AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

トイレで気張ってるみたいな名前

ウルトラマンティガ

第2話「石の神話」

感想レビュー

 

 

「山のように大きいから...『マウンテンガリバー』ってのはどうだ?」

まさか(作品世界観上で)時を経た後思わぬ形で回収される伏線になるとは当時誰も思ってはいまい()

ムナカタ副隊長、たまに変なこと言ったりコミカルな言動したりする人ではあるんだけどよくよく考えりゃ第2話から片鱗はあったんだな...と思い至る(

 

石を食う怪獣・ガクマの出現、戦闘機として生まれ変わるガッツウイングと共に立ち向かうGUTSの活躍を描く今回のエピソード。新たなウルトラシリーズの幕開けを飾った前回から引き続いての話となる今回は、怪獣の引き起こす怪事件とそれに挑む防衛チームというところを軸とした、割とオーソドックスな怪獣主体の単発エピソードとしての味わいがグッと押し出されており、濃い革新性が目を惹いた前回とはまた違ったウルトラシリーズお馴染みな安心感・安定感のあるエピソードになっていました。謎の光を浴び石へと変わる人間!洞窟の奥から伸び人間を引き摺り込む腕!錯綜する怪獣の全容!そして現れる巨大怪獣!!このSFテイスト溢れるミステリアスさ・スリリングさを含んだ展開を色んなエピソードでバラエティ豊かに繰り出すところこそウルトラシリーズの魅力なわけですよ  我々古参のオタク共は全員こういうのを喉から手が出るほど渇望しているのです(デカ主語)  実際製作側においても「今回のエピソードで怪獣ものとしてのレールを引いていく」というところが意識されていたとのことであり、横軸に幅を持たせる意味でも怪獣特撮として作品の味を深めていく意味でも、早期にそこを示し後のエピソード群において縦と横をバランス良く回す土台を作ったのは非常に良き采配であったなと感じますね

 

一方、ティガの能力─タイプチェンジの全容ウルトラマンの光を手にしたダイゴの動揺といった前回の流れからの地続きとなる要素の掘り下げもあり、縦軸周りでのストーリーの牽引が並行して為されてたところも目を惹いたポイント。前回だけだとまだ不明瞭な点も多かったし、今後縦軸を動かしていく上でそこを最低限すっきりさせておいたという感じでしたね 前回の戦闘演出だけでも割と各タイプの特性が分かりやすく描かれてた感のあるタイプチェンジについて丁寧すぎるくらい諸々の詳細の解説にしっかり尺を割いていた辺り、革新的な要素を視聴者に分かりやすく印刷付けるためにかなり気を遣ってたことが窺えますね(タイプチェンジなんて今でこそだいぶ当たり前の要素になってるからある程度ざっくり描いても「そういうもの」としてスッと受け入れられてるけど、当時としてはパッとじゃ分からんかったかもだろうしな)

 

特にダイゴの内面へのフォーカスは今後の本筋に深く関わる要素として非常に重要である部分。前回も描かれた通り、本作のウルトラマン─ティガは意思ある存在としてダイゴと同化したわけではなくあくまで純粋な力というところにすぎず、その力を手にしたダイゴという1人の人間の感情に迫るというところが本作の作劇の特徴となっていくわけですが、その一環としてティガの光に触れ自分が大きく変わってしまったかのような感覚に対する困惑や不安そこに被せるかのように放たれる「貴方はウルトラマンティガ」というユザレの言葉を必死に否定しようとする感情的な姿などといった、大いなる力・光を手にしウルトラマンという強大な存在に変化することができるようになってしまった等身大の人間としてのダイゴの揺れるメンタルを強調してきた本エピソード中盤の流れは、ウルトラシリーズらしいシリアスな人間ドラマとしての深みが目を惹くものでありつつ、「人間」に強くフォーカスし物語を描いていく本作の魅力をビッと印象付けた描写としても実に見応えがあったなと感じたところでありました。「こんなもの!」って言ってスパークレンスを投げ捨てユザレを睨みつけたり、その延長でヤズミに若干八つ当たり気味になったりと、この頃のダイゴって後のエピソードにおけるキャラクター的な印象と比べるとだいぶ荒い方だよなぁと。彼の心の内の不安がかなり大きかったことが窺える(前回に続きこの辺は他の登場人物もまだキャラのクセがしっかり定まってはいない感じだったので、それと同じでダイゴの感情面の描写の塩梅が定まり切ってはいなかったのもあるかもなんだろうけど) それまでのシリーズ(および後のシリーズ)でもウルトラマンの力を手にした人間」のメンタルというところにフォーカスした作劇は多かったものの、ウルトラマンという存在自体が何かしらの想いを持って一体化するところから始まる従来のパターンとはまた違って、ダイゴの場合は手にした力の意味や由来も、自身がそれを手にし真に何を為すべきなのかもハッキリとは理解できていない(それに明確な答えを出せる存在がいない/乏しい)という状態であり、そこからの苦悩や思考の積み上げこそが物語として注目すべきところであるので、そこを早速印象付けたのは良きところ

とはいえ、ダイゴも上記のように自分はウルトラマンティガなんかじゃないと必死に否定しようとする様を見せながらも、ここぞで自分含め仲間達が窮地に陥った時には自然とスパークレンスを手にしてティガへと変身し戦っているので、ティガの物語を全て観た上だとある意味もうこの時点で答えは出ていたよなぁと。特別な決意を見せるみたいな描写とかを特に挟むこともなくスッと変身へと至るというのが却って「意識していないながらも『使うべきところで力を使い、戦うべき時に誰かのために戦う』というのを実践している」というところをグッと強調しているし、苦悩を軸にしつつもスッキリとしたヒロイックさを欠かしていないのがヒーローらしくて良き  ユザレもウルトラマンは光である故に人類の選択には干渉しない」とした上でダイゴに「しかしダイゴは光であり人である」、つまりウルトラマンという大いなる存在に人類の命運を無闇に左右することはできないが、1人の人間としてその力を継ぐダイゴには、人類のために如何に力を使い戦うかを自ら考え選択することができる」という旨を説いているし、本当に本作の根幹を成す、物語全体通してのテーマとも言える解についてはここでバシッと示されてると言えるんですよね。作品としては前述の通り、そこに至るまでのダイゴの苦悩や思考の積み上げにこそ重要な意味があるわけで...ともあれここは今後もしっかり注目していきたいポイントだなと改めて

 

話は戻り、遂に姿を現した怪獣ガクマを相手に戦闘機へと生まれ変わったガッツウイングが応戦、という運びでvs怪獣の巨大特撮パートへ。戦闘機アクションとしては控えめな感じでちと物足りなさもあったけど、2号が必殺のデキサスビームでガクマを打ち倒す鮮烈なデビューが爽快でとても気持ち良いんですよねぇここ 今後も要所要所で決定打の攻撃として活躍する安心と信頼のデキサスビーム先輩ですが、初回から怪獣1体ワンパンで沈めるの最高なんだよな...極太の黄金のレーザーというのもビジュアルとしてシンプルに強力さの説得力として映えてカッコいいんだわ 従来のウルトラシリーズだとポジション上良くも悪くも何かと後手後手に回りがちな防衛チームを描くにあたり、初回2話目から怪獣撃破をぶっ込んでGUTSの力量をビシッと印象付けたところも本作の良い思い切りよね

 

しかしガクマ撃破の喜びの余韻も束の間、先の一本角のガクマαに続いて二本角のガクマβが出現!と、まさかの二段構え構成で盛り上げてくる構成が良いサプライズ性でグッド。作業員達のガクマのビジュアルに対する一本角・二本角という証言のバラつきを「誰もちゃんと見ていないのか...」という風に思わせておきつつ、怪獣は2体いたッ!!とすることで多段的に怪獣周りの描写をスリリングに描いてくるのが伏線の配置の仕方としても上手いよね。ガクマα・βのスーツ兼用仕様を流れとして自然に活かせてるし、ガッツウイングの初陣や白星もしっかり演出できてるから展開運びとしても巧みだし  

個体(種類)ごとの特徴の差異というの含めた生物としての生態や個性の魅せ、餌である石が開発により無くなって姿を現し始めたというストーリーへの導線の引き方も劇中通して印象深かたし、怪獣ものとしてのストーリー作りに大きく貢献した良き怪獣でしたねガクマ

 

そんなガクマβ相手のティガのマッチも安定感ある魅せで面白かった。四足歩行の怪獣との対決というのが前回のゴルザ・メルバの双方とも違う絵面になって戦闘演出としての新鮮さが更に続くのが良きであったし、ガクマβがだいぶ多彩な能力で苦戦させてくる中でのパワータイプへのチェンジによる流れの転換・逆転が手堅く演出されてたのもアガったね 石化光線、角から放電、背中から赤色光の衝撃波、爪の展開、ツノを前方に向けて突進、とじっくり見てみると第2話の怪獣にしては破格なほど多芸よなガクマ  時代が時代なのでCG面が多少ぎこちなかったりというのもちょっとはあるものの、自然なギミックで展開するガクマの爪やツノ、足元からじわじわ石化していくティガ、パワータイプへのチェンジにより石化を豪快に吹き飛ばす様など、昭和期シリーズにはあまりなかったような新しい演出が新規の技術の惜しみない導入でたっぷり織り込まれてるし、前回に続いて戦闘もとても見応えがありました

 

そしてラスト、ダイゴの一声で光の巨人の名が「ウルトラマンティガ」として皆に伝わる流れを経て締め。「トイレで気張ってるみたいな名前」とかいうなんか絶妙にしっくりくるホリイさんのマウンテンガリバー評好き  俺はティガじゃない、と言いつつもここぞで「巨人」という何者でもない名前で呼ばれるむず痒さみたいなものがあってか、みんなに「ウルトラマンティガ」の名前を薦めるダイゴもなんとなく人間味ある感情模様って感じあるよね 改めてティガとして戦いに身を投じていくことになるダイゴの運命や如何に

 

 

以上、ティガ第2話でした。ダイゴ/ティガ周りの本筋展開を1人の人間たるダイゴの内面にグッとフォーカスする形で深める流れがありつつ、ウルトラシリーズらしいSFミステリーテイストや見応えある巨大特撮が押し出された怪獣ものとしてのストーリーが展開されとても面白いエピでした。横軸の方も広げていくこと含めティガという作品の方向性を早期にしっかり印象付けたエピだったのではないでしょうか 楽しかった

まだまだ序盤ということでキャラクター周りの動かし方やCGのぎこちなさ等もあって、後の描き方と比べると少し不思議な感覚(イルマ隊長がけっこう取り乱して大きな声で喋る場面が前回含め多いのは改めての視聴で意外に感じたところだった)ではありますがこれも味だし、何よりここからがウルトラマンティガという作品の本番という感じなので楽しみであります 是非皆様もお付き合いを

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた