AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

感情動く時

仮面ライダーギーツ

第28話「慟哭IV:絆のレーザーブースト!」

感想レビュー

 

 

ブーストマークⅡの眠気のデメリット、原理や理屈はあまり深く考えてなかったんだけど、ジーンの「時差ボケ」って表現でなんか腑に落ちた感じがありましたね ブースト5積みの全てをぶっちぎる速度で時間さえも巻くからこそ、それが1周回って時間感覚のズレになって本来来ないとこで眠気が来るというか、巻いた分の時間の逆流がツケで来るから眠くなるというか 高橋さんの描く強化形態周りはこの辺の理屈の付け方にさり気なく真面目よな

 

英寿との対話を通じジーンに訪れる変化、そしてもたらされるギーツの新たなる進化を描いた今回のエピソード。ジーン、常々良いキャラだとは言ってたけどここにきての山場で凄くオイシい魅せがきたので最高でしたね 福さんをあてがった話題性だけで終わるキャラにさせなかったの実に良いわよ(まぁキャラ描くってのは普通そういうもんだが)

 

ひたすらに純粋なキャラであるというところは強調されつつも、その一方で現代世界やそこに生きる人間の人生は単なるエンタメとして消費してしかいないという本作の未来人らしい倫理と価値観も併せ持っている、味方だけど単純に良い奴とも言えない、というなんとも複雑なキャラ性で魅せてきたジーンであったけど、前回のエピソードにて死という概念に対する恐怖を自ら身をもって味わったことが効いて、今までになかった繊細な情緒を感じさせる姿を度々見せたのが今回実に印象深かったところでありましたね。自分自身の姿形や寿命さえ思い通りにできてしまえるからこそ命や他者の心への真なる共感が希薄であった彼が、自分自身および自身の大切な存在である英寿の命の消失の危機を間近に感じたことで「恐れ」を知り余裕なく震え、そして幾度もの転生を経て『死』を味わいながらも恐れず自らの宿願のために果てしなく生まれ変わり生き続ける、自分にはないものを持った英寿の生き様に「畏敬」を感じ心から涙する、という形で、自他それぞれをしっかりと俯瞰しその心や生き様、命に真に向き合う人間味が生まれていく様を今回のエピソード中で印象深く描けていたのは凄く良きであったなと。他の命や人生を「エンタメ」としか捉えない、「自身の中でのみ完結する感動」のみを求めていたところから、人間が命を賭けてまで生きて何かを成そうとしている、文字通りの「人生」の重みやその偉大さが身に沁みたからこその、「他者への憧れや敬意、自身もそうでありたいと願う共感を伴う感動」を得るに至ったのが今回のジーンの人間的な成長の肝であったなと感じますね。この辺のメンタリティの変化やそこに至る荒療治気味な経緯は、同じ高橋さん脚本のエグゼイドにおけるパラドのそれに似たものがあるなとも思ったり(現実の命のやり取りすら楽しいゲームとしか捉えてなかったパラドが、自身の死を直に感じることで心と倫理を得るに至ったあの感じ)。物語の中に生きる者の命や生き様を現実に生きる者と同等の深みと重さを持つものとして捉え共感するからこそ、現実を生きる自身の生き方にさえも影響を受けるほどに心動かされる、という創作作品と我々人間との関係に通ずるものをより大きなスケールで描いた構図としても実に秀逸であったし、実際に未来人という存在をそういう感じのスケール感や構図の元に描いてた本作の一つのヤマに相応しい部分であったなと思います

またこのジーンの変化を、今までのような余裕が喪失した不安げな立ち居振る舞いや声色感情が追いつかないままにとめどなく涙が溢れている感じの泣きながらの喋りといったところで見事に表現した福さんの人間的な演技もめちゃくちゃ良かったところでした。特に後者は、涙というもの(それが溢れるに至る感情や過程)を概念や知識としてしか知らなかった彼のキャラ性を、心の奥から溢れる感情がなんなのかを理解できていないままにその波に押されて涙する姿として叙情的に描き上げていたのが見事。キャラクター解釈への真摯さとそれを表現する演技力の高さが存分に滲んでて感服であったね マジで話題性云々とか抜きにしても福さんがジーンで良かったなと思えるね...

 

しかしこの辺のジーンとのやり取りから感じたことだけど、英寿があれだけ余裕ある振る舞いしてるのは、単純に何度も転生を重ねているからこその人間的な蓄積の大きさというのもそうなんだろうけど、それ以上に死や悲しみなどを本当の意味で普通の人間の「何倍も」経験してきたからこそ達観し切った(達観してしまった)というのがあるからなのかもな、と感じてそこはなんとも言えない気持ちになったところ。人間の生き様を愛する精神性とかを見るに擦れてしまったとかいうわけではないと思うのでそこは救いだけど、途方もない数の「一生」を重ねてその中で数えきれないほどのものを見てきたことは、改めて想像したらそりゃとんでもないことだし、色々な想いが去来してしまうね...よく壊れずにいられたよ(ひいてはそれが英寿の宿願に賭ける想いの強さであるのだが) そりゃあジーンも心揺さぶられ共感し敬意を表しますよ、という納得度のある重さよな

 

ともあれ、この英寿の生き様に真に心動かされ人間として変わったジーンの「サポート」によるギーツの新たな進化・レーザーブーストフォームの誕生やその活躍はめちゃくちゃアガるところでありましたね...英寿の人生を「生き様」「死に様」として一歩引いて見ていたジーンが、「サポーター」として、それ以上に一人の人間として彼に入れ込み支えるために助太刀してくる流れは熱かった。「サポーター」の意味合いが言葉の上では変わらず「支える者」ながらも、英寿を支えるジーン自身の生き様を表すものとして込められた精神性が大きく変わったのが粋ね

そんな文脈が強く上乗せされたレーザーブーストフォーム、めちゃくちゃカッコよくて最高でありました。単身でも運営ライダーをボコせる無法な強さのブーストマークⅡが制限無しとかそりゃ無敵よ  マグナム銃のシリンダーとトリガーを模したマグナムレイズバックルとバイクのマフラーとアクセルスロットルを模したブーストレイズバックルで変身するギーツの(一応)基本フォームでああるマグナムブーストフォームの正統進化として、未来的なレーザー銃モチーフのレーザーレイズライザーのトリガーとマフラー爆盛りのブーストマークⅡレイズバックルで変身、というのはめちゃくちゃ納得度が高かったし、デザイン的にも赤いキツn真っ赤なキツネのブーストマークⅡにジーンイメージの白のアーマーが被さった姿がマグナムブーストのメインカラー赤白のビジュアルの発展として綺麗にまとまっていつつ、英寿を支えるジーンという関係性がバチっと象徴されたものになっているのも見事だったよなと(ジーンの青の複眼が今までのギーツにない新鮮さとしてアクセントになってるのもグッド)。見た目のフォーマットや強化の段階付けの仕方としては近年の、暴走フォーム→後付けアイテムによる制御、のそれと同じなのだけど、そこに上手い一捻りを加えてマンネリにしなかったのも巧くて個人的にとても良き(ここは前にブーストマークⅡについて語った時も同じようなこと言ったけど)。戦闘の方もワイヤーアクションを交えたスピード感と外連味のあるアクションがTrust・Last2番をバックに彩られるという坂本監督演出がハマって実にカッコよかったね 2番初めて聴いたけどあんな湘南乃風成分濃いのな!

 

かくして英寿の影響を多分に受けて新しい生き様を見出すことにしたジーンは彼らの戦いから身を引くことにし、物語からはフェードアウトする運びとなりました。いや正直レーザーブーストフォームの存在的に死んで退場でもおかしくないとは思ってたので、人間的な変化・成長を劇的に経つつ英寿との関係性をガチッと固めて爽やかに去ったのは良かったですね...ほんと英寿とジーンの関係もここまで良い味出したのは見事の一言ですよ  英寿の方もなんだかんだで彼を認めたしね  一応再登場しそうげではあったし、終盤にまた出てくるのとかを楽しみにしたいなぁ

 

またジャマトサイドでは、英寿に敗北したベロバから道長がヴィジョンドライバーをひっぺがして自らのものとし、創世の女神に直接肉薄していくというさり気ないながらも大きく発展していきそうな動向が。道長道長で着実にデカい力を段階的に手に入れていってるからこの先どう「化ける」かが楽しみなキャラとして物語を牽引してるの、良いよね  プロデューサー繋がりでなんとなく戒斗に通ずるものもあると思ってるキャラなんだけど、ステップアップの感じとかがよりテンポ良く回ってる感じがあってこっちもまた良いよね この先の活躍も期待

 

 

以上、ギーツ第28話でした。ジーンのキャラ性や英寿との関係性を、今までの蓄積や劇的なドラマ展開の魅せを交えてしっかり熱く描き上げたところが強く目を惹いた実に良き強化フォーム覚醒エピでありました。ジーンは個人的にかなり気に入ってるキャラの一人だったし、ここで一時離脱ながらも良い見せ場が来て嬉しかったわね なんか本作の未来人設定周りで見てみたかった展開の一つが見られたという意味でもかなり満足度があったけど、ここから先はどういうのが来るやら そこも楽しみである

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた