AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

ベイル おまえだったのか

仮面ライダーバイス

第31話「幻想の導き、夢のあとさき」

感想レビュー

 

 

バイスそっくりの赤い悪魔の正体がベイルなの、ちょっとさくっと明かしすぎちゃうか?とは。ていうか先週公式の東映公式HPの相関図で既にしれっと言ってたんだよな...ただただ今回の種明かしのインパクトを損なっただけで、あそこであっさり記述する意味無かったと思うんだけど

赤い悪魔の正体、現在配信されてるスピンオフの「仮面ライダーベイル」の方でも純平を取り巻く謎の一つとして描かれてた要素だったんだし、TV本編と並行して順々に種明かししていく構成であるにしたってもうちょい勿体ぶってインパクト付けるべきだっただろと思ってしまうなぁ...赤石長官が自分の下に現れた赤い悪魔に語りかける下りのラストに「ベイル」の名を呼ぶ赤石長官の寄りのカットがバーンっと入る→赤い悪魔が聞き覚えのあるツダケンボイスで返してくる、みたいな構図で溜めに溜めて事実を明かし衝撃を与えてたならば観てるこっちもTVの前で素直に驚けたし、後のベイルスピンオフでのベイルの言動への印象の変化が面白い要素となったはずなのよ この辺の情報の出し方のタイミングや演出はシンプルに下手に思えてしまいノレなかったのが残念

 

一輝と浩二の過去の真実、2人を取り巻く事件の裏で動いていた者の正体、そして写真から消えていく一輝の謎の秘密に迫った今回のエピソード。木村昴さん犯人役は全然予想してなかったから普通にたまげましたね...作品レギュラーの声優さんとはいえここまで大きな役とは。一輝と浩二の人生を守りきれなかった後悔から、2人の心を救うために悪魔と契約するという善意故の契約は面白いパターンだったし、しっかりキャラが立っていて良い存在感だったなと。真犯人と明かされた時は前回ラストの雰囲気からして悪い人かと思ったがめちゃくちゃ良い人だった...

でも木村さん、仮にも子供向けヒーロー特撮に本人役で出て最後連行されていくようなオチになっちゃったわけだけど、子供からあらぬ心配されないかとちょっと心配になるな...内容が内容だっただけにTwitterのサジェストも穏やかじゃなくなってて本人も冗談混じりに困惑してたし、リバイス未視聴のファンの方からもあらぬ誤解されないかと(

木村昴 on Twitter: "さっき友達から送られてきたんだけどまじ人生終了のお知らせかと思ったわ… 役だからね!!そういう役だからね!!木村昴役ってだけだからね!!!!!… "

 

前回不穏な空気を残す形で引っ張った一輝と浩二の過去については、「バイスとの契約」という特殊な要素の介在を挟みつつも、その根幹にあった「友人の未来を奪ってしまった罪の意識から逃れたいという感情を無意識に抱き反映させた一輝」「友人に自分の未来を重荷として託してしまった浩二」という両者のエゴを浮き彫りにすることで、2人がそれぞれ自分のそんな内面に向き合うことを通じて相手と今一度対話し和解する流れを描き、浩二の激励を受けて一輝が自身のエゴイズムを「チャンスを逃さず自分が必ず決めるという覚悟」として前向きに受け入れる着地に収めたのが良き見応えのある人間ドラマに仕上がっていて面白かったところでした。あれだけのことがあったのに一輝が何もかも忘れてサッカーの道を去り「なんでサッカーやめたんだ?」なんて言ったのが腹立たしかったという浩二の内面には納得がいったし、浩二の未来を奪った後悔に押し潰されそうになる一輝の姿もひしひしと感情の伝わる前田くんの演技によって思わず感情移入させられたしと、一輝と浩二両方の内面にしっかり寄り添える細かな描かれ方がしてたのがまた良き。

でも欲を言うと、この辺りの経緯は一輝のエゴをもっと際立たせる形の描き方でも良かったなーというのは正直思うところでもあり。ストーリーの流れとも相まってバイスとの契約によって忘れていた」というところを強調した方なのが良いのはまぁ理解できたけど、前回の描き方だと「一輝のエゴイズム」の方にフォーカスする感じになってたわけだし、どちらかというとバイスとの契約云々が介在したことによるところが大きいというようなニュアンスに収まったのは期待してた要素とのズレだったなと。記憶が丸々無くなってた、で済まされてもおかしくはなさそうなところをちゃんと一輝のエゴが掛かってたという風に繋げたのは御の字だったけど、追い詰められた一輝が無意識に記憶を捨てることを望む、みたいな描写をえげつめに象徴的な感じで入れたりとかしてくれたらもっと良かったかなと感じるところ

 

という感じで、浩二との過去のあれこれに紐づける形で遂に「写真から消えていく一輝」の謎の真相として「かつてバイスと交わした契約により、一輝がバイスの力を借りるたび、一輝の大切な記憶がなくなっていく」という事実が今回明らかに...なったのだけど、なんか正直なところ色んな意味で「今それ明らかにするの?」感があってイマイチ盛り上がれなかったなぁというのが正直なところ。物語も後半をとっくに過ぎた今になってバイスが申し訳なさそうにその事実を一輝に語るの、リアルタイムでの視聴テンション的には遅きに失した感が強すぎるんですよね...当初は人間らしい感情の機微を有してなくてスルーしてたバイスが、一輝達との交流で人間らしくなっていくにつれ罪悪感を抱き打ち明けようと思ってたが、辛い事実すぎて言い出しづらかった...みたいなニュアンスが込められてるならこのタイミングの開示は分からなくもない、というかキャラ描写的にも納得いくところなんだけど、でもそうなると最近になって描かれ始めたバイスは幼少の頃からずっと一輝を守ってた」というさもバイスが実はずっと良い奴だった的なニュアンスと相反してしまってどの道事故という、なんかこの...うーん  ここ最近のバイスの良い奴感の増強自体落とし込み方がなんとなく不自然で「作劇の急な方針転換」的な感じに思えてしまうし、そのズレというか弊害が出てるんじゃないのか?と思えてしまうのよな

それにその点を抜きにしても、「五十嵐3兄妹が闘うほどギフ様に力を与えてしまう」というジレンマを抱えた中でのギフ様の復活その裏で暗躍する赤石長官デッドマンズから離れたアギレラ様の動向、などなど、現時点でストーリー上において重要になりそうな要素が山ほどあってそれらがどう噛み合っていくのかが逐一気になってる中で、「一輝が戦うほどに記憶を無くしていく」という新しい要素を更に投下してくるのはますますとっ散らかっただけに思えてしまうんですよね。特に最近は「五十嵐3兄妹がギフ打倒に向けて想いを一つにする」という流れがあってストーリー上の方針がグッと固まった感があったのに、そこをまたブレさせられた感があったのが余計になぁ...それに加えて狩崎がデモンズ変身の副作用か何かでおかしくなり始めてる様子まで描かれてもう訳わからないことになってるし、本当にストーリー上の要素の整理できてる?と邪推してしまう

 

そして戦闘シーン、ジャックリバイスの時に描かれたエレメント描き出しによる属性付与攻撃を怒涛の勢いで繰り出す演出はなかなか目を惹いたところであったけど、一輝と和解し、木村さんの代役として頑張る浩二の姿を一輝と隣り合わせるようにして描いてくるあの演出はなんか「えっここでその演出する?」って感じでぶっちゃけあまりハマらなかったよな...とは。一輝と浩二の関係性はしっかり深めて描くに足るものであったしそこを強調したい意図は理解できたけど、ここまで寄り添わせるまででは...って感じだったよなぁ。正直「エモ」に走らせ過ぎたきらいはある エレメント連続描き出し演出も、個人的にあまり好みでない「合成過多」な感じだったし、ちょっと微妙だったかなぁ  あとこれはちょっと役者さんに失礼な話にもなっちゃうけど、木村さんの代役として演技する浩二のシーン、「正直木村さんに比べると...」みたいな反応が散見されたので、ここは木村さんというビッグネームを配したことによるズレがちょっと致命的な形で出た感はあったかな、とは思ってしまうところ。浩二役の方の演技自体は悪く無かったと思うんだけど、話題性重視のキャッチーな配役と演出とがミスマッチになってしまった感はあるかも

 

 

以上、リバイス第31話でした。ストーリー全体にも掛かる重要な要素の取り回し等に引っ掛かりを感じる部分が多かったというのが率直な感想であり、トータルで見てあまり乗り切れなかったなぁ...という回でありました。一輝と浩二の対話は良い感じに本作らしい人間ドラマの味わいが出てて好きだったんだけど、前回のエピからの溜めを上手いこと活かせなかった感があり。

ちょっと最近バイス周りを主としてストーリーの動かし方に難が出てきた印象があるので、ここからなんとか持ち直して欲しいものだけど、果たしてここからどうなるか

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた