AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

そこのけ 俺が行くぜ

暴太郎戦隊ドンブラザーズ

2〜3クール目ら辺(ざっくり)

感想レビュー

 

 

呉越同舟


仲の悪い者同士、また、敵味方が、同じ場所にい合わせること。また、反目し合いながらも共通の困難や利害に対して協力し合うことのたとえ。

(※コトバンク-呉越同舟 より引用)

呉越同舟とは - コトバンク

間違っても味方の戦隊同士のロボの全合体時に使う言葉ではないんだけどなぁ()  仲間入りしてもう1クールくらいはこなしていて、めちゃくちゃ仲悪いってわけでもないはずなのに、あまりにもしれっと「味方ではない」くらいの判定は少なくとも受けていることになってるジロウ、あまりにも不憫なんだけど何故かそこまで可哀想には思わないんだよな...ごめん(

 

銀幕ではちゃめちゃに暴れ散らかし同期の最終回の余韻をわやくちゃに踏み荒らし某ラブなライブのアニメと半ば強引に縁を結んできたり(※)、と無法に無法を重ねながら突き進み続ける暴太郎戦隊ドンブラザーズ、気付けばいつの間にやら話数が30話の大台へと突入しようとしており、無二の友になり得た因縁の関係たるタロウとソノイの決着などの怒涛の進展を交えつつ作品を構成する様々な要素の実態も明かされ始め、物語的にも折り返し地点へと入ってきたことが感じられるところへとやって来ましたが、依然勢い衰えずという感じで凄まじく面白いですね...毎週毎週大いに楽しませていただいています。

(※)...ちなみにドンブラがラと一方的に縁を結んだ同じ週に放送されたスーパーなスターの第8話では、まさかのアイドル達が神輿に乗って踊っていました。偶然ですかねほんとに(

というわけで今回は前回からさほど間は空いておりませんが、だいたいざっくり2〜3クール目にかけての雑感をつらつら述べていこうと思います。お時間ある方はよろしくどうぞ

なに、時間なんて無い?ガタガタ言うな!!!!!!読めお供達!!!!!!!!!(豹変)

 

 

てなわけでここ最近のドンブラザーズですが、まず「緩急凄まじい情報開示のペース」と」一発一発がどれもしっかり重厚なストーリー」をスッと両立させた濃厚な作劇を相も変わらず鮮やかにやってのけてるのが見事の一言。ドンブラの感想語るとなるとこれにはどうしても触れちゃいますねぇ  特にこの2〜3クール目辺りの展開はちょうど関西の甲子園中継や劇場版公開などと被る夏真っ只中だったということで、一部地域の放送日程の乱れや劇場版の展開との整合性の調整等の理由から7、8月は本筋の展開をあまり進めないようにして9月から話を動かしていく、というスタイルが取られておりなおのことこの辺の緩急が激しかったところであり、単発のサブエピ寄りの内容多めで進めてた7、8月辺りからの怒涛の本筋周りの情報ドバドバ開示&登場人物周りの構図進展しまくりの9月、というジェットコースターのようなスピード感とテンション感に大いに脳が狂い踊った(まぁドンブラの場合は所謂登ってる最中に当たるサブエピ辺りもえぐいテンション感ではちゃめちゃなんですけどねぇ!!)ものでしたが、そこで今までもドンブラで辣腕を見せつけてきた流石の井上大先生、他キャラやゲストキャラとの交流を交える形で主要人物の人となりを掘り下げ魅せる味わい深い人間ドラマや、脳を破壊せんと言わんばかりのカオスと情報量で視聴者の腹筋をぶち壊し破顔させてくる超絶コミカル展開などの単なる単発サブエピに留まらない魅力を存分に発揮したエピソード群により7、8月の全くダレることなく突破しつつ、9月に入って話が進むとなったと同時に今まで散発的な情報の開示に留めていた作中の数々の謎の真実や外郭を次々に解き明かしストーリーを一気に加速させつつも、それを話にスムーズに滑り込ませることでドラマ的な面白さをしっかり物語に乗せ視聴者をグッと牽引する、という感じに怒涛の緩急を巧みに乗りこなしてみせており、ここはほんと改めてまとめて振り返ってみても脱帽ですね...直近のドン29話なんて

・口頭で存在が示唆されるのみだった謎めいた存在「元老院」の初登場

・ジロウのもう一つの人格・通称「闇ジロウ」の秘密の解明

・所々で絡みのあったジロウとの対話によるムラサメ周りのストーリーの進展

・不可殺の者・獣人の打破の鍵の解明

・ニンジャークソードを手にした者にもたらされる暴走を描く展開

・タロウと決着し永遠の眠りに就いたソノイに訪れんとする望まぬ復活の示唆

と、一個一個がそれぞれエピソード1話分を十分牽引するに足るだけのポテンシャルを持った要素の数々を全部乗せでぶち込むという情報過多も良いところな暴挙に出ながらも、それらを視聴者に理解できる形で、尚且つ相応の理屈やドラマ性まで乗っけて最低限ちゃんと魅せる形で入れ込み一本のエピソードとして完成させてるんですよ イカれてるだろ() しかもその上で、「ソノイ復活の贄としてエネルギーを吸われタロウが変身不能になるという、普通ならもう1話跨いで引っ張りそうなハラハラ展開を『ニンジャークソードのパワーで補填』という形でわずか2、3分で解決」「今まで謎めいた雰囲気を纏っていた元老院が、いざ登場したら『自我を持ち始め無軌道になってきたムラサメに困惑する』『タロウの圧に気圧されてカツサンドを食わされる』と色んな事態に見舞われコミカルな苦労人キャラになっちゃう」という遊びまで入れる始末ですよ イカれてるだろ() また前者に関しては、流れやテンポ自体はパワープレイもいいとこなのに、「他の者は暴走させられるばかりだったニンジャークソードをタロウは普通に使いこなし自分の力にしてみせた」という描写が「ドン王家」という点を軸にタロウとムラサメをきっちりリンクさせていて相応の説得力や今後の布石になっているので納得せざるを得ないようになっている、というところがまた上手いんですよね...マジで手捌きがイカれとる冗談抜きに

改めてドンブラ観進めるたび強く思うんだけど、井上大先生は作中で取り扱う情報や要素をどこでどう、どのくらいの濃度で繰り出すのかの上限下限のラインをきっちり理解してて、その上でぽこぽこ出してもそれなりに調理すればしっかりと味になるものは他のドラマのついででもきちんと見られる(且つ面白さがちゃんとある)形で躊躇いなくぶち込んでくし、ちゃんとドラマに乗せるべきものはグッと深みを押し出す形で前面に置くし、っていうことができてるのが強いよなぁと。一見めちゃくちゃなようだけどどれもちゃんと面白く楽しく、ノイズなく観られるラインでしっかり収まってるからマジで絶妙なんですよね (現状の)全合体ロボに当たるトラドラオニタイジンの合体イベが他の話のついでで特に本筋とかとも関係ないとかいう思い切りの良さをこの令和の世にやってのけるの相当の胆力と信頼がなきゃ無理すよ 純粋に演出としては販促面的に正しいとは言えないかもだけど、それでもしっかり引きつける分引きつけてはいるっぽいしな...やっぱでぇベテランなんやなって

 

それでいてドラマ面─先にも述べた重厚なストーリーの方も未だ勢い衰えずという感じで非常に面白いところ。「何故自分が選ばれ、戦わなくてはならないのか」と考えるよりも「なるようになるのだ」と身を任せるという生き方をしっかり見据えているどっしりしたスタンスと、その中で他者に自然と手を差し伸べられるナチュラルな精神性が合わさってるからこそのヒーローである、という猿原のヒーロー性が「自分の生き方の意味や理由を自分のためとして分かってるようでいて実は見つけあぐねている」先代サルブラザー白井との交流でグッと掘り下げられた初猿原メイン回のドン21話犬の祟り(!!!???)でイヌと化し苦しむ犬塚くんの災難を描く片手間での描写でありながらも、幼馴染達との交流を経て「ヒーロー」という自分の夢に改めて向き合う決意を固め、自分の自尊心の象徴とも言える闇ジロウを「タロウを越えようとする向上心」として昇華し、抱え受け入れることでロボタロウを獲得しパワーアップするというジロウの進展をしっかり味わいある形で描き上げたドン23話雉野さん絶体絶命の危機(家計的な意味で)から始まるクソ雑アンジャッシュ導入に笑っちゃうはちゃめちゃな展開の中、タロウ・はるか・猿原達がそれぞれ他者への慈愛を連鎖させ自分にできることを頑張る姿に「ヒーローとは無償のもの」という観念に通ずるドンブラザーズの戦士達のヒーローとしての精神性をコミカルながらも改めてグッと深めたドン25話、などなど、ヒーローという部分を軸に色んな面々の人となりやその根幹、成長をしっかり味わい深い人間ドラマとして繰り出す作劇がめいっぱい味わえるのがもう最高に素晴らしいんですよね...特にジロウのロボ獲得エピであるドン23話に関しては、「変身は遊びでするものじゃない」という念押しを幼馴染達の前ではしつつも、ガールフレンド的な存在のルミにだけは別れ際にヒーローとしての決意を示す意味で変身を見せる、というジロウのとってのルミの特別さとそれを絡めたジロウの決意の引き締めが効果的に描かれた演出や、闇ジロウを自分に必要なものとして受け入れ組み込む覚悟をトラドラゴンジンの合体機構に重ねて視覚的な形でもしっかり落とし込む構成など、犬塚くんメインの話もついでの中でもしっかりと光るものを描き出す巧みな演出が見事で、やべーやつだしやべーやつだけどその中にヒーローへの真剣さや強い芯みたいなものはちゃんとあるというのが窺えたというところでジロウの好感度が一気にガッと跳ね上がった凄く良いエピだったなと感じますね(タロウとソノイの決闘に良かれと思って空気読まずに乱入したりとその後はいつものジロウも全開になるのだが。w)。ドン21話に関しても猿原の良いとこ以上に猿原のやべーところがより深掘りされてしまって良いとこの印象が視聴者間で薄れてしまった気がするし...w(なんで固有結界を張れるんすかね)

またそんな登場人物達のドラマの中でも一番の見所であったと言っても過言ではないのが、言わずもがなタロウとソノイの決着敵同士反目し合いながらも個人として通じ合うものがあるからこそ一緒の時間を過ごすことやその中で相手をリスペクトし合うこともあるというどこかコミカルな途切れ得ない奇妙な友情それでも避けられない決着をお互い惜しみどこか悲しそうにしながらも、お互い真剣に向き合い決死の覚悟で挑むという因縁、という通じ合う者同士としての気持ちと果たし合う者同士としての気持ちがないまぜになった2人の不思議な距離感を、どこか浮世離れしているながらもだからこそどこか澄んでいて美しく見える繊細な人物描写の下で最後の最後まで濃く掘り下げ、そしてその末の2人の決着は刹那の一閃の交差という形で静かに描き出す、という一連の描写は本当に洗練された芸術のようで思わず見惚れてしまいましたね...胸にグッとくる熱さと微笑ましさ、その中に覗く儚さと切なさ、という感じで色んな思いが去来し巡る、近年の特撮作品のライバル関係の中でもピカイチに凄く美しい関係性であったなぁと今一度感じます。「自分達は敵同士、相容れることはない」「タロウ相手には相討ち覚悟で挑まねば勝てない」というソノイの想いを、交わることなくすれ違い続ける赤と青のビリヤードの球がその末にぶつかると同時に両方とも落ちていく、という描写で象徴させる演出や、静かなる一瞬の決着の後ソノイの亡骸を背に去っていったものの、その実ソノイとの約束だったおでんの食事に一緒に行きたかったと悔いを口にしたりと、タロウがソノイへの友としての想いを後になってぽつぽつと漏らす人間味溢れる様など、演出一つ一つも凄く沁みてきて最高だったんですよね...(今思えばタロウがソノイとの決着の日に仕事だからと決闘そっちのけでまず配達を優先させてたのも、ソノイとの決着をなるべく早く着けたくないという思いの現れだったのかな...とも) ともあれここも平成期の東映特撮を支えた井上大先生の大人の深みを内包させた繊細な人間描写・ドラマ作りの妙味が一際強く滲んでいた感じがあり、ひたすら唸らされるところでありましたね しかしソノイは元老院の手で望まぬ復活をさせられそうであり...と、ここがどう影響していくかは今後の注目ポイントですね ソノイの尊厳はどうなってしまうのか...

そしてそんな重厚な人間描写が繰り広げられるドラマの中、だんだんと面白キャラに振り切り始めているマスターこと黒介人の明日はどっちなのか。() 初期のミステリアスさが徐々に薄れていって、徐々に涼しい顔しながらめちゃくちゃ我の強い一面を滲ませる人みたいになっていってんの面白すぎるんだよな...w 激しい自己主張がデフォになってきてて草生えるんよ  井上大先生は元の介人のキャラがどんななのかは見ないようにと言われてて実際見てないながらもシンプルにマスターを気に入って出番増やしてきてるらしいが、はたして今後どう暴れていくやら(暴れる前提)

 

 

という感じで以上、ドンブラザーズおおよそ2〜3クール目感想でした。語ることはもうだいたい語り尽くしたので後はもう特に無いかな とりあえず、井上大先生やっぱすげぇなぁ...と今一度。

あと気になるところといえば、劇場版からの連動でTV本編にも登場し何やら気になる布石を残していったはるかの漫画の盗作疑惑の原因・椎名ナオキの存在。はるかとの共通を色んな部分で感じさせる描写がドン22話で多く出ていたので、実は未来から来たはるか本人なのではないか(何かに後悔し過去の自分の運命を変えようとしてる?)、なんて説も出たりしてて自分もそうなのかなと思っているところでありますが、はたしてこの怒涛の展開の中いつどのようにして明かされるやら。上記の説が正しいなら未来鬼になるんじゃないかとかも言われててそこも面白そうで気になる ともあれ大きな注目どころであるなと

まぁ長々話しましたがとっても面白いです暴太郎戦隊ドンブラザーズ。この先もガンガン盛り上がっていって欲しいですね 応援してます

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた