AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

妄執の先で

ウルトラマンデッカー

第24話「夢の果て」

感想レビュー

 

 

[約3週間ぶり]マナカケンゴさん 年末のマザーとのしばき合いからやっとひと段落[満身創痍]

年末休みに総集編まで重ねられるとは誰も思うていなかっただろう(

 

スフィアバリアの収縮により刻一刻と近づく地球の危機の中繰り広げられたGUTS SELECTの死闘、アガムスとの決着が描かれた今回のエピソード。最終決戦前らしい怒涛の熱量でストーリーを牽引し大詰めへと繋いだといった内容になっていましたね

 

長らく続いたアガムスとの因縁も、カナタの決死の呼びかけを受けたアガムスがスフィアに侵され自分を失くしていく中で、かつてレリアが地球という星を愛し焦がれていたことを思い出し再び目覚めると共に、レリアの愛した地球を守るためにデッカーの手を取るという形の着地と相成りました。レリアの受け売りだったいつものあの長い口上の続きに「だいぶ覚えたね、地球の言葉」というアガムスの語りが加わったことで、あの言葉が思い焦がれる地球の言葉を少しずつ覚えようとしていたレリアの生きた足跡であったと明かされ、そして彼女とアガムスが一緒に地球/他の星の人々を愛していたことを示す証となってアガムスの心を正しい道へ引き戻すという運びはあの言葉を取り巻くアガムス・レリア周りのドラマの引き締め方として上手かったしグッときましたね アガムスにとってあの言葉がレリアを忘れないための言葉だったことに違いはないんだろうけど、レリアを救えるなかった自分のことが許せなくて地球への逆恨みを決めた時から、その言葉がレリア(と自分)の地球への想いを示すものであった事実は心の奥へ閉じ込めてしまった(無意識のうちに封じてしまった)んだろうなぁ...それすらもスフィアに侵され忘れようとしてた時、カナタの全力の呼びかけでそこにもう一度思い至れて戻れたといったところか

 

という感じでアガムス周りの決着のさせ方には相応の感慨があったので概ね満足という感じでありましたが、同時にデッカー後半を通して描かれたアガムス周りの展開の(実質的な)総括としては「まぁこんなものか...」という物足りなさの否めない印象になってしまったのも率直なところ。アガムス周りを最終局面まで少しずつ丁寧に掘り下げクライマックスの展開にて一つのヤマとしてきたこと自体は良かったものの、結果としてアガムスの内面やカナタとの関係性といったところがずっと平行線みたいな状態で続いて少々のマンネリを生むことにもなってしまい、こんだけ引っ張った割には...と感じてしまったんですよね(記憶喪失になったアガムスとの対話を経つつも結局ピリピリとした対峙関係自体に変化はなかった前回とか、ストーリー上の意味はあるながらも流石にうーんって感じでしたし)  作品テーマやキャラ性等をじっくり煮詰め掘り下げてくれるデッカーらしい堅実な描き方により、原典ダイナにも通ずる「人類の宇宙進出に伴い牙を剥く者達」というところへの集中的なフォーカスやニュージェネ悪役らしい連続性のある対立構図などといったリスペクトやエンタメ性を醸しながらアガムスのこともだいぶ丁寧に描いていたとは思うのですが、その丁寧さが却って終盤までアガムス周りを引っ張ることになって冗長さに繋がった感は否めなかったというところで、ここはなんとも悩ましかったなぁと。堅実で丁寧な諸要素の描写や掘り下げを一貫した軸にしつつ、前半は怪獣特捜的な古き良き方式を主体に、後半はメインの敵となるアガムスを据えて縦を強めていく、という作劇の転換自体は最初面白いなと思ってただけに、結果的に前半後半の作劇のカラーの変化と堅実さの一貫が上手いこと噛み合わなかった感があるのが惜しい ヴィラン枠の取り回しをストーリー全体でやや持て余してしまう感じとか、結局「いつものニュージェネ」っぽく収まりそうなのはなんとも

 

またここにきてカナタがスフィアに同化され始めるという衝撃的な展開が叩き込まれましたが、びっくりしたというよりもこれをこの最終回1話前になって急に入れ込んできて大丈夫?という印象の方が強かったというのが正直な感想。妙に意味深に明かされた割には本エピソード中でカナタの動きを鈍らせ戦闘に緊張感を与える程度の意味合いでしか活かされなかったし(深手を負ってる、という設定で代替しても描写上全く問題ないんですよね)、次回何かあるんだろうというのはイメージできても次回がもう最終回、それもマザー襲来でかなり大ピンチの状況というのに更にイベント増やしてちゃんとドラマとして活かせるの?という不安感の方が強いので、現状だと「カナタはどうなるんだ!?」という不安感を安直に煽っただけにしか思えないんですよね。「スフィアと同一化してるのを活かして本体のマザーを弾く一手に繋げる」的な声もあったしまだ期待の余地はあるけど、初出となった本エピの段階でアガムスの話に食われて大して作劇上での劇的な緊張感を印象付けられなかったのは失敗だよなと  ともあれ不穏さをとりあえず出すためだけの不穏要素みたいなどっちらけにならないのだけは願う

 

かくしてストーリーはマザー襲来、アガムス散華といった波乱の中で最終回への繋ぐ形で締め。デッカー、トリガー、テラフェイザーのトリオを相手取りつつ重量感のある攻撃で全員を蹴散らしたマザーの存在感はラスボスとして良きであったので最後良い感じに跳ねてくれるのを期待したいですね  しかしアガムスはこれで完全に終わりなのかなぁ...アガムス周りはせめてイメージや回想でもなんでも良いから谷口さんの新撮も交える形でデッカーおじさんの存在を絡めてから締めて欲しいと願ってたし、このまま良い感じに散っておしまい、は勘弁願いたいなぁ デッカーおじさんせっかくレリア共々アガムスに縁深い人物なのに先代デッカーでしたのサプライズで終わらせるのは勿体なさすぎるし

 

 

以上、デッカー第24話でした。色々勿体なさを感じたところやほんとに次回消化できるんだろうかと心配になるところなどあってちとモヤったものの、アガムス周りは良い感じに納得できる着地が見られて満足だったかなといったところ。もう次回で終わりというのがあまり実感無い状態であるのだけど、ここからどう纏めてくるやら スッと気持ち良く終われると良いなぁ

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた