ウルトラマンデッカー
第22話「衰亡のバズド」
感想レビュー
チャンドラー、約半世紀ぶりにTVシリーズで大立ち回り!!
チャンドラー、前半数分でGUTS-SELECTに沈められ爆散!!
チャンドラー「訴訟」
まぁ予告の時点で半分くらいは予感してたとこあったけど、チャンドラーがウルトラマンとのマッチも無く前半で倒されちゃう、身も蓋も無い言い方だと作劇上の噛ませとしての登場だったのはちょっと寂しいところでしたね...せっかくソフビとかも作られたというに 多々良島勢やツイフォン勢みたいなサブ怪獣勢にもウルトラマンと戦う機会をあげてやってくれないか(迫真) とはいえ今回のチャンドラーはGUTS-SELECTの戦略の巧妙さが引き立ち良い見せ場になったという意味では意義ある活躍だったとは思うので難しいところですね...(今回の構成上テラフェイザーの前座というの自体は確定だったろうし、その上で中途半端にデッカーとマッチしてサクッと片されるとかだったら余計モヤっただろうからこれが落とし所だったのかもしれん)
未来で起きたバズド星でのアガムスの悲劇が遂に語られ、苛烈を極めていくアガムスの激情をいっそう印象付けた今回のエピソード。地球人とバズド星の関係やそこから来るアガムスの地球人に対する憎悪は、「スフィアに対抗するための技術提携という地球人の申し出をバズド星が呑んだことでスフィアがバズド星に目をつけた」みたいな双方の関係性というところで難しい事情を孕むものかと思ってたけど、実際のところは「バズド星に不時着した地球人をアガムスが救い、その地球人から聞いたスフィアとの闘争の話を聞いたアガムスが自ら協力を申し出たことがきっかけ」と地球人側の責は正直無いようなもの、というかほぼほぼアガムス自身が招いてしまったという感じであり、本質としては本当にどこまでもアガムスの八つ当たりでしかないのだなぁと実感させられましたね...しかもアガムス自身、科学への過信も含め自分に咎があることは自覚していてその上で暴れ散らかしてるのでマジで無敵の人すぎる それでいて「現代の地球を潰せば今のバズドは滅びずに済む」が動機の一つであることも語られたりしてる辺り、やっぱり根は真面目で善良なんだよな...と感じられるとこのがまた物悲しい。自分のせいでバズド星が危機に陥ったことへの罪悪感とかがなまじデカいんだろうな...
けどアガムス、全部分かった上でやってるのだと言って地球人に対し色々仕掛けてきてはいるけど、前回スフィアを利用し危機に陥っていた地球人を批判してた自分もテラフェイザーの強化のためにスフィアを利用していてぐんぐんと破滅の道をまっしぐらしてることといい、色んなものがブーメランとして返ってきてるのは果たして自覚しているところなのか否か...とは思うところ(前回もテラフェイザーのスフィア反応に触れて同じようなことを少し考えたけど、やっぱりここはアガムスに対するブーメランを意識した描写だったんだなと)。特に「現代の地球を滅ぼしてバズド星との接触を絶てば今あるバズド星が滅びることはない!」というところを強く押してるとこに関しては、他でもない“アガムス”というバズド星人が現代へ渡り、目的が別にあったとはいえ地球で対スフィア兵器としてバズドの科学を注いだテラフェイザーを完成させ成果を発揮していることは、アナタの言う「地球人とバズドの接触」が現代で起こったことになってんじゃないの?と思うわけで...この流れで現代に渡ったスフィアもバズド星の科学力を認知する運びとなり、地球の滅亡とは別で現代のバズド星に戦力を送り込むとかになったらマジで本末転倒すぎるし、そうなった時はもういよいよアガムス立ち直れなくなりそうなんよな...開き直ってせめてなるようになれと暴れてた男がそのなけなしの自己満足さえへし折られて絶望するの、正直愉悦部的には美味しすぎるのでそうならないか楽しみにしてるとこはあるが(最低)
そんなアガムスが繰り出すテラフェイザーとデッカーの一騎打ちが後半の見所。廃墟のようになった街の中心での馬乗り状態からの殴り合いや、抜け落ちた穴の底の燃え盛る世界の中での取っ組み合いなど、激情に囚われるアガムスとそれをなんとしても止めたいカナタの意思が色濃く表れ出たかの如き両者の泥臭いファイトがめちゃくちゃ見応えあって最高でした。光線のクロスカウンターとかいう斬新すぎる演出めちゃ好き ウルトラマンや怪獣の流暢な喋らせを沢山入れたりといった中のキャラクターの人格を濃く出してくる良くも悪くもニュージェネお馴染みな演出も、今回のこのシーンに関しては両者の対峙を精神的・物理的な両面からグッと引き立てていて上手くハマっていたし、なかなかの好演出だったのではないでしょうか やはり辻本監督はこういうあまりウルトラシリーズ的でない演出やアクションを上手く織り混ぜ昇華させるところに関しては凄く強いなと(テラフェイザーの出現を受けて急いで逃げようとしてるからか自動車道の上を爆速で駆けていく車が道路側面に車体を擦らせてるところとか、壊滅して黒焦げの廃墟となり水道管から水が溢れてる痛々しい様子の路地を縫うアングルからデッカーとテラフェイザーの取っ組み合いを描くところなど、ミニチュアに凝ってるところも印象深く魅せてきてるのがまた良き)
しかしカナタの決意はもう「アガムスに何があったかは察しきれないが、それでも止まるわけにはいかないしなんとか救いたい」というところでブレなくなっていてこれはこの終盤の展開の中ではめちゃくちゃ頼もしいなと アガムスの暴走に思うところを見せるソウマやイチカを支え返すほどになってるのとても良い この3人もほんと良い関係性にまとまってきて嬉しい限りである
かくして相討ちの終わったカナタとアガムスの対決。そこへ駆けつけたソウマが目にしたのは、デッカーの倒れた場に倒れるカナタの姿、そして記憶を失い困惑するアガムスの姿であった...というところで締め。スフィアの力を利用した結果スフィアの侵食を受けて同化が始まってしまい、自分自身のことどころか自身の目的の全ての根幹であるレリアの存在さえも忘れていってしまおうとしているアガムス、あまりにも痛々しい...いつも一字一句間違えず長々と口にしていたレリアの口上、スフィアの侵食を受けたことで記憶がぼやぼやになっていくというところをここで凶悪に印象付けるための前振りだったというのがひえーってなりましたねぇ あんなに刻み付けるように言い続けてた言葉やそこに基づく愛情や憎悪さえも薄れて自分が無くなっていく恐怖...(ここは前にもヤプールを用いて印象深く描かれてた分よりスッと入ってきたのがまた順序立てとして上手かったよなと) アガムス、生き残れるともあまり思ってはいないけど、これ彼自身の無敵ぶり含めロクなことになるんだろうか...と心配にもなる
そして遂にソウマに知られるところとなったであろうデッカー=カナタの真実、ここが後々どう活きてくるかだよなぁ 目が離せない
以上、デッカー第22話でした。アガムスの苛烈すぎる感情の程を今一度丁寧に見せつけてくる地獄のフルコースみたいな展開がおつらすぎるエピソードでありました。アガムス、色んな意味であまりにも可哀想すぎるけど果たして救う道はあるのかどうか...カナタもいよいよブレなくなっているのでそこが希望になって欲しいが いよいよクライマックスなデッカーの物語、楽しみです
というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです
気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!
ではまた