AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

おこがま星人

ウルトラマンティガ

第3話「悪魔の預言」

感想レビュー

 

 

イルマ隊長「私はこれまで、ウルトラマンティガの行動を通じてある感触を得ています。それなりの確信があります!」

ヨシオカ長官「確信?...ハッハッハ...それは“女の勘”ってやつかね?」

?「そ  れ  っ  て  ぇ  !!!!!!(クソデカ声)

シリーズ初の女性隊長としてのイルマ隊長をしっかり描く上で敢えて露悪的に描写してるところってだけなんで多少はね

 

現代へ降臨した光の巨人・ウルトラマンティガの存在に憤り牙を剥く謎の存在・キリエル人の暗躍を描く今回のエピソード。ティガを代表する怪獣/宇宙人の一角を担うキリエロイドの登場でも印象深いですが、なにより色々ぎこちない部分もあった1、2話を経て我々のよく知るティガらしいテイストやテンション感がようやく強まっていくのでそういう意味でも非常に目を惹くエピソードでありました

 

特にキャラクター周りの動かし方に油が乗ってきて、それぞれのキャラの色分けがしっかりとされてくるところは今回を境にした大きな変化のポイントであるなと。1、2話は作品の地固めというところに注力してたこともあってか、メインキャラ周りの言動がやや展開運びありきな感じだったり大仰気味な色付けをされてた感じがあったりという印象だったのですが、今回はやや背伸びした感じの愛嬌ある言動を見せるようになったレナここぞで自分の力も仲間の力もしっかり信頼してドンと構える熱さと頼もしさのあるシンジョウ隊員など、それぞれ良い感じに個性ある一面が細かく描かれるので「おっこのキャラはこういう感じね」というのが把握できていくし、それが映像を一つグッと引き締めより映えさせているので俄然楽しいんですよね(後々のキャラ描写に通ずる部分もしっかりとあるので各キャラのキャラ性自体はちゃんと固めてあったのが窺えますね)。後半のオペレーション展開においても、ヤズミの分析副隊長のキリッとした態度での迅速な指示など各人の長所や能力が光る場面が多く、迫る爆発へのタイムリミット!失敗の許されないたった一回のチャンス!という緊迫感溢れるシチュエーションの中でもGUTSの活躍がバッチリとカッコ良く決まっていて気持ち良かった ウルトラシリーズならではの防衛チームの活躍を、キャラ描写とストーリー展開の掛け合わせで序盤からしっかり印象深く魅せているの良いですよね

また今回のメインキャラ達のキャラクター描写というところにおいて一際印象深かったのはやはり今回の主役格として活躍したイルマ隊長の描写。聡明さを湛えた冷静な判断をしつつ時に身を挺して人々を守ろうとしたりといった熱い一面も見せるなどのウルトラシリーズの隊長らしいカッコ良い立ち回り、後手に回ったことで市民に犠牲を出したことを悔やみ項垂れる責任感の強さや情の厚さを覗かせる人間的な姿など、色んな面から人格的に深みのある一面を掘り下げる描写をこの序盤からたっぷり見られたところはストーリーとして非常に大きかったよなと。イルマ隊長といえばシリーズ初の女性隊長というところが強く目を惹くポイントであり、記事冒頭にも書いたヨシオカ長官の斜に構えたような皮肉や今回のエピソード中でさり気なく示された息子の存在(息子くんは後にキリエル絡みの話で直接登場することになるので、ここでの存在の示唆はある種の前振りというか伏線配置的な描写でもあったのかなと)など「女性」である点を意識的に掘り下げる描写も数々入れ込まれているものの、それだけでなくその上でちゃんとGUTSの隊長として、そして1人の人間として純粋に魅力ある人間としても描かれているのが描き方として真摯で素晴らしいんですよね(ヨシオカ長官の皮肉の際にもナハラ参謀が隊長を一人間として評価する言葉を述べたりときちんと細やかな気配りをした台詞回しなどになっってるのが良き)。「女性で隊長」という要素は当時としてはかなり革新性が高かったと思う(変な意味ではなく純粋に時代柄・シリーズのフォーマット的な意味で)けど、その上で今見ても見劣りしないしっかりした描写がされてるのは本作の魅力の一つだなと感じます

しかしこの第3話で良い感じにキャラクター周りに油乗ってきてるのを見ると、最初の時点から三枚目の技術屋として既にけっこうキャラが固まっていたホリイさん強すぎるなと() シンプルに動かしやすいキャラ造形なのもあるんだろうけどやっぱ良いキャラしてるわ...

 

そんなGUTSの面々の描写が引き立った今回でしたが、一番の見どころとして今回の敵・キリエル人の存在感は語るに欠かせないところ。生者死者問わず人間の身体を借りて現れると共に自分達を遥か昔から人類を導こうとしていた存在であると嘯き、ティガやティガを崇めんとする人類に憤りを表し裁きを与えようとする、という超自然的・宗教的なオカルティックさを含んだ超常存在じみたキャラ造形は宇宙からの来訪者/侵略者というところを描くことの多かった昭和シリーズにはあまりなかった質感であり、その新鮮さに強く惹きつけられるところもさることながら、「超古代文明」という要素から従来のウルトラマンとはまた異なる神秘性を醸す造形となったティガの新たなウルトラマン像にマッチしたキャラクターとして絶妙に上手くハマっているところもまた凄く良い味わいなんですよねぇ(神的なイメージが濃いというか、サブタイトルにもワードとして書かれているようにまさしく宗教的な意味での「悪魔」という感じのキャラ造形なんよな)。ティガという作品のクトゥルフ要素を感じさせるコズミックホラー的な空気感の土台を早期に形成した要因とも言うべき存在であり、やはり本作を代表するとても重要なキャラ(怪獣/宇宙人)だなと  本エピソードはそんなキリエル人の神出鬼没で掴みどころのない存在感、および自身に背信する人類を「裁き」として容赦なく焼き払う超然的で容赦の無い立ち回りにより、ねっとりとしたダークさや不気味さ、いつ何が起こるやも知れないハラハラ感で彩らており、このSFホラーテイストがウルトラシリーズならではな味わいを含ませつつもまた新しい妙味という感じで良きところでありました。2度に渡るビル街の突然の爆破も明確に被害出てる言及がある分肝が冷えるし、だからこそ3度目の爆破の阻止オペレーションが手に汗握るものになって燃えるのだ

 

でもキリエル人、冷静になってその立ち回りや動機を要約すると「ポッと出てきたティガなんかが崇められててムカつく💢先に人類を導こうとしてたのは俺らだし💢人類はティガなんか崇めないで俺らキリエル人を崇めろ!!崇めないなら焼く!!!」という感じになり、超然的な存在と言うにはだいぶ悪い意味で短気且つ狭量、みみっちい面が目立つようになるので、改めて俯瞰してこの点に気付くとこまで含めて面白いとこでもあるんですよね...w 大層なこと仰ってるけど要は「後から来たヤツちやほやしてんじゃねーッ!!後から来たくせにちやほやされてんじゃねーッ!!」なので()  ティガに対しても人類の導きを引き合いに出して直々に説教をしていたけど、前2話を観れば分かる通りティガ、というかその力を手にしたダイゴ自身に全然そんな気はなく、ただ誰かを守るために必死に戦っているだけ(今回の変身も取り残されたイルマ隊長を救うための変身というのが発端だったのでそこは明白)なので、人類を導くなどという大義はなく純粋に誰かを守りたくて力を使うダイゴ/ティガ人類を導き守ってやるのは我々なので崇められるのは当然だと独りよがりに説くキリエル人、という対比の元、キリエル人が一方的に喧嘩売ってきてるだけでしかないというね 「烏滸がましいとは思わないのか!」「お前じゃい」

ただ「ティガのよる人類の導き」というところで言うと、イルマ隊長もティガのことを「我々の理解できない意識を持っている」「人類を守り導いてくれると信じている」と言っていたりと、人類側も今はまだティガのことをちゃんと理解できてはいないというところがミソ。まぁティガという存在の正体も意思もパッと見て読み取れるところではないしその荘厳な出立ちからそう思ってしまうのも無理からぬところではあるし、その上でティガという未知の存在を信じているのでキリエルのそれとはまた違うのだけど、ともあれこのイルマ隊長をはじめとした様々な人々のティガに対する認識というところは今後話の重要な軸となっていく要素であるので、ここはこの先要所要所で注目すべし、といったところですね。前回といいかなり序盤から作品の総まとめとなる終盤に大きく関わる話とか要素の示唆とかしててけっこう緻密に組んでるんだなぁとなる

 

そして終盤のティガvsキリエロイド。白と黒のマーブルで彩られた左右非対称の歪なデザインに泣き顔のようなラインが特徴のキリエロイド(よくよく考えたらこれ胸の発光体とも合わせてだいぶウルトラマンの対比みたいなデザインですね...微笑みに対する泣き顔と、左右対称のボディパターンに対する左右非対称)と夜のビル街でスピーディ且つパワフルな肉弾戦アクションが一進一退で繰り広げられるバトルは、前2話のいずれともまた違う味わいでオサレでありました。やはり人型の敵相手はアクションが映えて良いですね 多分意識してやったとかじゃないだろうけど、初の市街地戦が夜戦ってのがなんとなく初代のバルタン戦ぽくて色々彷彿とさせられるものがあるなとも思ったり。奇しくも両方とも因縁ある相手になってく存在だし

そんな今回のバトルで遂に満を辞してゼペリオン光線解禁。序盤2話で盛大に焦らしに焦らされた上で繰り出されるスペシウム光線/ワイドショット系列のあのお馴染みの構えでの必殺技、凄くカッコ良いしめちゃくちゃ沸くよなと お馴染みの構えでの必殺技が全然来ない・そもそも基本形態の必殺技が焦らされる、という状況、実際のとこ当時の視聴者はどんな気持ちだったのかな  しかしゼペリオン光線、光のエフェクトの表現が美しすぎるんよないつ見ても...ストリウム光線辺りで型としてグッと確立されてきた溜めの構えも先達をしっかり踏襲しつつ新しい表現になってて痺れるし、純粋に必殺技として一つの完成形ですよ 好き

 

 

以上、ティガ第3話でした。ティガを代表するキャラの1人・キリエル人を軸に緊迫感ある不気味なテイストの話を展開しつつ、メインキャラの人となりをグッと掘り下げながら小気味良く展開するSF特撮ドラマが気持ち良い回でありました。この回から「ウルトラマンティガ」という作品がじわじわとあったまってブーストかかってくるといった感じであり、見所多しな序盤の良作エピの一つでしたね。そしてこの後にも更に3話連続くらいでティガ序盤を牽引するエピソードが続くので改めて観るのがとても楽しみです

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた