AnDrew’s小生意気レビュー記

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仮面ライダーバイス

第27話「止めろ!暴君の暴挙と暴力の暴走」

感想レビュー

 

 

転がしたデモンズ相手に容赦なく作業的な感じで銃口を向けるカゲロウから継承した冷徹さが感じられるアクションや羽/羽根を印象的に見せつける演出など、デビュー戦にてけっこう目を惹く魅せが多かったホーリーライブだけれど、次の戦闘では直接おいでになったギフ様や暴走ジャックリバイスがお強すぎて微妙に活躍が締まらなかったのがなんとも...前回のラストに顔見せ、その次の回のアバンでデビュー戦、からの同じ回の中でもう後手後手の活躍に回されるってちょっとあまりにもサイクル早すぎるよなぁ...と思ってしまう(前回の予告の内容的に今回はオルテカ相手に大二が一つきっちりとケリをつけ、新強化形態としての見せ場を作ると共に大二のドラマに彩りを与えるものだとばかり思ってたので、実際のところは後手後手だったというのが余計に浮いてしまったというか)

ていうかこんな扱いになったのって、五十嵐家とギフの関連についての解明バイス新形態の覚醒という本筋における大イベントの間にホーリーライブ覚醒が入れ込まれてるという微妙にちぐはぐな構成の皺寄せが来てるが故だよなぁ、と。他の方が言ってるように五十嵐家の真相が判明し激動の展開となった次の回で急に大二とカゲロウの対峙になるのはただでさえ展開的に噛み合ってない感が正直否めなかった(それでいてそこでいくら大二のドラマが劇的に引き立ってもすぐまたギフ様絡みの話に戻るんじゃ微妙にどっちらけだし)のに、その後ホーリーライブをじっくり描く暇もないまま主役のリバイスの強化が来るんじゃあ割を食うに決まってるわけで、あまりに展開が忙しなさすぎるのよな...大二ってスポット的なフォーカスこそあるけど本筋に絡める形での掘り下げはかなり薄い感じあるし、ライブも坂本監督演出の時でもないと良い活躍できないしと、正直持て余してる感あるから尚のこと不憫なのよ

ライダーに変身するキャラ(作劇的に描写のリソースを割くべきキャラ)が多い、それでいてまだ2クールちょいしか経ってないのに強化アイテムが矢継ぎ早に投入されてくる、とタスクの多さがやっぱり足を引っ張ってるのは感じてしまうし、昨今のライダー作品製作を取り巻く環境は玩具の販促番組としてはともかく一つの作品としてはだいぶ無茶だとはどうしても思ってしまうなぁ その辺踏まえてせめて今ももっとゆとり持って描ける余裕があればなぁというかなんというか

 

と、出だしから早速長々と不満点を書き連ねてしまったのでそろそろ本題へ。お目汚し失礼しました

 

五十嵐家の戦いに伴うギフ様の覚醒、そしてそれに合わせ巻き起こるバイスの暴走、と更に大きく動き出した展開を描く今回のエピソード。全てを捨てて自分と共に新しい人生を歩むと決めてくれた元太パパをはじめとした家族との幸せを願い守りたいと思い続けていたと優しく話してくれた幸実さんそんな彼女と元太パパの逃避行を手助けしもう二度と会わないくらいのつもりでいた旨を語った狩崎パパデッドマンズとズブズブのフェニックスを許すまじとする組織としての強い使命感を燃やしつつ、その一環で監視してた五十嵐家との交流を純粋に心地良く感じるようになっていたことも窺わせた牛島家もといウィークエンドの面々など、ストーリー上で大なり小なりきな臭い雰囲気のあった各陣営の人々の人間味ある一面が感じられたことで、戦うべき相手、共に力を合わせるべき相手といった勢力図が一気に明確化したなと感じますね。狩崎パパやウィークエンドは一応潔白であると感じさせる描写が最近ちらほら見られてはいたものの、まだ完璧には信用できないかな〜というところで止まっていたので、彼らにまつわる人間関係を引き合いに出し、彼らがそこに抱いている情を繊細な感情表現によって描き出すことで、視聴者視点での彼らへの信頼に繋げたのは上手かったなと(やっぱ他者への“情”というのは信頼できるところが大きいわね)

しかし幸実さん、優しく大らかな肝っ玉母さんであることは序盤からずっと描かれてきてたところであったけど、その根底にあった家族愛の強さが明かされたことでいっそう引き立つものがあったねぇ 「元太パパの幸せを願い引き離した『仮面ライダー』が再び巡り巡って子供達の下へ、そして元太パパの下へ戻ってきた心中」みたいな部分に触れてる方がいたけどその辺も色々想像すると感じいるものがあるよなぁ さくらを頑なに戦わせまいとしてたのも単純な心配とは違ったんだろうなと この辺の幸実さんの心情はリバイスレガシーで詳細に語るところだろうけど、本エピソード単体でもその辺りの心情について視聴者に想像を広げるような味わいある演技をしてくれた映美さんが見事でありました

 

そうして様々な人々が人情を感じさせる姿を見せる中、ギフ様の覚醒に合わせて抑えられない暴走に苛まれていく自分に混乱していく様を通じてこれまた人間味溢れる姿を見せていたバイスの描写も今回は強く目を惹いたところでありました。自分でもどうしようもない暴走にただ困惑するだけでなく、それによって一輝が消えてしまうんじゃないかと心の底から心配する辺りが、序盤からの人間性の獲得を感じられてグッとくるねぇ(一輝が死んだら自分も死ぬから、以上の感情があることを感じさせる熱い語調が良いよね)  大二やさくらを優しく抱き寄せる幸実さんの呼びかけに応じ、「一輝」として近づき自分も優しくみんなに寄り添う、 というあの一幕も、動きや表情に繊細な心遣いや感情の機微が感じられたね 一輝の身体を介した登場が増えた分、シリアスな場面でバイスがどういう表情するようになったかが窺えるようになったの良きね

またそんなバイスのことを、軽口叩きながらも優しく熱く信頼し励ます一輝のバディとしての心強さも良い描写だった。ちょっとブラックジョーク気味な軽口でバイスをからかいながらも本質的な部分にしっかり触れて勇気づけるあのやり取りの感じは、茶けた態度で接しつつ一輝の内面に切り込み後押しするバイスという序盤の2人の関係を逆にしたような感じもあり、話数を重ねたからこその2人の変化を基に醸す風情なものが感じられグッときたね 次回がまた一つ大きな転機になるだろうし、この2人の関係には更に注目したいところですな

 

一方で、幾度とない敗北の連続で更にタガが外れますます残忍な暴走へと走っていくと同時に、哀れさもぐんぐん増していくオルテカの様子も目を離せないポイントでありました。ホーリーライブに手痛くやられてまたベイルにポイされる、ロクに戦う力も無いからギフ様呼び寄せてライブやジャンヌをボコらせイキる、ともう見てられないよオルテカくん...悲しき過去みたいなところが明かされたのもあって、もう退場は秒読みやろなと思ってしまうな

オルテカ、優秀であるが故にそれが周囲の反感や拒絶を招き(これはオルテカの態度にも多少なりと問題があったっぽいが)、誰にも理解されないまま「世界を自分の者にして自分の思うままに作り替える」方向へと捻じ曲がってしまったこと自体は同情の余地こそあるもの、その結果他者を見下し踏み躙ることを当然と思い多くの人間を何の感慨もなく犠牲にしてきたことは慈悲など与え得る余地はないので、最後は手痛くやられて散って欲しいすね...自分が選ばれた存在だと思ってイキってる有様なので、ギフ様に餌として食われたり、赤石長官辺りにギフスタンプ押されて使い捨てのギフテリアンにされたりといった、結局自分も他の有象無象と同じでしかなかったと見せつけられるような惨めったらしい最期を所望する(鬼畜)

 

そしてラスト、暴走しライブとジャンヌに襲い掛かるジャックリバイスを見て、その暴走を止めるべく直接動き出す狩崎、 というところで締め。デモンズドライバーを手に「待ってろ」と言って飛び出す、というこの僅かな言動の中に、自分だけぬくぬく安全なところに留まろうとは思っていないという強い覚悟や、デモンズドライバーのリスクを承知の上でいざという時はそれを自分が使うことも辞さないつもりでいたという気高さが感じられ、狩崎のキャラ性にまたググッと深みが出たなぁと(デモンズドライバーを手に自分が変身するつもりで出て行く、 というところが、それを手に命を削りながら戦った戦友ヒロミさんへのある種の敬意にして、彼を黙って戦わせたことへの自分なりのケジメのように見えるのもまた素晴らしい)

前述した幸実さんと子供達の抱擁のシーンにおいて静かに席を外したりと、細かなところで良識や粋な計らいを発揮する一面も窺わせたし、ほんと狩崎は油断ならないながらも一定の線引きみたいなものは感じられるという独特なキャラしてて面白いなぁと 一時期は不信感も抱いたがやっぱお前は面白ぇよ...信じてるぞ

 

 

以上、リバイス第27話でした。様々なキャラがそれぞれの背景に基づく人間味を窺わせる一幕が多く描かれ、ドラマやキャラ描写をより深めたエピソードとなりました。全体の勢力図もグッと固まった感はあるけど、ここからまだ大きく動いていくのだろうかとも気になるし、この先の展開が楽しみである

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた