AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

Hunting

Princess Principal/プリンセス・プリンシパル

Crown Handler 第3章

感想レビュー

 

 

※本レビューはネタバレを多分に含みます。未鑑賞の方はご注意の上、鑑賞された後に読んでいただくことをお勧め致します。

 

 

 

クソ強ゴリゴリ黒人マン、CV遊佐浩二さんだった...!!20代後半の特撮の民としては遊佐さんはウラタロスの印象がめちゃくちゃ強いからこういうタイプのキャラやってると今でも意外に思っちゃう

クソ強ゴリゴリ黒人マン、第1章での顔見せから第2章での白鳩戦闘要員組を圧倒するクソ強っぷりを経てこの第3章では戦闘こそないけど僅かな喋りからただならぬ威圧感を放ち、ここに至るまで強者っぷりを落とすことなく見せつけ続けてるので、少なくとも戦闘方面だとこの最終章のラスボス格になるんだろうなぁと。パンフでやっと出たキャラ名が「隊長」だけだったりと謎めいた雰囲気も出し続けてるので、この感じは最後の最後まで演出して欲しいだわね(なんならほとんど喋らない・本名も最後まで分からないくらい突き詰められたらホントのクソ強暗殺者感あって良いなとも思う)

 

さぁ待ちに待ったプリンセスプリンシパル劇場版第3章、初日一番目に観て参りました。前回の第2章からおよそ1年半を経ての公開なので待ち侘びたぜ...行き先が通勤ラッシュ渋滞しててだいぶ滑り込みだったり駐車場から急いで映画館まで駆けてフローリングですっ転んだりと散々だったが間に合って良かった  本性を顕にしたリチャードの容赦の無い暴走、選択を迫られ葛藤するプリンセス、怒涛の情勢の中で責任と思惑に晒され追い詰められるメアリー、そして...という前回からの地続きで更に大きく渦巻いていく王国を取り巻くうねりと混乱を描いたスリリングなストーリーが目を惹き今回もとても面白かったですね いよいよ全6章のうちの折り返しに入ったわけですが、一気にガッと話が動いた感じがありそこも胸躍りましたね 正確に言うとあまりにデカい動きがありすぎてメンタルが掻き乱されたという感じだったのだが(

 

そんな感じの久々のプリプリとなる第3章でありましたが、美麗且つアクティブで見応えある作画表現は今回も変わらずという感じで非常に安心感があり良きでありましたね  プリプリ特有のスチームパンクテイストを含んだヴィクトリア王朝時代のイギリスを舞台とした世界観をこれでもかと壮大に表した緻密で奥行きのある背景表現の下、登場人物の動きやちょっとした事象の一つ一つが細かに描かれるこの感じがね、凄く良いんですよプリプリはやっぱ...メアリーを救出する時のドロシーの即席命綱作りのアクションはシチュエーション上の緊迫感もあって見入ったし、終盤の亡命作戦時のモノレールや飛行船といった緻密なメカニック描写も絡んだ画の数々は風情があって実に引き込まれた  あと多分細かすぎて伝わらないポイントだけど、ドロシーがプリンセスに紅茶淹れた時のカップの中に注がれた紅茶の作画のリアルさは何気におおってなったところであった(紅茶のクリア感とか注がれた直後の泡立ち方がめっちゃ細かくて好き)

あと馴染み深いメインキャラ陣の仕草・言動も同様に安定感アリで良かったところ。まこんなん今更取り立てて言うまででもないとこではあるんだけど、ストーリーが一気に風雲急を告げて不穏さとハラハラを強めていく中においてこのTV本編を経たチーム白鳩の距離感と信頼感の強固さがブレないことは凄い安心するんですよね...特にこの3章辺りからチームのメンタル激強枠のプリンセスが凄い重苦しい表情とかをする場面が多くなってくるだけに、アンジェやドロシー辺りがみんなの支柱になる感じの動きを多くしてくれるのが良い  2人ともこうするっていうのを心に決めてるのに(プリンセスがどう答えるのかを分かった上で)敢えて回りくどい言い方するからお互いがお互いに「回りくどい」ってツッコむの好き 似た者同士...

でもこの安心感すらもベキベキにノしていくのがこの第3章ですよ 勘弁してくれ(

 

という感じでざっくりとした部分について語ったのでお次は今回のストーリーの深い部分へ。怒涛の勢いで色々なことが動きに動いていった今回の展開の最大の見所といえばやはり、その中心的要素として位置していた王位継承を巡るリチャードとプリンセスの対峙でしょう。「王位を継ぎ王国と共和国を隔てる壁を壊す変革をもたらす」という目的こそ同じであるという関係性が前回ラストにて示されていたこの2人でしたが、本作ではその辺りによりグッと踏み込み2人の対比の構図を浮き彫りにしたストーリーがかなり目を惹いたところでありましたね。貧民・王女の両方の立場から見た国民達を取り巻く格差や障壁を取り除き皆が手を取り合えるようにしたいプリンセス国そのものすら最早眼中になくその先の世界そのものに変革をもたらすことを本分として野心に燃えるリチャードすぐ近くの身内から国民全体に至るまで他者の痛みや悲しみにつぶさに寄り添い手を差し伸べようとするプリンセス自身の野望のために自分に付き従う者を騙し利用することも目障りな者を消そうとすることにも容赦のないリチャード、という感じで、王室そのものに興味関心があるわけでなくもっとその先に見据えてるものがありそこでもっと大きなものを変えようとしているという点は同じなんだけど、その上で何を為したいの本質が大きく異なっているし、何よりそのための手段が決定的に違えてしまっているって感じよねこの2人  そこにおいて「何はともあれリチャードはやり方が気に食わない(意訳)」というところで相容れないプリンセスの旨を最初にズバッと示してリチャードをハッキリとこの最終章の敵の1人と位置付けたのは大きいところでした

 

しかしリチャード、底知れない存在感をじわじわ見せつけた前回ラストから引き続いて今回の第3章からこの最終章のストーリーに本格参入しキャラ性もより深く見えてきたところでありましたが、改めてこっわコイツ...!!ってなりましたね...振る舞い的には終始感情を露わにして声を荒げたりみたいなこともなく気さくで飄々とした態度を取ってる一方で、柔和な笑顔と声色からも伝わってくる狙いを定めた相手に対しての確かな圧や、少しでも意にそぐわないことがあればその対象を排除するための手段を何の感情の機微もなく即座に実行する冷徹さなんかをこれでもかと見せつけてくるのがめちゃくちゃゾクゾクくるし、それらに裏打ちされたある種のカリスマ性や駆け引きと思い切りの絶妙なバランス感覚、強烈な野心から成される余裕に満ちた底知れなさが観てるこちらの身体を芯から震わせてくるしと、この最終章を代表する敵キャラとしての存在感があまりにもありすぎる男でしたね...王室会議中(で合ってるかな)で興味無さそうにしてたりプリンセスがメアリーに肩入れしてると見て静かに気を損ねたりといった場面における顔から感情がスン...と抜け落ちてる瞬間、ダーツで照明を破壊したりメアリーとの会話直後に廊下の壺を歩きがてら感覚でゆっくり落として割ったりといった破壊的な本性を他人の見てないとこで物理的に露わにしている瞬間なんかが、普段の人当たり良さそうな場面との対比でまーじで怖いんすわ 一応取り繕ったり気取られないようにしたりはするけど自分にとってどうでも良いことはホントにどうでも良いから面倒臭さや不機嫌さをふっと顔に出すしちょっとでも自分の思い通りにならないことは癪に障って仕方がないから破壊的・報復的な行動でもって思い知らせたり気に食わなさを発散したりしないと気が済まない、みたいな「理性的なんだけど感情的」って感じのある種の生々しさを攻撃性として存分に発揮してるキャラクターって感じだよなと ワイも似たようなとこあるからなんとなく分かるんや(問題発言)

ラストの方で逮捕・勾留といったところに陥れられてはいたけど、上記の底知れなさや牢の中で全然余裕が崩れていなかったところからしても「こんなヤツがこれで終わるわけねーよな!?」という感じだし、次回以降どう動くかがますます楽しみ...といったところですね。強力なカリスマ性と苛烈なまでの容赦のなさ、クソ強ゴリゴリ黒人マン含む新大陸から引っ提げてきた戦力・武力と、正直色んな意味であまりにも強すぎる存在なのでこれをどう突き崩すんだよ...と絶望感すらあるが、これどうにかできるんか...

 

そんなリチャードの野望を主とした王室内のゴタゴタに揉まれ心身共に傷付き追い詰められてゆくメアリーの痛々しい姿も本作において強く引き込まれた部分でありました。いやほんとみんな言ってるけど、王族としての重責や周囲からの期待とプレッシャーに幼い身で必要以上に晒されて精神的に追い詰められ、更に王位を狙うリチャードから理不尽に命を狙われ肉体的にも危うい状況に晒され..となって危険を覚悟してでも全て捨てて逃げ出したいとさえ思うようになってしまってるメアリー、あまりにも可哀想すぎるんだよな...前作の時点でもだいぶ無理をしながら気を張り続けている感じはあって見ててかなり痛々しかったけど、本作では今まで心の拠り所だったプリンセスや教育係のオリビアさんからも長く隔絶されて王室に拘束される時間が増えたことでますます気が休まらなくなってるのが窺えて、なんで王室の人間だからってここまでの不条理をこんな小さな子に...と凄く感情移入してしまうんよね 本人には王位どうこうという欲は無いに等しいのに、野心に満ちたリチャードの牙を容赦なく喉元に突き付けられてしまうのが一番ひどい メアリーのことは余計な手をこまねかなくても一番簡単に穏便な降ろし方できたまであったんやぞクソのリチャードがよ...(血涙)

だからこそメアリー自身が自らの口から「逃げたい」という旨の言葉を発した時は正直ちょっと安心したというかなんというか。前作の時点だと彼女があれやこれやを経つつ王位を継ぐルートなんかもあるんじゃないかと思ってたけどもうこんなん見せられたら、「よう言うたで...それでええんやで...」みたいな気持ちにしかならんかったですし、そこからの亡命作戦はもうずっと「逃げ切ってくれ...逃げ切ってくれ...」と心の中で本当の本当に切実に祈り続けながら見守ることになっちゃいましたね...「第1章で地下通ってビショップ逃したら死んだんやから地下はやめてくれやめてけれマジで...」とか「2人移動さすなら用心棒にち、ちせ殿も連れて行ってもろて...あっ、良かった先に行って待ってる...生存確率ちょっと上がった...」とか「頼むから電車途中で止まんないでくれ...最後まで波風立たず逃し切るとこまで見せてくれ...」とか、マジでずーーーっとハラハラしてた

まぁ結局結果はお察しだったんですけども...(絶望) なんでこの...救いは無いんですか!!?(亡命作戦がずーっと通しで描写されてるから薄々そうなるだろうとは思ってたけどもさぁ!!)   一応ラストの時点で「品位を欠いて失脚」が強調されたのでオリビアさん共々生きてはいるっぽいしそこは安心なのだけど、でもロクなことにはならなそうだよなぁ...もうホント、後生なので彼女達だけはせめて無事に生かして自由にさせてあげて欲しい...頼むから...

 

かくしてメアリーの亡命作戦は失敗しそこに関わってた白鳩はメンバー残らずお縄、その絵図を描いていたノルマンディー公がプリンセスに仲間の身柄と安全を引き換えに共和国の情報を探る二重スパイになることを迫る、という壮絶すぎる衝撃のハード展開の下で本作は締め。無慈悲!!!いやノルマンディー公、リチャードの暗躍に追いやられてこの最終章だと存在感はちょっとイマイチだよなと思ってた矢先にこれなのかなりビビりましたよね...メアリーの亡命び乗じて白鳩を一網打尽にしてプリンセスのスパイとしての正体を暴き、その裏でしれっとリチャードを逮捕し身動きを取れなくし、その上でプリンセスを自分達の方に抱き込む算段も付け...と一気に戦況を自分の方に傾け、TV本編における実質的な最大の対立勢力であった頃の格を改めて見せつけてきたの、すぎてむしろ膝を打ったまでありましたね  やはりTV本編で伊達に張ってたわけじゃないよなと...まそりゃ何もせず終わるわけはないよなと...リチャードに目が向きすぎてて正直かなり油断してたわ 面目躍如...(中盤のハンティングのシーンでリチャードはスカしてた一方ノルマンディー公は鴨をしっかりと打ち落としてたの、まさにこの構図の象徴だったわけだと)

 

しかし今何より気になって仕方ないのはやっぱり、まさかの全員拘束となってしまったチーム白鳩のこの先の運命や如何に、というところだよなと。ベアトとドロシーが牢の中で思ってた以上にだいぶ参ってそうだったの凄い心配だったし(あの状況でぱっと見は割と平常心っぽかったちせ殿、強すぎるやろ)、何よりこの一件で仲間を丸ごと危険に晒しノルマンディー公の駒にされそうというところにまで追い込まれたプリンセスのメンタルが凄く不穏で不安。本作冒頭の時点からリチャードから選択を迫られていつになく重苦しい表情になってはいたけど、そこから自分の行動が遠因になってメアリーがリチャードに命を狙われてしまい、そのことに対する後悔とリチャードの容赦の無さへの恐怖で一気に余裕がなくなり、その上このノルマンディー公の一件が重なって決断を迫られ、とめちゃくちゃ丁寧にプリンセスのメンタルを壊し自責の念を植え付ける展開になってるのが、鬼すぎる...メアリー周りではメアリーを安心させようとしてたのもあってまだいつもの優しく余裕のある感じが出てたけど、それ以外ではずっと重苦しい表情とかしてて観てるこっちも辛かったよ  とにかくノルマンディー公からの選択にどう答えることになるのかもそうだけど、メアリーだけでなく仲間丸ごと自分のせいで大変な状態になったと言えるような状況でプリンセスがどれだけ自分を責めてるかが凄く心配 ここからまた立ち上がれると良いのだけど...ううん

あと何気にもう一つ心配なのが、アンジェが何を思いどう動くか、ってとこなんですよね。先程はプリンセスの選択で皆が大変な状況になってしまい、と言ったけど、実際のところはアンジェが(プリンセスがどう選択しどう動くかを半ば分かってるといった上で)「亡命を口実にメアリーを王位から降ろしてプリンセスを王位継承に近づけさせる」的な打算も込みでプリンセスにどうするのかを迫った、というところが大きく(実際本編終盤でそのことをプリンセスに謝罪してるし)、今回のことで責任を感じるとしたら実はプリンセス以上にアンジェの方、というのも大いにあり得るので、そこで何かやらかさんだろうかというのがこう、ちょっと不穏というかなんというか...ラストのアンジェのカットも、牢で膝を抱えてうずくまるカット→何かを見据えるように前を向く眼差しのカット、って感じで後悔と決意を示唆するようなものだったので、ちょっとな  冒頭辺りでドロシーが言ってたように今の物語の情勢って王室内のゴタゴタがかなりデカくなって最早チーム白鳩がどうこうできる範疇じゃなくなってるし(事実今回もどうこうできなくてこうなったとも言える)、そこで物語の中心たるアンジェがこの先状況を打開し何かを切り開こうとするならどうすりゃ良いのってなったらもう、失うものなんかないくらいのつもりで修羅と化して全てを敵に回して暴れる、くらいのことしないとという可能性も正直ちょっと考えてるので、今回のことに対するプリンセスや仲間達への責任というのも合わさってなんかとんでもないことやらかさないかというのは心配だよなと(TV本編最終回でドロシー達と合流する前のアンジェもまさにだいたいそういう感じだったと思うし...)  頼むから無茶やらかして全てを道連れに破滅とかやめろよ...前作のケイバーライト爆弾停止の時の描写で「アンジェ、ケイバーライト障害で盲目になったりせんだろうな」みたいなこと心配したりもしたけど、それがマジになったりしたらいよいよアンジェ修羅ルート濃厚だから怖い

 

 

以上、プリプリCH第3章でした。最終章もいよいよ折り返し、というところに来ましたが、まさかここまで一気に動かしてくるとは、という感じでスリリング且つハードな展開が容赦なく心を抉る話でありました。最早これまでの戦いの範疇には収まらないような熾烈な睨み合いや駆け引きの連続で、一時も目が離せなかったですね...もう本当に皆戻れないとこまで来たな...という感じでもあり、あとは行くとこ行くまでもっともっと怒涛の勢いで波乱が起き続けていくんだろうなと感じているので、最終章、ますます楽しみになっているところであります。でもアンジェやプリンセス達が大変になったあのラストを引き摺ったまま、続く第4章公開までまた1年近く待たないといけないのはだいぶ地獄なんですけど...!!() いつまでも待つけどどうか第4章はなる早でお願いします...待ってます...メアリー、どうか生きて無事でいてくれそして自由に幸せになってくれ

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた