AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

1人の花道、みんなで往く道

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

第9話「仲間でライバル」

感想レビュー

 

 

やたらと果林先輩に目をつけてる様が前回から描かれてたり、含みのありそうな態度で同好会に接触してきたりとやけに強者感バリバリだった綾小路さん、二周目視聴だとその心の内がバレバレだから妙に面白く感じられちゃうよな...w 推しを前にして内心ウッキウキになってて、平静を装うとするあまり謎にオーラが滲み出た喋りや表情になってたんだろうなぁとか思うと可愛いよな。w

 

知名度上昇中の虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会に舞い込んできた音楽イベント出演の話。しかしステージに立てるのは1人だけと分かり...という展開から始まる今回のエピソード。果林先輩を話のメインに据えたストーリー展開を通じ、「仲間でライバル」というニジガク同好会のスクールアイドルとしての在り方を濃く描き出した作劇が目を惹く、ニジガクアニメの肝たる話としてとても印象深いエピですね

 

前半パートにおいては、「誰か1人しかステージに立てない」という状況で皆が他の相手に遠慮して名乗りを上げられない中、それに対し果林先輩が「衝突を避けようとすることが足枷になってる」「ソロアイドルとして成長してるとは言えない」と苦言を呈すという展開へ。第3話「結局はあの子の気持ち次第よね」第6話「決めるのは璃奈ちゃんよ」の台詞からも窺えていたところであったけど、果林先輩は自分を表現する現役のモデルとして強いプロ意識を有しているのもあって、自分を主張し表現することにおいて貪欲であること決断し表に立つのは詰まるところ他でもない自分であるということへの自覚が強いんだろうなぁと感じられました。他の誰かに負けないよう自分を強く押し出し見せつけないと埋もれていってしまうような世界だろうし、そこら辺はかなりシビアに考えてるんだろうなぁと。事実「仲間と繋がること/仲が良いこと」が「馴れ合うこと」となって前に進めないのは良くない傾向であるし、衝突を経ながらも結束を強めていったのに今その強まった結束を崩したくないと保守に入って前に進めなくなるは元も子もないので、そこにおいて他のメンバーとはまた違った視点や立ち位置からの発言で場を引き締めたのは果林先輩のキャラの良さが出てて良かったね

 

しかし果林先輩も仲間達の存在を否定してるわけでなく、みんなのことを共に楽しい時を分かち合う仲間、一緒に切磋琢磨していく存在、負けられない相手としてしっかりと意識していて、自分自身を磨き成長させていく原動力としていた、というのはなかなかに沁みたところでしたね。共に頑張っていてその努力を目にするからこそそれに負けないよう自分も頑張る、という感じで良い影響を及ぼし合うことの素晴らしさをしっかりと弁え、支え合う「仲間」でありつつも共に競い合う「ライバル」でもある、というみんなとの繋がりを大事にしてることが感じられる良き一面だったわね。上述の第6話での璃奈に対する台詞も、璃奈に期待してたからこそのある種の拗ねと照れ隠しも混じってたことを思うと、共に頑張る者として同好会の仲間達をしっかり意識しており、そこから沢山刺激を得たいと考えてたんだろうなぁと感じられ微笑ましくなるね  それに第5話でもエマに語っていた「みんなと同好会で頑張ることを楽しいと思ってること」を今回他のメンバーの前でも語ってくれたのも嬉しかったところ。かつてはモデルとしての自分とのギャップに悩みなかなか打ち明けられなかったけど、そこをちゃんと素直に語れるようになったのは第5話を経た変化だなぁと思うし、果林先輩も日々仲間達との距離を縮めながら成長してるんだなぁと、振り返ると改めて感動するところだね

またここの語りにおいて、「みんなのことを負けられない相手として捉えている」という旨を果林先輩が語った相手がせつ菜と歩夢(侑もいたけど)というスクールアイドルとしての経験が両極端な子達だったのは、果林先輩のみんなへのスタンス・想いの強調として個人的になかなかにグッときたところでしたね。スクールアイドルのカリスマ的存在として一つ飛び抜けた才を持つせつ菜(をはじめとした経験者の子達)だけでなく、歩夢のようにまだスクールアイドルになって間もない子達のことも、「『努力しないと追いつけない相手』としてその可能性を感じ等しくリスペクトし認めてる」という果林先輩の強い熱意をさり気なく強調する良演出だったなと。同じ土俵に立つ者として皆平等、というメッセージ性が滲み出ていて、この辺も今回のテーマたる「仲間でライバル」に通じてるのが好き

 

しかしこんな凄くしっかりした人なのに、スマホ片手にずっと困りながら目的地周辺を彷徨い歩くレベルの方向音痴なのギャップが面白すぎるよなぁ果林先輩...w 方向音痴を指摘されると分かりやすく動揺してポンの趣が一気に増すの好き 自分は一度通った道とか普通に覚えちゃうし行ったことない道もスマホの地図とか見れば大体は分かっちゃうタチなのでどっちかというと方向音痴の人の感覚は分からん方なのだけど、実際のところどういう風に迷ってしまうのかなぁ、と気になってしまう(嫌味とかじゃなく純粋な興味だよ!念のため)  てかそもそも現実における重度の方向音痴の人ってどういう感じなんだろうか...とも 某三刀流の剣豪ほどヒドい人は流石におらんだろうけど果林先輩はなんか妙に生々しい迷い方だからほんとにああいう人おるのかな、と思っちゃうのよ...w(ルート案内とかで却ってこんがらがる人とかはたまに見るし)

 

そして最終的には皆の推薦もあって果林先輩がステージに立つことに。出演の直前には実際のステージの歓声の圧に緊張し果林先輩が萎縮してしまうも、仲間達がその心に寄り添ってくれたこともあって果林先輩は再び立ち直り、激励のタッチを送る仲間達が作る花道を潜りステージへと立つという流れは、今回の話を通じいっそう強調された同好会のみんなのスクールアイドルとしての絆が改めて最高に胸が熱くなったね。大人びていてプロとしての意識も強い果林先輩でもここぞで緊張し萎縮することがあるし、強く優しく励まされて感極まることもある、というのが支え合う対等な仲間の一員という感じがして良きよね 「再度集まっての立候補でみんな自分が名乗りを上げるので推薦という形になり、その後推薦で皆が果林先輩の名を挙げた」というのが、みんな心の奥底では我こそがとステージに立ちたいと思っていたことを示すと共に、他のメンバーへのリスペクトも良い感じに感じさせたし、そうして選ばれた果林先輩を皆がしっかりと支え力強く送り出すというのも、自身に先んじてステージに立つ仲間/ライバルの大舞台に期待し最後まで見届けてあげたいという熱い想いが窺えたのがまた熱かったわね  またここの場面、果林先輩の想いを聞いてたからこそ真っ先に隣に寄り添うせつ菜友人としてその手を取るエマ支える人の存在の大きさを知ってるが故にそっと手を添え寄り添う璃奈ステージへ向かう果林先輩へのエールとしてみんなでのタッチを最初に明るく提案するかすみ、とそれぞれの人となりや立ち位置が表れ出た寄り添い方をしてたのも非常に良きところでした。ちょいちょい果林先輩に威圧されたり軽くシメられたりしてるかすみがこういう時に強く支える側になるの対等感あって好きなのよね いつもオイシイとこ持ってくのニクいぞ中須...
皆が「誰よりも全力で自分を表現してみたい」同時に「相手の全力の表現も見てみたい」という想いを互いに抱き合い、時に競い合い時に支え合い、切磋琢磨し成長していく、という虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のソロアイドル達の集まりとしての在り方がしっかり固まった形で描かれたと言える瞬間であり、今までに「自分の大好きを表現する」という部分を軸にした9人それぞれのドラマを描いてきた上で、そこに根付くのが「ステージに立つのは1人でも、それを成すのはみんなの存在や想いがあってこそ」であるという形にまとめたのが実に劇的で、ここやっぱ凄く良いなぁと改めて観て感じましたね 話のテーマの昇華と積み上げの丁寧さが巧妙に組み合わさった良い作劇であった

からの今回のライブパート。青の電飾ラインが全体に通った衣装、レーザー光やシャボンが駆けるステージ、客席で舞う無数のペンライトといった煌びやかな光の演出と共に果林先輩のソロ曲「VIVID WORLD」が披露される様がとても美しく、強く魅入る仕上がりになった映像が実に良きでしたね。声優アイドルグループで現役バリバリに歌ってるだけあって久保田さんの歌声もめちゃくちゃ通ってて気持ち良くカッコ良かったし、各メンバーのソロパートの大トリに相応しかったなと 音楽ステージでのパフォーマンスという設定で描かれてるだけあって観客の存在やステージ演出が奥行きを持って細かに描写されてる描き込みも凄かったし、「ライブパフォーマンス」としての趣がしっかり押し出されてたという点ではある意味一番ラブライブらしいライブパートだったなと感じる

これで9人分連続で描かれたソロのライブパートも一旦区切りとなったけど、メンバー各人の個性を細かに描き分けつつハイクオリティに仕上げた映像が9話も連続で息切れせず描かれ続けたのほんとすげぇよなぁと改めて。各話のドラマの文脈に乗った盛り上がりが味わえるものも沢山あったし、ニジガクアニメの魅力の一つよな どれもめちゃ良かったよ(まだ終わりではないぞ もうちょっとだけあるんじゃ)

 

そしてこのライブを観客席から目にし、且つその熱狂を味わう観客達の姿に触れたことで、目を輝かせながら感嘆し何かを想う侑のカットで今回は締め。実際のライブの鑑賞という大きな熱狂・感動を通じて芽生えた感情という部分に静かにフォーカスする形で、ここに来て侑を改めて本作の主人公としてグッと浮上させてきたのは当時もおっとなったところであったけど、全話を視聴した上で観るとまたいっそう印象深いシーンでしたな。ここからの最終盤の侑の動きはストーリーに大きく掛かってくる部分であるし、改めてしっかりと注目して観ていきたいところね

 

 

以上、ニジガク第9話でした。虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会、というグループの在り方を劇的に描き出すドラマが強く目を惹く実に沁み入るエピソードでありましたね。他のラブライブシリーズとはまた違う「ソロアイドル」という要素のピックアップをここまで印象深く、作品独自の要素として掘り下げたのは見事だよなぁと今一度感じましたね 良かった

さて各メンバーのメイン回も一通り描き終わり物語も最終盤(ここまで各人のドラマを細かく描き上げたのもほんと丁寧よね)。ここからニジガクアニメは更なる魅力を発揮し盛り上がっていくところであるので、また注目して観ていきたいですね

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた