AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

ちゃんと面白いぞ!?

ウルトラマンデッカー

第18話「異次元からのいざない」

感想レビュー

 

 

色んな人の反応見てみたけどやっぱり冒頭のアガムス追い詰めてる隊員の人って岩田さんですよねぇ!?

岩田さん、Zの時といいちょいちょい顔出しモブ的な感じで出るようになりましたわね...スーツアクターとしての大活躍もいつも通り凄くカッコいいけどめちゃハンサムなお方でもあるのでご尊顔を拝することができるのはありがたい

 

デッカーおじさん(子孫)から託された「アガムスを救ってくれ」という使命に思いを巡らせるカナタ、一方アガムスは突如として現れた異次元人ヤプールの誘いを受け...と久方ぶりに本人が登場する形でアガムス周りの展開が進んだ今回のエピソード。ヤプールが巨大ヤプール形態じゃなくあの異次元空間でのぐにゃぐにゃ形態で登場するの意外すぎるでしょ(しかもちゃんとスーツあるっぽい)

そんな今回だったけど、展開自体はアガムスの想いをしろうとぶつかるカナタに対しても自棄を拗らせたアガムスはにべもなく、という感じで平行線だったので、進展はアガムスの頑なさがより強調され向こうとこちらの間に横たわる断絶を改めて印象付けられたくらいかなというところ。改めて思ったけど、アガムスの厄介なところは今自分のやってることがやけっぱちの自己満足に過ぎないということを半ば理解した上で暴れてることなんだよなぁと。「レリアぁ...私に力をー!!」の悲壮で切実な叫びからも伺えるようにアガムス自身は決して悪人ではないんだろうし、その上で今やってることも生半可に挑んでるわけではないんだろうとも察せられるのがこう、複雑

レリアやデッカーのことがかなり根深く影響してるっぽいし、ほぼ外野みたいな人間であるカナタの説得など効くだろうかとも思うけど、逆に直接の因縁の無いカナタの言葉だからこそ届くものもあるのかなぁ...だからこそ今回、アガムスの事情は分からないけれど自分も負けられない、というアガムスと対峙してる中でのカナタなりの真っ直ぐな意志が強調されたようにも思うし ここは見守りたいね

 

そんな今回のエピソードはトリガーでお馴染みの坂本監督・ハヤシ脚本コンビの登板回。次回のトリガー再客演回との地続きであることから転じた登板っぽいすね  正直このコンビ、特にハヤシさんに関してはウルトラシリーズで積んだ負債が大きく最近は全くと言っていいほど信頼が置けておらず、故に今度のトリガー再客演回での坂本監督との登板もかなり不安多しな心持ちだったため、今回OPクレジットで名前をお見かけした時はほんのりもやっとした感情がよぎってしまったのですが...率直に言うと今回は思っていたよりもかなり良い、及第点以上のものが見られておっとなったなという感じ。良い意味で裏切られたなと

先程も述べた通りあまり大きな進展自体は無かったアガムス周りのドラマ面においてはある意味ハヤシさんの特徴とも言えるちょっとオーバー気味な台詞回しや勢いが悪目立ちしない塩梅の中で上手いこと画的な迫力になって良い外連味になっていて見応えが出ていたし、アリブンタやヤプールといった所謂今日の怪獣・宇宙人(正確には超獣だしヤプールはまだ突っかかってきそうだけど)周りの描写に関しても、ヴィラン枠の偏重が目に余ってお世辞にも良いとは言えなかった今までと違い、アリブンタは程良くウルトラ怪獣的な事件の巻き起こしや大暴れで魅せてくれて、ヤプールも画面に出てくる時間自体は少なかったもののその中で人心を弄び暗躍する原典ならではな悪辣さを発揮していて、という感じで、アガムス・テラフェイザーの濃い活躍にもしっかりウェイトは割きつつきっちりとウルトラシリーズの敵役らしい存在感を出してくれていたので、総じてニュージェネ的な要素の取り回しやハヤシさんならではの癖や特色の押し出しはありつつ、良い感じにウルトラシリーズらしい見せ方にもなっているというバランスの良い構成・描写ができてたのがかなりポイント高かったなと思いました。キャラクターそれぞれの言動や役割分担も大きく外れたようなものはなくて安定感良く見られたし(ヤプールの変身に騙されたのでイチカが本物のカナタを引っ叩いてそのリアクションで本物かどうか確かめる、っていうコミカルな遊びを入れてたのも程良く小気味良くて余裕ある感じで良かった)、シンプルにウルトラシリーズの一エピとしてもデッカーの一エピとしても十分良質だったと感じますね 今まではこの辺のバランスがボロボロだったのでかなり上手くやってたのではないかなと(「ようやく取り回し方を心得た」というよりは、デッカーの一エピとして専念できる部分が大きかったのもあってかちゃんとデッカーの味に寄せられてたなという印象)

またこのハヤシさんのドラマ作りで個人的に一番ポイントが高かったのは、前回のトリガー客演回で特に不満度の高い部分だったカルミラの復活展開に、デッカーという作品におけるドラマ上での意義を少なからず付与してみせたところ。自分達への憎悪を燃やすアガムスを救うことができるのかという苦悩を募らせるカナタが、トリガー本編におけるあれやこれを経て敵であったカルミラを救うに至ったケンゴの姿を想起し一つの指針にする、という流れはアガムスとそれに相対するカナタを一つの軸とした現在のデッカーのドラマにおけるキャラの内面部分や構図といったところの解像度を上げる上でなかなか巧みな接続だったなと思ったし、それを次回のトリガー再客演回への繋ぎにするための前振りとして今回の話で拾うというのも不自然さが無くて上手だったんじゃないかという感じですね。正直これを踏まえてもカルミラの復活は色々無粋さが際立ってしまうのでどの道あれ単体としては納得しかねるところではあるのですが、以前の客演回の中での扱い方がほんとにデッカーそっちのけみたいな感じだった故に「これいる?」みたいな印象があまりにも強すぎただけに、今回きっちりとデッカーという作品で描いた意義を生み出せたのは大きかったですね(言いよう見ようによって後付けで意味を乗せただけともされるかもだけど、少なくとも尻拭い感の否めなかったカナタの指針に関する描写と後々本編における軌道補正よりかは断然ナチュラル且つ良い描き方だし、何よりトリガーおよびデッカーの両方にきちんと責任を持った作劇だったのが好感)

 

ところ変わって戦闘パート、こちらの方もデッカー怒涛のタイプチェンジや技の応酬を次々繰り出すスピード感ある展開、テラフェイザー&アリブンタのタッグマッチによる画面密度高めの絵作りなど、坂本監督らしい演出が良い形でハマっていて非常に見応えがあって良きでありました。フラッシュ光弾とかOPで見ることが多く本編でなかなか使わなかったウルトラマジック(ダイナのと名前同じなのかは知らん)とか、さりげなくダイナから引き継いだ技入れ込んでたのが良い遊び心。どっちかというとストロングタイプが今まで目立ちがちだった分、今回はミラクルがトリッキーさで1vs2の劣勢を覆す活躍で魅せてたのも良きね 分身したミラクルとテラフェイザー&アリブンタの擬似2vs2マッチがエース&ゾフィーvsアリブンタvsギロン人のオマージュでは、って言われててなるほどなと しかしアリブンタ、怪獣以上の生物である超獣というところが強調されたとはいえ今までにないくらいべらぼうに強くて凄く見応えあったけど今までのニュージェネ作品での活躍とのギャップがめちゃくちゃデカくてそれがちょっと面白かったな...ともw Zの時のバラバといい超獣の復権始まってません???

特にストロング・ミラクルのチェンジがカードを取り出すカットを一瞬入れるのみのスムーズなチェンジになっていて流れの途切れが殆ど無かったのが良いテンポ感に繋がってたのは好きなポイント。この辺は前作トリガーが後半に変身バンクを抑えめにしてたことといい、上手い具合にニュージェネ特有のもっさりさを抑える取り組みがじわじわ増えてて良いなーと 仮にもティガダイナのオマージュ作だしそこのテンポ感がしっかり落とし込まれてる辺りは好感ね

 

そしてラスト、アガムスとヤプールの策略に嵌ったデッカーが宇宙へと放逐され...というところで今回は締め。まさかのヤプール続投!!帰ってくれ() でも割とマジでヤプールが今後どのくらい絡むのかは気になるよなーと。過去作キャラ感をあまり露骨に出さない感じの、アガムスに接触してきた侵略者的なポジションに終始する今回の取り回しのバランスは好みだったし、この先は引っ張りすぎるよりもスパッと決着つける感じで行って欲しくはあるなーと思う でも次回はあまり絡んでこなさそうだし、少なくともクライマックスまでは長いお付き合いになるかな

 

 

以上、デッカー第18話でした。坂本ハヤシコンビ登板ということで身構えた回でありましたが、予想に反し諸要素の取り回しのバランスなどが上手く全体的に面白くまとまった良エピであったなという印象。ハヤシさんはトリガーとか絡まない純粋な一エピでの登板でどうなるかなが見たいなとは思っていたので、今回(トリガー絡みで次回への繋ぎもあったが)それに近しい感じの話での登板となり、なかなか悪くないものが見られたのは大きかったですね あのコンビがこういう感じのものも描けるとしっかり可視化されたからこそ、トリガーが2人の作風としてオンリーワンのあれなのだとやっと自分の中での納得という意味で噛み砕けた気もするし(個人的なとこでは一つの作品として好みでないしティガベースの作品としてはもってのほかだというところは同じなのだけど、今回を経てあの2人が手がけ繰り出した「ウルトラマントリガー」という無二の作品こそがあれなのだというところにやっと冷静に思い至れた感じがある)、個人的に非常に意義ある回だったと思います

さて次回、トリガー再客演ということでまだ少々不安はありますが、今回のエピでほんのり期待値が高まったとこもあるし、少し楽しみにしながら来週を座して待とうと思います。多分このコンビは次回が本作ラストだろうし有終の美を飾って欲しい

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた