AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

命に値札を付けろ

漫画「裏バイト:逃亡禁止」

プレゼン&傑作選紹介

 

 

皆様、突然ではありますが「裏バイト:逃亡禁止」なる漫画をご存じでしょうか

当作品はマンガアプリマンガワンおよび漫画配信サイト裏サンデーにて現在絶賛連載中の田口翔太郎先生作のホラー漫画で、「精密な作画と鋭く尖ったホラー演出(編集者さん談)」を特徴として大きな注目を集めその後重版も決定、更に「次にくるマンガ大賞2021」のWebマンガ部門で5位に入賞するなど人気をぐんぐんと高めている話題作であります。

この度の2022年2月10日に最新第6巻も発売される運びとなった当作品でありますが、後追いながらその存在を知って一気にハマり作品の一ファンとなっていった私としても今の流れは非常に嬉しい限り(ちなみに私が当作品を知ったきっかけは、ふと見ていたアニヲタwikiに掲載されていた当作品の記事を読んで興味を抱いたのがきっかけ。現在の記事の内容は当時とは変わった部分も多いですが、作品についてかなり緻密に、 且つ分かりやすくまとめてあってあるファンからは「実質ファンサイト」とまで言われてる良記事なので、興味があれば是非)。というわけでいずれアニメ化(ドラマ化を望む声も多く見かけますね)も夢ではないと大きな期待を寄せている身としては、勢いに乗りに乗っている今このタイミングでしっかりと作品を推して人気をさらに押し上げていけるように(そして今のうちに目をつけてたアピールをしといていずれアニメ化とかされた時に「私は必ずやってくれると信じてたんですよ...」と新規の方達に先輩ヅラができるように)、ここで作品の魅力と個人的傑作エピソードのプレゼンなんかをさせていただこうかなと。是非是非お付き合いを。そしてお前らもこっちに来い...(誘い)

 

↓「裏サンデー」の本作掲載ページ。この時点で興味を抱かれた方は是非に。

裏バイト:逃亡禁止|裏サンデー

↓「マンガワン」アプリのインストールページ。「連載」の土曜の項に本作が掲載されてます。先読みの利用で裏サンデーより1話先を読むこともできてお得なのでこちらも是非

‎「マンガワン-小学館のオリジナル漫画を毎日配信」をApp Storeで

↓本作のPV

SNS大反響ホラー『裏バイト:逃亡禁止』PV - YouTube

 

裏バイト。
それは合法違法含むグレーゾーンの高額報酬アルバイト。
その金は、あなたの命の値段。

とある事情で大金を求める黒嶺ユメと白浜和美の2人は、
軽い気持ちで裏バイトに手を染めていく――。

(※「裏バイト:逃亡禁止」作品紹介文より引用)

というのが本作のざっくりとしたあらすじ。ガサツで少々粗暴ながらもここぞの思い切りの良さと捨てきれない人情味を持った女性・白浜和美社交的で人に寄り添う心優しい性格をしているものの身に迫る危険を「匂い」で感知する力を持つ故に恐怖が絶えない女性・黒嶺ユメという2人の女性を主人公に据え、2人が高額な報酬が受け取れる一方で不条理極まる怪異やそれを利用する人間の悪意が常に命を脅かす様々な裏の仕事「裏バイト」に飛び込み、互いの信頼と力を支えに危機を乗り越えながら報酬を手にしていく...という内容のストーリーになっております。

 

そんな本作、ちょっとした縦軸は存在しつつも基本は前中後編の3話構成(たまに前後編や単発、ごく稀に4、5話構成もある)で1エピソードを成す話が順々に繰り出されるというオムニバス的な形式の構成となっているのですが、そこで登場するバラエティ豊かな怪異が織り成す不気味で奇怪なストーリーの独特の雰囲気、そしてその多彩さこそがまず第一に挙げられる本作最大の魅力。オーソドックスに怨念溢れる悪霊をはじめ、人知を逸脱した超常的な別の次元の存在、先にも述べた怪異の存在を利用し蜜を啜る人間達のドス黒い悪意などといった、様々に存在する怪異・脅威がじわじわと場の空気を侵食し牙を剥いてくる恐怖感をぞくりとくる筆致で生々しく描き出す演出が非常に秀逸な他、その実態やからくりを解き明かし乗り越えていく展開運び、全てが終わって安心しているところで思わぬ後味の悪さを突きつけ背筋をほのかに凍らせてくることもある油断ならない構成など、話の組み方もなかなかに引き込まれる形になっているのがとても面白いのが見所となっております。ホラーならではの起承転結がしっかり確立されているのが良きなんですよね 他作品で言うと、岸辺露伴は動かないとかウルトラQにも通ずるものがあるテイストであり、これらが好きな方々はけっこうのめり込むことができるんじゃないかなと。あと怪異の不気味さや不条理さは「不安の種」的な感じでもある(あれくらい淡々としているわけではないけど)ので、ああいう系のホラーをお求めの方にもオススメできると思います  血の描写等のゴア表現や見ていて不安になってくるサイケデリックさやエキセントリックさを含んだ怪異描写の筆致など、ホラーに耐性のない方はすごく苦手とされるかもしれませんが、それを押してでも是非オススメしたいですね

 

またホラー面以外にも、軽めの縦軸として据えられた、主人公・和美とユメの関係性を取り巻く人間ドラマも強く推したいポイントで、詳しくは実際に作品を読んで確かめていただきたい部分でありますが、この2人単なる裏バイトの同僚というだけではないとある繋がりがあり、そこに根付いた信頼関係でもって寄り添ったり手を差し伸べたりして共に困難を乗り越えていく様や、お互いがお互いに自身が秘めた感情を露わにしていくようになっていく流れを劇的に描き出す作劇が非常に目を見張るところ。ストーリーを追うごとに関係性が更に変化・深化していき、時に友情という括りでも語り尽くせないような濃い感情の色が窺えるようになっていくところも見所で、この手のキャラの関係性に魅力を見出す層には非常に強く刺さる部分ではないかな、と。またこの2人、お互いにちょっと闇を感じるシリアスめな背景があるようで、時折示されるそこにまつわる描写がどんどんと2人の人間ドラマを底知れぬものにしていくのも目を惹くところ。今現在のストーリーにおいてはこの点が作品の流れにおける重要な立ち位置を占めるようにもなってきており、ここがこの先どのようなインパクトを生み出してくるかも注目であります

 

あと上記も2点を挙げた後にこれを挙げるのもなんですが、そんな2人に次いで大きな存在感を醸す準レギュラーキャラの篠月橙の存在にも是非注目していただきたいところ。ポジション的には時たま2人の裏バイトに一緒に参加する形で不定期に登場するヴァージョンアップ後のアグルみたいなキャラ(この例えで良いのかは知らん)で、こちらも詳しくは実際に読んで確かめて欲しい...というか一言二言で形容するにはあまりに濃すぎるので敢えて伏せざるを得ないのですが、ある意味怪異よりヤバい存在且つ本作の貴重な清涼剤(清涼剤...???)とだけ言っておきます。色々特異すぎる劇薬のような女なので、どうぞその目で確かめて愛してやってください(マンガワンに掲載の制限なしで無料で読めるおまけ漫画にはほぼレギュラーで登場しているので、作品を追う流れでそっちもチェックしてみると良いぞ)ンッン-!!

 

というところが大まかにではありますが本作の大きな見所となっています。皆様興味が湧いてきたのではないでしょうか

そこで最初にも述べた通り、ここで個人的に本作の中でもお気に入りのエピソードをいくつかピックアップしてご紹介。現在刊行中のコミックス全6巻からだいたい1話ずつご紹介しようかなと。これでよりのめり込んでいって欲しいぞ 重要なネタバレは入れておりませんが一応内容には多少触れるのでそういうのがイヤな方は念のため御用心を。

 

・ビル警備員

コミックス第1巻収録。本作の2番目のエピソードに位置するほんとに最序盤のエピソードで、ブラックと噂される会社が中にあるビルの警備・見回りを行うという一見普通の内容に思えるバイトを行うというもの。人間的な怖さも幾らか含んだ妙に真に迫るものがあるホラーテイストの演出に加え、日常が不意に恐怖へと転ずる不意打ち的な展開や何気なく読んでいたポイントが後々大きな意味を持ってくる伏線回収的などんでん返しなど、本作のストーリー構成の妙が詰め込まれたような序盤の傑作エピソードだなと感じます。このエピソードで和美とユメの関係性もしっかり印象的に描かれており、衝突を経ながらも強く繋がっていく2人の関係に注目。

 

・自然保護監視員

コミックス第2巻収録。ホテルの建設が進むスキー場の雪山の整備・清掃や案内を目的としたバイトが話の中心となるエピソード。怪異とは不条理なるもの、そこに人間の小賢しい意志など通じない...という本作の怪異の多くにも通ずる強大さ・超然性・理不尽さを体現するストーリー展開に思わず身震いする内容となっており、クライマックスにおける本エピソードの怪異の描写は圧巻。後味の悪いエピソードも少なくない本作において最後に少しだけ救いがあるのも特徴的で、そこの繊細な情緒の描き出しも良きポイントです。

 

・探偵助手

コミックス第3巻収録。吾妻史郎なる芸能人の後を尾行し、その動向を連日追うというだけの一見危険のなさそうな内容のバイトが中心のエピソード。ストーリー全体をじんわりと取り巻き続ける薄気味悪さが目を惹く展開の中、予告なく衝撃的な絵面が何度も繰り出される構成となっており、ゴア表現が特に多いことからなかなかメンタルにくるエピソード...かも。防ぎようなく巻き起こってしまうクライマックスにおける災厄の描写は思わず肝が冷えること請け合い。ラスト数ページの展開は必見。

 

・家政婦

コミックス第4巻収録。前述した劇薬こと橙も登場するエピソードで、とあるデザイナーの家の家事手伝いに従事するという内容。どこか不気味な雰囲気が漂うストーリー展開の中、話を追うごとにどんどん闇が深まっていく...という流れの後、予想だにしない真実がユメ達や物語そのものを揺るがす...という感じのエピソードで、他のエピソードと比べて異色な部分もあるながらそれが高い評価を得ている人気の回であります。ちょっと緩い空気感のシーンもあって見やすくはあるので、そこも楽しみながら終盤の展開に備えていただきたいな...と。篠月橙という女の真価を見よ 

 

・海の家スタッフ

コミックス第5巻収録。文字通り海の家の従業員として働くという内容になっており、最初こそ特に変わりない感じで話が進んでいくものの、どんどんと得体の知れないものが侵食してくるような感覚が背筋をぞくりとさせてくる展開が随所に見られ始め、その背後に存在するものの実態が明かされた時、尋常ではない恐怖に貴方は絶望する...という内容ではありますが、まぁ特になんてことない内容ではありますね。良かった良かった。肩の力を抜いて読んでくれれば良いと思います ラストシーンは個人的に本作の中でも特にオススメ

 

・農業手伝い

コミックス第6巻収録。とある農場にて新種の果実・エヴァルスの収穫を手伝うという内容。迫り来る謎の存在、というオーソドックスなホラーテイストを不気味に描きストーリーを盛り上げる構成になっている一方、その中に伏線的に仕込まれた数々の描写が繋がっていき恐るべき全容が明らかになっていく重厚な構成にも唸る良エピ。思わず引き込まれそうになる狂気を表すがごとき粗い筆致は必見。これまたラストの後味の悪さが最高なので是非に目を離さぬよう

 

 

という感じで、個人的オススメエピソードのピックアップ紹介でした。そして以上で自分の「裏バイト:逃亡禁止」のプレゼンを締めとさせていただこうと思います。

皆様いかがだったでしょうか。ホラー漫画回に旋風を巻き起こし、今後も大きなムーヴを起こしていくであろうと睨んでいる本作、興味が湧いたのではないでしょうか アニメ化ドラマ化された時多くの方と楽しめると嬉しいので惹きつけられるものがあれば是非にご一読を。最後に改めてマンガワンのアプリインストールページと裏サンデーのリンクを載せておくので、今すぐ読みたい!という方はそちらからどうぞ また現在全6巻刊行中のコミックスのリンクも載せておくのでこちらもよろしくお願いします

 

裏サンデー「裏バイト:逃亡禁止」

裏バイト:逃亡禁止|裏サンデー

マンガワン アプリインストールページ(「裏バイト〜」は土曜連載の項から読めます)

‎「マンガワン-小学館のオリジナル漫画を毎日配信」をApp Storeで

 

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた