AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

お前は元からスフィアだろ

ウルトラマンデッカー

第21話「繁栄の代償」

感想レビュー

 

 

スフィアザウルスくん、酷使されすぎ問題() スフィアにとってバリア収縮の要たる存在であることを示していると言えるのである種の存在感ともなってて良きなのだけど、スフィアザウルスくん専属すぎて毎度毎度めちゃくちゃ呼び出されてるのが若干シュールでもある。w 死んでも代わりがめちゃくちゃいるからよぉ(

 

しかしスフィアジオモスくん、すこぶる良いデザインしてるだけに尚更ネーミングのもうちょいどうにかして欲しかったな感があるのがもったいないすね...ジオモスくん、君は元々スフィアや ジオモス系列の派生としての「ギガジオモス」みたいな感じだったらまだ受け入れられたかもだし、スフィア〇〇の法則に沿うならいっそ新しいネーミング用意してジオモス意識してない新しい怪獣にするくらいした方が良かったなと思う

ネオメガスよろしくスフィアジオモスよろしく、原典ダイナの怪獣を意識した怪獣を送り出してくれるデッカーのスタイルは非常に嬉しいのだけど、一方で原典を意識して忖度してくれなくとも全く新しい怪獣をじゃんじゃん生み出してくれてもええんすよ、と思う気持ちもあるんですよね(もしかしたらあるかもしれないニュージェネGへの路線に対する意見という意味合いも込みで)  ニュージェネ〇〇路線、ひいては最近のニュージェネウルトラマンそのものへの想いでもあるのだけど、何かしらの作品を原典としてオマージュしたり設定的な接続を持たせたりという形で諸要素をその作品の色に寄せる作品・キャラ作りのスタイルが続くのは少なからず今ある作品のオリジナリティを損なっていってしまう部分が無くはないと思ってるので、ここにはできれば早くキリがつく日がきたら良いなぁ...と思ってるというのが本音 ノウハウや精神性といったところの蓄積の活用による新たな作品の創出とはまた違う話になっちゃうから一概に「今までのシリーズの築いてきたものが活きてる!」と賛美するのは違うと思うし、また反対に「原典要素に負けない独自の個性を持たせていこう!」的な気風がしっかり踏まえられるとしても、偉大な原典が根幹にあるとなまじ気負いすぎて色々突き詰めすぎてしまい、シリーズの根幹や柱を為すならではの味わいからあまりにも外れたものが出てくる危うさ(それが新しい魅力になるのは勿論あると思うけど逆もまた然りということで)も少なからず内包してるのではと思う面もあるしと、過去とは程良いリスペクトと距離感をもって付き合って欲しいな...という感じのニュアンスです  新しいものを作るだけで存続させていくのも難しい的なところはあるんだろうしそこが安定するまではファンとして理解を示していきたいけど、最近は円谷さんも大きく巻き返してきてるらしいし、ゆくゆくは変わっていくものもあると良いなぁと思います

 

 

まぁ本題から外れた話が長くなったんでそろそろデッカーの話へ。

今回は人類の発展がもたらす壮絶な戦いの未来の示唆というデッカーの本筋にもまつわる要素を強調すると共に、それでも進み続けることの意味を問うたドラマが軸となったエピソード。そこのリンクさせる形であるデカいイベントもあったりと割と盛り上がった回であったなと

 

スフィアの死骸を利用した技術・Sプラズマの登場、およびその発展を過信したが故のもたらされる危機というところが今回の話の軸。ウルトラシリーズでは半ばお馴染みな「宇宙人や怪獣といった存在の底知れなさを軽んじ、技術を過信してやらかす展開」を即オチ2コマばりのスピードでぶっ込みつつ、Sプラズマで滅びに向かう人類、およびそのSプラズマを戦いという形でまた利用しようとするGUTS-SELECTを描き、スフィアを利用しスフィアとの闘争に振り回される者達をアガムスが皮肉る展開が目を惹きました。「スフィアを舐めてかかり制御下に置けると思い込んだ結果がこのザマ、しかもそんなことがあったのにその技術をスフィアとの戦いに利用する(あまつさえそれで決着させられていない)なんてと愚かだ」と吐き捨て、自身の体験した「人類がスフィアを連れ込んだが故にバズド星は滅び人類も危機に陥っている」という悲劇の未来を人類は必ず辿ると突きつけてくるアガムスの姿からは、改めて彼の抱く底無しの憎悪が感じ取れましたね...その迫力に押されたが故に一時カナタが人類の未来を信じることができず戦えなくなっていたのといい、アガムスは色々タチが悪い奴ではあるんだけど、本人の中には人類への憎悪というめちゃ太い芯が通ってるから圧倒されるよなぁ  この辺が他の悪役キャラとはちょっと違う味わい

 

しかしそんなアガムスの主張から一転させる形で、「未来がどうなるかは分からないけど、何もせずして拓ける未来はない」という、未来へ進むための発展と成長を恐れないネオフロンティアスピリッツをダイレクトに押し出した解を繰り出し、カナタのがむしゃらな再起も含めたカタルシスとしてきた流れはとても熱かったです。原典ウルトラマンダイナの物語を支えるテーマの一つであるネオフロンティアスピリッツ、デッカー前半においても要所要所で細かくリスペクトしてストーリーに落とし込んでる様がとても味わい深かっただけに後半ちょっと抑えめになってたのがちと寂しかったのですが、ここにきて最高に痺れる形でぶっ込んでくれたのがたまらんかったすね(特にアガムスは「滅びの未来が分かり切っているからこそ人類の発展を許さない」というネオフロンティアスピリッツの対偶たる存在だったので「原液のネオフロンティアスピリッツぶち込んでやれ...!」とは常々思っていたし、まだアガムスと直接相対する形でではなかったものの良い形でアガムスに主張を跳ね除けるパワーになってくれたし燃えた)  人類のSプラズマ利用に関しても決してアガムスの言っていた悪しき面ばかりではなく、ソウマも言ってたように社長の「大いなる脅威のせいで停滞した人類の発展は、その脅威を乗り越え取り入れることで進めていくべき」という未来を見据えた信念自体は決して間違いではなかったり、GUTS-SELECTのSプラズマ利用も危機をもたらした技術をその危機を乗り切る形に活かし直す人類の前向きさの象徴と言えたりと、とどのつまりは「テクノロジーは使う者の意志と使い方次第」というところなのよな そこを前向きに見られないところは今のアガムスの心の絶望の程といったところか

ただこのネオフロンティアスピリッツという部分をアガムスの主張への切り返しという流れ含めて示すにあたっては、今回のストーリー展開は正直ちょっと消化不良感があったというか、色々割を食った部分は多かったよなぁとも思う次第。Sプラズマ開発してた社長がムーヴとしてちと露悪的だったのはまぁよくあるよくあるという感じだったけど、話の流れとして即やらかししてそのまま自分勝手なとこ見せたままフェードアウトというのはシンプルにモヤっとした感は否めなかったし、Sプラズマを利用したGUTS-SELECTの作戦も後述の客演部に押されてやや割を食ったまま終わった感じはあったしと、アガムスの主張からのカナタの再起という方に色々振りすぎてたとこはちょっと勿体無かった 今回の話のSプラズマ周りの展開はちょっとダイナの第4話(ダイゲルンの話)のジオシティの話彷彿とさせるものがあったように思ったんだけど、あの回のジオシティ開発の社長も人類の発展を意識し過信をしすぎたばかりにやらかした点こそ同じだけど、自分のやったことを見つめ直してまた新しい発展の道を見出していく希望ある意志を見せてたのが良かったし、今回の話もそういうところに繋げる導線は欲しかったなーと(デキサドルの回なんかでも顕著だけど「間違ってもそれを見つめ直しまた歩き始める」というところまで描いてこそのネオフロンティアスピリッツだからYO)

 

そしてある意味今回の一番の目玉となったのが、スフィアジオモスが開いたゲートを潜って未来からやってきた歴戦の勇士・ウルトラマンダイナの参戦。前作のアレもほぼこのくらいの時期だったし、敵がジオモス系列なので先週時点からダイナ客演の可能性は噂されてたけどマジに来たわね

正直原典客演に関しては前作のアレでだいぶモヤモヤする想いしてキレ散らかしてしまったのが良くない思い出になってるのもあって、本作もダイナ客演はできればしなくて良いよ的なスタンスでいた(デッカー自体ダイナ要素は仄めかす程度に留めてここまで来れたのだからもう本人は出さずにデッカーという作品として突き詰めて欲しいと思ってたし、そもそもオマージュ作だからといって原典作品を直接的に絡めて主人公客演させる必要も義務も全く無いと思ってたしで前作のアレ抜きにしてもあまり乗り気でなかったのがある)のだけど、それはそれとして出たならちゃんとやって欲しいな...という想いもあった中でも割と満足いくものが見られたというところではあったのでなかなかに良きでありましたね。ここ最近余裕ありすぎな落ち着きあるファイトスタイルがメインだったダイナがTV本編さながらな泥臭めな熱いファイトスタイルを見せてくれたことといい、スフィアジオモスとテラフェイザーの攻撃を物ともしないデッカーとの疾走がちょっと平成期の演出っぽい質感でおおっとなったことといい、我々20代後半のじじい共が親の顔より見た当時のダイナっぽい演出をふんだんに入れ込んでくれたことがかなりポイント高かったです ちゃんとタイプチェンジがストロング(からのフラッシュ往復)のみで大元の設定が踏襲されてたり、ウルトラフォークが凄く良い局面でより外連味ある形に入れ込まれてたりといった細かなところも嬉しかったですわよ(リアルタイムで観てた時は気付かなかったけどラストのデッカーに対する「未来は誰にも分からない」も少年宇宙人の回の台詞だったとのことだし、変に目配せ感無いレベルで話の流れの中にこういうのを自然に落とし込んでたのは好感)  ティガがトリガーと並び立って漫然と同時タイプチェンジや同時必殺技を繰り出すだけだった前作のアレがほんっとうに不満だったので、再起したカナタ/デッカーの満を辞しての参戦という段階を踏んだシチュエーション作りもちゃんと効いた今回の魅せはだいぶブラッシュアップされててそれだけでもだいぶ満足度は高かった ホントに前作はなんでああだったの...(しかも同じ田口監督回だというに)

あと一番おでれぇたのはダイナの変身登場時のグングンカットやタイプチェンジ時のカットがまさかのダイナ序盤のCG使ったverのやつだったことよ 他の客演作品だともっぱら普通のグングンカットとかが使われてたし変化球として入れ込んだんだろうけどまさかのすぎてたまげたし、かーなーり忠実に構図やエフェクト再現してたので流石にアガりましたわよ(試行錯誤が窺えるCGをフルに使った当時と異なり、シームレスで実写も交えてた辺りが技術の進化を感じたわね) 良い遊び心だった

 

でもダイナの客演も割と良いものは見られた的なところはありつつも、ちょっと登場が性急気味だったりアスカの登場とかが無くてややダイナのキャラ性の弱さが若干引っ掛かったりと気になる部分もそれなりにあったなーというのは正直なところ。ティガは設定的にある程度その辺割り切って客演させても自然なんだけど、ダイナは割とアスカの登場とかとセットなのがデフォで、且つアスカの存在がストーリーに絡んでくることも特徴であっただけに、ここにきて前作のアレにおけるティガと同じような質感での登場になったのはちょっと違和感だったかなぁと。アスカを敢えて出さなかったからこそ変に意識してる感じがなくてデッカーの物語として引き締まったとこはあるのでそこは良きであったしトレードオフかなとは思うんだけど、ラストのカナタ/デッカーに対する後押しをはじめ、アスカを登場させた上でやった方がドラマ的により見やすくなったかなと思う部分もあったので、この場合ならいっそアスカを出すことも込みで前後編くらいにして突き詰めた方が良かったかなとは思う 上述したSプラズマ周りの展開も前後編の尺の中から社長の改心と協力みたいな流れも入れ込めてよりドラマ性高められたのではと思っちゃうし、この辺はだいぶ勿体無い(前作のアレもそうだけど、今回のエピも原典客演と並行させたことで全体的になんか駆け足で消化不良になったとこが少なからずあったように思うし、このニュージェネ〇〇シリーズにおける原典客演回って実は製作陣的にも目の上のたんこぶなのでは?と邪推してしまう。客演というフォーマットそのものをとりあえず盛り上がるものだからと漫然とありがたがって尺を逼迫しながらやるくらいならやらなくても良いけど、と思っちゃうなぁ)

 

と色々ありつつ決着した今回の戦いでしたが、テラフェイザーに搭乗したアガムスが何かに苦しみ途中離脱する一幕もありここは気になったところ。Sプラズマよろしくスフィア反応が感知されたという言及があったので、おそらくテラフェイザーの動力にスフィアが使われてる的なこと(それがSプラズマ同様に突然暴走した?)なんだろうけど、これアガムス大丈夫なんすかね...もしかしたら「人類はスフィアを使ってやべーことになっとるやん!って笑ってたけど結局アガムスも同じなのでは?」という皮肉がドラマ的にあるのかもしらん まぁここは次回以降の答え合わせ待ちか

 

 

以上、デッカー第21話でした。ダイナ客演ということで割とヒヤヒヤ気味に観てた回でしたが、客演周りは上手いこと遊び心が出てて面白かったし、デッカー本筋的にも良い面白さがあったしと悪くない出来だったので概ね満足。客演絡んだが故の色々な勿体無さもあったのでなんともというところではあったけど前作からの悪印象を払えるくらいには良きであったかなと

さて本筋の方もいよいよ大詰め感が出てきましたが、ここからどう跳ねるやら 楽しみです

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた