ウルトラマンデッカー
第2話「決意のカナタ」
感想レビュー
火星へ向けて飛び立ったロケット、1年も安否不明なのが怖い...
話の最初の方でカナタもちょっと触れてたし今後いずれ回収されるだろうけど、どうにか残酷なことにはなっていないで欲しいね...食糧とか流石に積んでるよな...?火星になんとか到着してスフィアの攻撃を逃れながらなんとか生きてる、とかだと良いけど、火星もバリア貼られてるかもだし...何話かして宇宙に捜索に出られるようになったのでカナタ達が探してたら実は知らない星に不時着してて、お節介などこぞのトレジャーハンターに面倒見てもらってた、みたいな繋がり方しませんか
第1話ラストでTPU訓練校に入校したカナタを中心とした内容になった今回のエピソード。訓練生描写にしっかり1話使うことに関しては前回の時点で多くの視聴者から大きな関心を寄せられていたけど、まさか1年という現実的な時間経過を反映させるとは思わなんだ ウルトラシリーズだとこういう時隊長の推薦とかで入ってそのままシームレスに進むからこういうのは珍しい(宇宙パイロット候補生のムサシや入隊試験合格間近だったカイトみたいに何かしらアドバンテージがあったり、試験で即素質を見せつけた我夢みたいに元のポテンシャルの高さとバリバリの才覚ですっ飛ばしたりと、今までにもそれなりの理由付けはあったけど) 強いて言えば、入校から1年経ってカナタとソウマの関係値がああいう感じなのか、というのはちょびっと引っかかった感じではあったので、フォロワーさんが言ってたように入校から試験までの1年の間の話にもう1話使ってその辺詰めても良かったかなとは。1年スパンの尺が欲しいね...
にしてもカナタ、訓練生の中だとダントツのびりっけつってのは訓練学校主席だったアスカの対比よね ほんとにどこまでも“凡”な普通の人間がウルトラマンとなり防衛チームの一員になり、って感じなんだなぁと 等身大の人間だからこそ光る底抜けの善性で物語を牽引していくキャラって感じになりそうねカナタ
今回はそんなカナタとイチカ・ソウマのトリオがGUTS SELECT入隊試験に奮闘する流れにフォーカスした話で、現実的な視点からいつも合理的な判断を行うソウマと泥臭くも諦めず立ち止まらないカナタ、正反対の姿勢故にぶつかりがちな2人の間に立ち諌めるバランサー的な立ち位置のイチカ、と3人のキャラ性や関係性を密接に絡ませ描き出しながら紡ぐ重厚な人間ドラマをガッツリ主軸にしたストーリー展開がとても面白かったですね。失敗は許されないからこそ的確に判断し動くことを考えるソウマの視点だとカナタは自身の能力や後先を考えない無謀な男に見えるし、最後まで諦めず挑もうとするカナタの視点だとソウマはきっぱりと限界を決め戦うことを止めてしまうように見える、そしてイチカは2人の想いや姿勢の正しさをちゃんと理解し受け止めつつ何をすべきかを理想も込みでしっかり示せる、という誰が正しいかを明確に位置付けず、それぞれの想いの交わりにこそ重きを置く交流の描写とそこから引き立つ人間性が凄く沁み入ったなと。ソウマは前回の時点だと無茶しがちなカナタを咎め気付きを与える役割になるかと思ってたけど、実際はGUTS SELECTへの入隊という目標への想いが強い故に仲間のことが見えなくなりがちという青臭さ、未熟故の利己な部分もあり、カナタと衝突し成長していくイーブンな立ち位置・ある種の伸び代が窺える造形だったというのが面白い
という感じで3人それぞれ違った趣があるながらも、有事の際には身を挺して危機に陥った人々を助けるために奔走していて、ここぞの時の根っこの正義感は同じく通じているというところを印象深く見せてきたのも実に熱い流れで良かったですね。スフィアの襲来により自分自身が思い描く夢を追うことができなくなった悲しみを知ってるからこそ、同じように混乱する情勢の中好きなことや夢を追うことができなくなった他の多くの人々がまた思うままに生きる世界を取り戻したい、そのために今自分に出来ることをやっていきたいと思って戦いへ身を投じた芯の強さをイチカが見せたところはグッと引き込まれるし、それに感化されてリアリストな一面を振り切って危険を顧みず仲間や人々を救おうと飛び込んできたソウマや、「やるしかねぇ...今!やるしかねぇんだ!!」とイチカの想いに準え「今みんなを救うために自分がすべきはウルトラマンとして戦うことだ」という決意を示し再びデッカーの力を掴み取ったカナタの姿に胸打たれるんですよね。カナタのウルトラマンとしての覚悟の覚醒、その強い気持ちにこそ応えるのがウルトラマンの光、というところをしっかり描き上げるという意味でも実に熱い作劇でした(キャッチーな決め台詞くらいに思ってた「やるしかねぇ(以下略)」にめちゃくちゃ熱い文脈を乗せてきたのが素晴らしい)。それぞれ違う夢や想いがある尊さ、それを皆が追うことのできる未来のために、それを阻む壁に信念を同じくして立ち向かう気高さ、といったところが本作のメインテーマになっていきそうだなぁと感じさせる良い展開運びでしたね ダイナのテーマ性も仄かに含ませてて実に粋でありグッド
またそんなカナタ達を取り巻く諸要素がしっかりと描きこまれていたところも好感。やっぱり上記のカナタ達の決意は現状の怪獣の脅威等に震える人々(および彼らを助けようと奮闘する様)を描いてこそいっそう説得力と深みが増すところだし、カナタ達の気高くもやや危うい行動を適度に諌め認めるムラホシ隊長のような大人がいるからこそ気持ち良く成り立つところなので、カナタ達3人というふっとい軸を一本据えるだけでなく、そこから枝分かれしたり付随したりする要素を用意し、奥行きのみならず幅を大きく持たせることで物語を大きく強固にしてるのがとても良きところだなと思いますね
にしてもムラホシ隊長、前回はなんとなく不穏なところも窺わせたりしていたけど、そんなことを気にさせない良い大人としての一面を存分に発揮してて凄くカッコよかったわね カナタ達に命を大事に説きつつその勇気を認める度量も、身を挺して彼らの危機を救うここぞの体の張り方も素敵だ 他の方が言ってたけど、カナタ達に無茶するなと言いつつ自分も裏では誰かのために命を張って無茶してる、その上でカナタ達の想いを認めてるというのがまた静かなる熱さって感じで良いよね(上手く出来るかやや心配なファルコンの操縦を率先して引き受けて立ち向かうところなんかにもそれは表れ出てるように思うし、身体の張り時を弁えてるからこその若者達への叱咤かもね) カイザキ副隊長との大人組ならではの落ち着きある信頼を感じさせる会話も好きだし、今後の活躍がますます楽しみ
そしてドラマ面だけでなく特撮面も今回見応え満点。怪我を押して泥臭く戦うデッカー(しばらくはこういうスタイルになりそうねデッカー。成長が楽しみ)もさることながら、それを支える新型機ガッツホークの縦横無尽の活躍やディメンションカード怪獣ミクラスとの共同ファイトなど、販促を兼ねた要素のスマートな魅せもカッコ良かったですね(ムラホシ隊長の乗ったファルコンが落とされた後のホーク登場で「副隊長か?」と思わせておいてからのHANE2登場という構成も遊びが効いてて好き) あくまでドラマを主軸に、そのバランスを崩しすぎずしっかり見せ場も作るという塩梅が絶妙で良きね ディメンションカード怪獣はマケット怪獣のイメージ的にGUTS SELECTの戦力かと思ってたけどイメージ的にはカプセル怪獣のそれなんですね 登場予定があるであろうウインダムやアギラ含め、カナタがデッカーとして表に出られない時戦ったりとここぞで良い活躍して欲しいな
と、カナタ周りの作劇色々面白かった今回ですが、一方で今回一切出なかったながらもスフィア周りの謎や不気味さがいっそう増したのも目を惹いたところでした。散々暴れて地球を宇宙から隔絶しておいて1年だんまり決め込んで、そして1年経った次回また姿を現すという...どういう狙いや目的があるんだろうか 個人的にはダイナのスフィアと同じく「人類の地球進出への不満」があるんじゃないかなとは思うところ(1年前の襲撃は自分達の力を誇示することによる警告も兼ねた脅迫で、その上で地球を宇宙から隔絶して人類が何もしてこなくなったなら良し、しかし脅威たるデッカーの再登場や新型機ガッツホークの登場をはじめとした人類の躍進を目にし、再び人類を脅す(もしくは滅ぼす?)ために再度襲来、なのかなぁ...と) なんにせよスフィア周りは本作のストーリーを牽引する大きな謎になりそうだし、目が離せませんね
以上、デッカー第2話でした。メインキャラ3人のドラマをしっかり組んで各人のキャラや関係性をしっかり示して作品の精神性を印象付けつつ、それを取り巻く諸要素も抜かりなく絡めるという細やかな作劇がとてもグッときた良いエピソードでありました。初回2話が絶好調でとても満足だ
さぁここから本格的に始まるデッカーの物語、どうなっていくか楽しみです 期待してるぞ!
というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです
気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!
ではまた