AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

明日の彼方へ繋がる今で

ウルトラマンデッカー

第15話「明日への約束」

感想レビュー

 

 

デッカー・スフィア・ダイナ・バズド星、その他諸々考察 - AnDrew’s小生意気レビュー記

第14話放送の後に書いたコレ↑でデッカーのスフィアの正体やらなんやらについて色々絡めながら考察したりしたけど、実際のところはまだまだ謎めいた感じになりそうで個人的にはこっちの方がありがたい デッカーくん、あくまでも一作品として完成させることを意識してる感があるので、ダイナに関しては精神性とかはしっかり踏襲しつつもこれ見よがしに原典の設定や要素に踏み込みすぎないのでめちゃくちゃ礼儀が正しい デッカーくんがオマージュ作として理想的な振る舞いしてくれてるのは個人的にとても嬉しいです

でもアガムスが「宇宙の摂理」と呼んでたのはダイナのスフィアのイメージからは少し違うところであったのでここがどう膨らむかは気になるところ。文字通りそう言って差し支えない超常的な存在なのか、そう呼ばざるを得ないほどの圧倒的な存在なのか、ってとこよな(放送開始前のインタビューでは本作のスフィアは本作のならではで組むみたいな旨のことを言ってた覚えがあるので個人的には大きく変えてきて欲しいね 発展しすぎた文明を破滅させる宇宙の自浄作用、とか)

 

怒涛の展開巻き起こりで盛り上がった前回からの、真相解明とカナタ覚醒を描いた今回のエピソード。まぁアレよな、控えめに言って最高でしたわね 強化フォーム登場の節目としてもかなり熱かったぞ

 

というわけで今回は前半パートからデッカー、スフィア、アガムスなどの諸要素にまつわるデッカーの物語の根幹を紐解く展開が描かれましたが、これらが未来から来た存在だったというのは意外で驚きましたなぁ 谷口さんが「先代」デッカーであるという情報がある分、ナチュラルに過去から来た存在だと思い込んでいた分不意を突かれたすね

そんなデッカーの物語の全ての始まりは、アスミ一家の宇宙せんべいが火星に進出するほど時の進んだ数百年後の未来にて、進んだ文明を取り込むことを目的とする侵略者・スフィアと宇宙進出した人類が遭遇、スフィアの侵略に対し人類は様々な星の者達と力を合わせ戦っていた...というのが真相。その中にユザレやダイナもいた、ということでトリガー客演回や前回の予告時点でのダイナの存在の示唆も程良く回収し良い感じに全体がスッキリと引き締まりましたね。ダイナはまぁアスカが今色んな宇宙を旅してるってのがあるからその中での手助けの一環だろうと分かるけど、ユザレはシズマ一族の子孫に継承された別の精神体が一時的に送り込まれた的なアレって解釈で良いのかな

 

そしてアガムスはそんな未来において人類の宇宙進出により滅んだというバズド星の出身であり、その復讐のために現代の地球へスフィアを連れてきた、という背景が判明(時間遡行の限界ギリギリであるカナタ達の時代を狙ったのは、少しでも技術発展の及んでない時代を狙ったからか)。デッカーのみが目的と思われてた前回から一転してだいぶダイレクトに地球の脅威って感じの一面が窺えました。

ただ現在(未来の話だが)のバズド星はスフィアに飲み込まれかけてはいるもののまだ住民達が抵抗を続けている、しかし一方でアガムスはスフィアに抵抗したところで無駄だと絶望しており、地球にバズド星と同じ運命を辿らせようとしてる、みたいな話も出てはいたので、この辺を両立させた解釈をまとめるならば、

スフィア侵略に対抗するために地球人類とバズド星が接触

スフィアがバズド星にも牙を剥く(スフィアの脅威になり得るブレイクスルーが人類とバズド星の接触で起きたのかも)

バズド星が飲み込まれかけの壊滅状態に陥る

アガムスはそれに絶望しバズド星を諦める、そして故郷に破滅をもたらした遠因である地球人類を憎悪し、復讐を決める

といった感じなのかなと(人類が宇宙進出の中でかち合うことになる存在─ネオフロンティアスピリッツの壁、的なところで、正しくダイナオマージュの作品の敵って感じですね。ダイナはそれをバラエティ豊かに各エピソードで描いてきたけど、デッカーはスフィアのバリアで隔絶された地球が舞台なだけに必然的にその手のタイプの敵を描く余地は無くなるから尚更出した時の存在感は大きくなるし、アガムスにその軸を集中して与えてドラマ性を高めたのは正解だなと感じます)

とするとアガムスのキャラの軸は、自棄を起こした私怨ゴリゴリの八つ当たり同然な復讐者、とも言えるので、この手のキャラ造形はなかなか新鮮かつ強烈で面白かったですね。その手のキャラは他作にもいるかもだけど、ここまで私怨の一面を初期からガッツリ出してきてるのは珍しいよなという。故郷を想ってることに違いはない分同情の余地はありそうだし、地球人類との因縁の部分がまだはっきり描かれてないだけに今後の掘り下げ次第でどうなってくかはまだ分からないけど、現状はマジに地球とデッカーを憂さ晴らしに潰そうとしてるも同然の存在って感じ(スフィア的にも「なんかめっちゃキレてる奴がいるけど自分達の邪魔とまではいかないしほっとこう」くらいの扱いになりそうだし、ホントに第三勢力といった感じね)なので、ここでどう暴れてくるか、今後どう変わっていくか、ってところが楽しみですな

 

という怒涛の展開の中、様々な真相や因縁を明かされ、自分の命に代えてでもアガムスを止めるという先代デッカーの謎の男の想いを知ったカナタでしたが、ここで「生き延びて未来で戦う仲間達と一緒に戦い抜いて欲しい」と謎の男を叱咤すると共に、「巻き込まれたからではなく、自分や仲間が生きるこの世界を守るために戦う」というウルトラマンの光を手にした自分自身の決意を示し、再び男から光を託されて今一度「ウルトラマンデッカー」として立ち上がる、と実に熱くカッコいい姿を見せてくれました。分からないことだらけな中で目の前の守りたいものを守るために真っ直ぐに突っ走るのが精一杯というところにあったカナタが、自身の手にした光がどこから来たのか、それを手にし戦う者の想いとはなんなのかを知ったことで、自分もその光を「希望」として受け取った者/ウルトラマンとして、自分や大切な人達が生きる今のこの世界を守りたい男や彼の守ろうとしている仲間達が生きる未来へ繋がるこの戦いには負けられない、という自分自身の意志で戦う決意と指針を示す流れはとてもグッときましたね。カナタ自身の「今ここで戦う、守るべき大切なものを守る」という「今」にかける想いをしっかりと固めることで本作ならではの熱さを醸すと共に、「そこから未来へ向け突き進み繋いでいく」という「未来」を見据えた覚悟で、本作の原典たるダイナの物語の根底に根付くネオフロンティアスピリッツをたしかに踏襲してもみせるという、デッカーという一作品の物語としてもダイナリスペクトの作品の物語としても完璧と言っても良い美しい精神性と決意の提示、凄まじく痺れた...今までは「分からないことだらけな中で今この瞬間にピンチになってるものを助けたい」というカナタのがむしゃらな真っ直ぐさの表現であったカナタの決め口上たる「今やるしかねぇんだ!」が字面こそ同じだけど、今回の話を経たことで自分が今生きてる今この世界(そこから繋がっていく未来)をウルトラマンとして守ってみせる」という旨の決意の言葉に変わる、というこの意味合いの変化・パワーアップも芸術点高すぎて最高なんですよね...「今」の重みと深みが増したことで、意味合いとしては「今はとにかく頑張る!」的なところから「今のこの世界を俺が必ず守ってみせる!!」というところに変化したのがアツい

 

そしてそのカナタ覚醒の末、カナタ自身の強い想いと男から託された力とが合わさって誕生するデッカーの新形態・ダイナミックタイプ。この活躍も超絶良かった...!テラフェイザー相手の一歩の退かないアクション、合成多めのスフィアソルジャー軍団を蹴散らす迫力満点のパート、スフィアザウルスを一撃の元に蹴散らす外連味、とどれもたまらんかったね

男の変身したデッカーの見様見真似といった感じでタイプチェンジを駆使したりして戦うも男に比べ戦闘が洗練されてなくてテラフェイザーに遅れを取り続ける、というカナタデッカーの及ばなさや未熟さを先に敢えて描いた上で、カナタ自身が手にした、カナタだからこそのデッカーの姿たるダイナミックタイプの誕生と怒涛の逆転を描くことにより、アスミカナタが変身し今この瞬間にこの世界のために戦うウルトラマンデッカーの存在の大きさをバチコンと我々に叩きつけてくる構成があまりにも粋だし、強化フォームのデビューの文脈としてこれ以上なく完璧で唸りましたねぇ

ダイナミックタイプ、ビジュアル公開当初は配色や頭部のデザインがあまり好みにはハマらなかったものの、実際に動くところを見た上での印象は案の定違っていてなかなかカッコよかったし、何より上述のストーリーの文脈の乗せ方がしっかり効いて凄くグッとくる形態の一つになりましたね。デルタライズクローはカッコよかったけどドラマ的な文脈との相乗はちと弱め、グリッタートリガーエタニティはデビュー回前後編の流れにそもそもあまり乗れず、と最近の強化フォームエピがもう一つって感じの続きだった分これは燃えた Twitterでも言ったけどデッカーシールドカリバーも近年のウルトラの強化フォーム武器としては良い意味でかなり玩具感抑えめなデザインで好感。ここは前作のグリッターブレードもそんな感じだったしノウハウが活きてきてるのかなと

 

こうして戦いは終わり、アガムスはまだ倒れてはいないという不穏さは残りつつも、男─デッカー・アスミからウルトラマンとしての想いと世界、アガムスを救って欲しいという願いをカナタが託される形で話は締めとなりました。アスミ一族、数百年後の未来で子孫にすっげぇ名前付けてんな!!?まぁ普通に数百年後だとあのネーミングがトレンドってとこなんだろうけども、でもちょっと面白くはあるよな...w  デッカー・アスミ、ウルトラマンとして戦ってる時はカナタとは全然違うとは思ってたけど、ちょっと軽めなところはありつつここぞで熱血なとこはちゃんとカナタっぽくて、やっぱ血筋なんだな...とちょっと感じられたのが良いよね。良いキャラだし終盤にもう一発くらい来て欲しいな

またアガムスの方も、生き延びこそしたけどデッカーへの大敗が堪えたみたいで今後どう首を突っ込んでくるかは気になるところ。レリアの姿も回想で描かれ、リアクション的に相当大切な存在だったんだろうなというのは改めて感じられたので、この辺の背景もちびちびと明かされるのが楽しみである

 

あとテラフェイザー、今回盛大にこっぱみじんになっちゃったけど今後どうなんのかな...TPUに技術のノウハウは残ってて、アガムス設計じゃない分グレードダウンしつつもHANE2操縦で一緒に活躍なのか、アガムスがカードを使ってまた召喚しけしかけてくるのか...味方でいて欲しいなぁ...HANE2の活躍も好きだったしな...見守ろう

 

 

以上、デッカー第15話でした。純粋な一作品としても、ダイナという作品のオマージュ作としても、「ウルトラマンデッカー」という作品としてこれ以上なく素晴らしいものを見せてもらった最高も一エピソードでしたね。これはNEW GENERATION DYNA...カナタの主人公度が一気にガンと増してより頼もしくなって良き良き ダイナミックタイプもカッコよかったぜ

さぁアガムスの存在も関わってきてスフィアも更に攻勢を強めてきそうなこの先の展開がますます楽しみになってきたデッカー、ここからの追い上げにも期待が高まりますね 良いもの見せてくれ

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた