AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

エゴと戦い

仮面ライダーギーツ

第7話「邂逅VI:ラスボスと缶けり」

感想レビュー

 

 

(ラスボスの性質上仕方なかったらしいとはいえ)運営が飯むさぼりながら連絡入れてくる、ラスボス攻略の大事な情報や敗北の深刻さを小出しでばっか出してくる、こんな運営でほんとに大丈夫ですか だいじょばなそうですか

DGP主催側、一応ジャマトの脅威を世界から排除することとかを主目的にしてるのはマジっぽいんだけどいかんせん胡散臭さが強すぎるんだわね 平ラ後半以降の組織なんてだいたいそんなもんだが だいぶ際どいところで描いてる感じあるしどう転ぶか目を光らせておきたいですね 連続してるってほどでもないけど腐敗組織パターンもそろそろ見飽きたので、風変わりをやって欲しくもあるという個人的な印象も込みでせめて「陰はあってもちゃんとしてる」くらいではあって欲しいなDGP...

 

残り人数4人の大詰めの中、ラスボスの登場で風雲急を告げるDGPの模様を描いた今回のエピソード。ちらほら言われているように長らく続く邂逅編もそろそろDGP決着で一区切りになるのかなと  ただ内容的にはゴリゴリのバトル回というよりも、DGPにおけるライダー達の戦いの重みを改めて印象付ける的なところに重きの置かれた話であったなという印象。「失格は記憶を消しての日常への送還、脱落は死」という部分が明文化されたりと、ある程度の諸情報の整理の意味合いもあったのかも あとラスボスことナイトジャマトのデザインが好き サボテンとナイトの駒の馬をモチーフとして不気味に組み合わせてて良いよね デザイン性は良いしもっと出して欲しくはあるなジャマト

 

今回、今まで何気に触れてこなかった「ライダー達が皆負けてゲームオーバーになればどうなるのか」に対し「エリアは消滅しジャマトによって消滅させられた人々も戻らない」というだいぶ重めの解を出し、この戦いが本当に世界の命運を握っているということを際立たせると同時に、そんな戦いに命を賭けるからこそ、世界を思うままにできる願いという見返りはあって然るべきという英寿のスタンスが一つの在り方として示す流れもあり、と前述したようにDGPやそれに身を投じるライダー達の戦いの重みをグッと強調してきたのが大きな見所。「見返りを期待したらそれは正義とは言えねェ」とかつてあるてぇ⤴︎んさい物理学者が言っており、実際見返りを求めて戦うことを純粋に広義のヒーロー・正義と呼んで良いのかどうかは微妙なところになるかもなわけですが、本作はあえて踏み込んで、「叶えたい願いがあってそれが叶うからこそ世界を賭けた戦いにも命を投じられる」「動機はともかく戦ってることを誇るべき」と、ある意味でヒーローと言い切れない普通の人間達が戦いに身を投じることへのエゴ込みの動機を肯定したのは面白かったなと。仮面ライダーという作品はヒーローを描くものだけれど一方で純粋な「正義」とはまた違うところを軸に据えるところが特徴であるからして、一つではない色んな正義の形や人の在り方を作品ごとに描き、作品単位での多様なテイスト、ひいてはシリーズ全体の奥深さに繋げているのが魅力だと思うので、そういう意味で今回のギーツのこの作劇はとても印象深かったですね。ただ物語はまだ序盤も序盤なので、これがゆくゆくはどういう風に転じていくのか、はたまた貫かれていくのかは凄く大きな余地でもあるわけで。ここはじっくり見守っていきたいところです

またここに触れるにあたってのきっかけとして、「世界の危機だというのに自分の願いのために戦っていて良いのか」という旨の言葉を劇中一番最初に言ったのが意外にも袮音だったというのがまた面白いよなと。DGPに今回から巻き込まれた勢の中だと、色々なことを知って一番色々考えていってるって感じ(大抵の面子は良くも悪くも自分勝手だし色々知る前に消えていってるしね)なので、ここの伸び代はキャラクターとして凄く好きかも この手の等身大の視点を織り交ぜることは作品に良い深みを与えるしね

 

そして今回もう一つ面白かったのが、虚実入り混じる英寿の言動。相変わらず食えない奴だしテキトーこと言ってのらりくらりと周囲の追及交わしてるんだけど、ぽろっと大事なことを言ってそうなタイミングがちらほら見られたりとなかなか読めないんだよなぁ...自分はふっと聞き逃してしまってたんだけどDGPへ参加し始めた時期についても「西暦元年」と言ってたとのことで、ここもどうなのかなぁって感じよな  英寿の熟練度的に全然あり得なくもないし、何度も世界の改変を重ね続けていてその度老いていないとするとまぁ筋は通るし、単なる嘘ではないと捉えるのもおかしくはないという(西暦から転じてキリストをある種のモチーフにしてるのではと考察してる人もいるがはたして)

今回も両親を亡くしていて姉が唯一の肉親という景和に対し「家族を失う痛みを知っていて、同じ思いをする人を増やしたくないから世界のために戦えるのだろう」的な理解を示すようなことを言って焚き付けることで戦わせた上でアイテムを手に入れたりしてて一見するとだいぶアレなんだけど、今回出てきた英寿の母だという女性(ちゃんと英寿が母親って明言してたみたいだけどここもうっかり聞き逃してました すまない ウカツ!!)の回想やそれを思い浮かべてる時のいつになくアンニュイな表情や言動といった他のライダーに見せてない部分を踏まえると、英寿の真の動機が「母親」なのかなというのはざっくり感じ取れたし、故に景和に対し家族がいるからこそ戦えるんだなと称えるようなことを言ったことそのものも嘘だったとは思い切れないし、という感じでどこからどこまで他のライダーの騙くらかしのための方便なのか、彼のパーソナルな部分に掛かる本音なのか、が掴み切れないのよな英寿  第2話の献金の描写や今回の謎の女性の回想といった英寿の内面や背景を補強する描写が我々視聴者視点だと色々あるけど、その上でも現状完璧に掴み切れないというのはなかなか絶妙なバランスだよなぁと  

まぁ何はともあれ英寿が母親との間に何かあって、その母親を探してるらしいというのはうっすら見えてきたので、より英寿の背景や内面には迫れたかな?と  ここからどう発展していくやら

 

一方で、英寿に2度も謀られたのが効いてか景和がとうとう英寿にバチバチになってきたのが今後の展開にどう影響していくかというのも気になるところ。両親を亡くしていて姉が唯一の肉親、という景和にとってなまじデリケートな家族という部分を利用されたのも大きいかもなぁ  純粋(甘ちゃんとも言える感じだが)だった景和が人間の欲望渦巻くDGPに揉まれてどんどんスレていってるという感じだけど、これが闇の方へ転じるか、はたまた人間的な成長へ繋がるか、という感じだね 景和はヒーローらしさはありつつも人間的に甘くどこか不完全とも言えるというキャラ性はしていつつ、それを劇中全体だと否定も肯定もされてない状態でどういう風にも動かせる感じではあるので、気になるところだなぁと

 

 

以上、ギーツ第7話でした。DGP、ライダーといった諸要素の意味合いを作品としてグッと深めつつ、英寿のキャラにもより踏み込んだ情報の蓄積を為した回という感じで、派手さこそなかったもののドラマ的には見応えがあったなと感じます。ギーツ、他の視聴者さんも言ってるようにまだ序盤とはいえ良くも悪くも跳ねるようなインパクトには欠けるという感じはあるので、この期間がしっかり今後溜めとして活きるかどうかがミソね 見守らねば

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた