つめる姿が最高に素敵だった 良かった...

 

以上、トロプリ第38話でした。あすか先輩と生徒会長の関係性、あすか先輩がトロピカる部の仲間達と築いてきたもの、そして仲間への想いなど、様々な要素を気持ち良く劇的に昇華した素晴らしいエピでした。あすか先輩絡みの諸々はトロプリの一つの見所だっただけにこうして凄く良い形でまとめ上げてくれたのはとても嬉しかったね クライマックスに向けての一つの整理がついたという意味でもとても良かったなと

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた