AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

「仮面ライダー舐めんな」

仮面ライダーギーツ

第12話「謀略Ⅲ:スロット☆フィーバー」

感想レビュー

 

 

ウィンくん、飄々としてるけど狡猾な感じのやつかと思ったがこれ意外に粗忽なやつだな...(普通にムーヴが怪しくて英寿に気付かれてる・文字のパズル入れ替えたけどこれ見よがしな傷の跡のせいで普通にバレる) 英寿が鋭いと言うべきなんだろうが、こんなウィンくんを間者としていて大丈夫か運営() まぁ間者としての活動はともかく今後ウィンがどのくらい活躍するかは気になるよな 早期に玩具でIDコア出たりと割と重要なポジションに置いてそうではあるのでモブってことはないだろうが

 

前回に続き怒涛の勢いで進む脱出ゲームを描いた今回のエピソード。ライダー・運営・一般人と色んなキャラが交錯しながらストーリーがかなり重厚に展開され、何気過去一で面白いエピだったんじゃないかなと ゲスト含めた群像劇的作劇が光る高橋脚本の真価だったのでは

 

最初に目を惹いたのはやはり景和/タイクーンの復活(というか途中参戦)  身体を張って若本達に先を譲った一徹さんやライダーでなくとも姉を守ろうと身を挺し立ち向かった良樹の覚悟と勇気を目にして自分の意志と力で戦う意味を思い出し、それを英寿が更に後押ししてライダーとして復活、と色んな人達に押されて再び立ち上がる流れは凄く熱かったですね。前回一徹さんの覚悟を目にし何かを思う下りがあった時点で、彼から託されたものを胸に立ち上がる的な流れになりそうとは思ってたので楽しみにしてたけど、それに加えて自分より弱く小さい筈の良樹の奮起や景和の強さを知る英寿の導きも受けての再起というのが主人公ヒーロー的文脈の重ね掛けでめちゃくちゃ痺れた。登場人物達をポジションごとに出せる味わいをしっかりフルに絞り出す形で活かしてるのが良い(姉を守ろうと立ち上がる良樹、という構図もよく考えたら姉を肉親として大切にしてる景和と同じだからそこで響くものがあったと読み取れる形になってるのも粋)  戦闘の方も共闘するギーツに相性の良いマグナムを引き当てつつちゃっかりニンジャも自分の下へ引き寄せるという相変わらずの豪運を奮いつつ、マグナムフォームギーツの掃射とニンジャフォームタイクーンの俊敏なムーヴのコンビネーションによるアクション・カメラアングル共に縦横無尽なファイトで魅せたりと見応えあって良きでした

 

また今回は不正上等な態度で自分を蹴落とそうとしてくる運営への英寿の直々の宣戦布告に合わせる形で、本作におけるライダー達の在り方を「ゲームの駒ではなく、自らの意志で自らの運命の立ち向かう者達」であるとしてきた展開運びも劇的でグッときたところ。最近ジャマトとの関わりについての仄めかしや英寿に対する妨害などくっせぇ背景や行動が運営側に目立ってきて「またそういう正義側っぽい組織がライダー達を手のひらの上でコロコロしてるパターンかぁ...」みたいに思い始めたところであったので、そこにおいて英寿がそれに踊らされないムーヴを披露すると共に、自分だけでなくDGPに参加するライダー達は皆自分の意志で選び戦っている者であるとハッキリ言い切ることで、「叶えたい願いのために命を賭ける」という本作における「仮面ライダー」の存在と戦いが内包する重みをカタルシスを持って改めて印象付け、暗躍する運営の一強みたいな空気を良しとせず全体の勢力図を程良くイーブンにし良い視聴感たらしめたのが痛快で気持ち良かったんですよね。景和の途中参戦を渋る運営を「DGPは仮にも世界を守るゲームなんだからライダーの参入を渋るなよ?(そこを渋るだけの後ろめたい要因があるのか?)」と煽る英寿の言動もキレキレで良かったよね  ライダー達が活躍する裏で実は真っ黒な正義側組織の誘導や黒幕の暗躍みたいなものが働いてるみたいなパターンはここ最近のライダーシリーズでは半ば常態化しててちょっと食傷気味だったし(それ自体はやるのは決して悪くないんだけど、一時的とはいえ主人公達ヒーローの活躍のカタルシスを少なからず削ぐ側面も有する作劇でもあるから何度も連続で見たいわけではないというのが正直なとこなので)、本作が組織の裏をじわじわ匂わせてきた段階で一見踊らされてる感のあるライダー側の方から彼ら全員の意志をひっくるめる形で「なめんなよ」と言ってのけてみせたのはここ最近のテンプレからのズラしとしても本作ならではのテーマ性の魅せとしても上手かった まぁDGP運営に関しては英寿に振り回されてる様やジャマトを管理するアルキメデルの独走などで一強ムーヴできてるわけじゃないとこを以前からちょこちょこ印象付けていたし、本作自体特定の勢力が一方的な優位を持ってるみたいな状況を意図的に持続させないようにしてる(そういう印象を視聴者にあまり抱かせないように意識してストーリーを動かしてる)とこはあるのかもね ここのパワーバランスの処理は好きだなぁ

その上で運営の方も良いとこ無しに描くだけでなく、英寿潰しを開き直ってやろうとするウィンをツムリが諌めたり等の一定の矜持みたいな部分も描くことで、ささやかながらもバランスを取っていたのはグッド。英寿の行動に不信や不満はありつつもフェアであることへのプライドをしっかり貫き、自分の意志を見せつける英寿の人となりは認めてるげに振る舞うツムリはなかなか良かったわね ギロリやウィンは必要なら不正も上等じゃという感じなのかもだしツムリだけがそうなのかもだけど、こういうキャラ一人がいるだけでも印象の偏りは起きにくくなるし巧いよほんとに

 

終盤ではフィーバースロットを各ライダー達が手にし、入り乱れながらのジャマトとの乱戦へ。戦闘中落っこちそうになった植木鉢を受け止め戻す、というところでさり気なくギーツ/英寿のヒーロー性を印象付けたささやかだけど粋な演出が好き  フィーバースロット、上下同一バックルのフォームという分かりやすい強化の付与だけでなく、出目によって他の大型バックルやアームド系もランダムで出てくるギャンブル性というところでかなり幅広い魅せができるのが面白いですよね。今回みたいに上下同一を揃えるために敵の攻撃を掻い潜りながら何度もスロットを回す駆け引きを見せることもできるし、逆にランダムで出た出目のフォームを逆転の一手として活用する魅せも今後入れ込んでいけるかもしれないしとランダム性ギャンブル性が思ったより楽しくて良いなと(既存バックルのフォームのランダムでの投入というのが良い感じに予算にも優しくて描きやすいしね ここの工夫はなかなか)

中でもギーツのマグナムフィーバーはアクロバティック且つ派手なアクションを存分に堪能できてかなり満足。両手両脚に砲門があるのを活かしたブレイクダンス風味のアクションとガンアクションの組み合わせによる360°全面に向けた立体的な掃射で雑魚ジャマトを蹴散らす様はアイデアの勝利という感じでなかなかに爽快でした 空中で散らしまくった弾丸が敵に一斉に向かってく必殺技演出も最高に好き(二丁のマグナムシューターだけだと単調なガンアクションになってたかもだし、武器無しのデフォでも銃撃の武装アリとしたのはナイスだったなと)  マグナムフォーム、毎度良い意味で勿体ぶってから登場させるから通常フォームながらも良いプレミア感と頼もしさがあるのは独特の味わいで凄く良いよなと改めて。ガンアクションの魅せはアクション的にもCG合成的にも難しめだろうし、そこを抑えめにする上でも良いのかもね  前述の幅広い魅せもあるしフィーバーフォームは特定の強化が少ないライダーとかにあてがう形で今後も積極的に活かして欲しいなぁ

 

そしてゲームクリアの後には、景和に参加権を譲渡し退場となった一徹さんとの別れの一幕が。一徹さん前回の時点だとまだ死んでしまうかもという可能性が半々であったから少し怖かったけど、身体を張って守り抜いた未来ある若者の一人である景和にしっかり未来や可能性を繋ぎ、悔いなく無事に退場となったので安心したね...こんな良い人が死ぬのは嘘だよ(今回一徹さん死なせてたらマジで逆に萎えてたと思うのでそこの筋通したのは絶妙)  一徹さん、まったりしたとこもここぞで勇敢なとこも年長者らしくてグッときたし、マジにヒーローって感じの一面も色々見られたしでモブライダーの中だと一番好きになったね 願い自体が程良く俗っぽく小さめだったおかげで脱落後もそこまで大きな人柄の変化はないだろうし(「若返りたい」を望まなくなる感じだからせいぜい「穏やかに余生を過ごそう」的なとこに収まりそうよね)、幸せに生きて欲しい

 

と、ライダーの入れ替わりがありつつ新たなフェーズにゲームが進む一方、アルキメデルがジャマトの農園でジャマト達に「デザイアグランプリの破壊」を激情と共に呼びかけていた...というところで締め。やっぱりアルキメデルはジャマトを扇動しDGP運営に謀叛を起こす形で世界を手に入れようとしてるのかな、という感じがしますね(前回のエピソードよく見直したら農園にデザイアドライバー沢山持ち込んでたし、ジャマトにドライバーを横流ししたのもアルキメデルでほぼ確定だろうね)  ジャマトへの熱の入れようといい、DGPに対するどこか憎々しげな様子といい、未だ知れない人となりを推察する材料はあるけど、まだ全然読めないすね ここは注目したいところ

 

 

以上、ギーツ第12話でした。色んなポジションのキャラクター達をしっかり印象深く動かすことで、景和の再参戦やライダー達の在り方の強調など本作らしい魅せをふんだんに行いドラマを大きく盛り上げた非常に面白いエピでありました。フィーバースロットを活かしたバトルも見応えがあってグッドでした

本筋的にも謎の存在アルキメデルが大きく始動してきたりとそろそろまた大きく動いてきそうなので目が離せないところ。ギーツのこれからの盛り上がりが楽しみね

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた