AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

霧を晴らした先へ

ウルトラマンティガ

第22話「霧が来る」

感想レビュー

 

 

電磁波で計器類や通信がダメになる地帯で、

行方不明になったダイゴとホリイ隊員を探しにガッツウイングで向かって「連絡が途絶えた」と言及され

描写上少なくとも一晩明けたタイミングで登場して

「長いこと待たせやがって...!」ってなんかちょっと気が立ってるシンジョウ隊員、

 

落としたなこれ(確信)

それもとうとう本編内の映像描写外で(※落とした=墜落させた)

計器異常で通信途絶した2人を捜しにガッツウイング飛ばしてて自分も計器異常に巻き込まれる(その後なんとか1人で一晩かけて必死こいてガッツウイング直して駆けつけた)とかいうミイラと化したミイラ取りに本編描写の外でなってたと思われるの、これを面白いと言わずしてなんと言おうか() 終盤のピンチに通信越しで颯爽と駆けつけてTAKE ME HIGHER のインストをバックに逆転の一手を打ち込むのがちゃんとめちゃくちゃカッコいいから良いんだけどさ!!!

 

3ヶ月ぶりのティガ感想だぜ!!

ここしばらく全然調子が出ず記事の更新が滞り続けていましたが、この間始まったブレーザーの感想記事執筆でようやくモチベーションも持ち直してきたので、また様子を見ながらぼちぼち進めていこうと思います 心配されてないかもだがご心配おかけしました 鈍足なのは変わらないかもですがどうぞよろしく

てなわけで本題。

 

謎の隕石から現れ出た謎の宇宙生命体の跋扈する山を舞台にした決死の逃亡劇、その中で光る人間達の意志を描いた今回のエピソード。おどろおどろしいモンスターパニック仕立てのストーリー、そしてホリイ隊員主軸の胸打つ人間描写と個人的にも好きな要素満載の凄く好きなエピの一つですね。やはりホリイ隊員回は外れない...!  山道を駆けるオフロードバイクアクションが目を惹くオートスタッガーや久々登場のピーパー、両機登場のガッツウイングなど、続々登場するガッツメカの演出も何気に豪勢で、特撮面も充実しててとても楽しい回ですね 隊員が隊員服でバイクに跨って駆ける絵面カッコいいよなぁ!!平成期だと他にはマックスのコバ隊員のダッシュドゥカくらいしかないんだけどなんか好きなんだよな もっとあっても良くないすか防衛隊バイク!!(ライダーでさえ描写減ってる今は尚更ムズイか...)

 

ちなみに知ってる方なら普通に知ってるとは思いますが、本エピソードはティガをはじめとした平成ウルトラシリーズを筆頭に、近年でもアニメSSSSシリーズで筆を取っている円谷お馴染みの脚本家さんのお一人・長谷川圭一さんの脚本家デビュー回。今までのエピソードでもEDクレジットに装飾スタッフとして名を連ねていたのがちらほらと目を惹いていましたが、その仕事の合間を縫いながら台本をいくつか書いていたとのこと。当時のマニアの間でも「この長谷川って人装飾のスタッフだったくね?」みたいな驚きがあったりしたんだろうか  それでめでたく脚本家デビュー、その後もいくつかエピを担当し翌年にはダイナでメインライター、そして今に至る、とはめちゃくちゃ華々しいですよね  前回TVシリーズデビューだった太田愛さんといいここの脚本家層マジで濃すぎるな!!原石発掘すぎる そんな長谷川さんですが、ティガ感想お休みしてたこの3ヶ月の間に令和ライダー新作の仮面ライダーガッチャードになんとメイン構成で登板!!長谷川さんはライダーに入るならメインでガッツリ入って欲しいと常々思ってたので実に楽しみですね いやはや凄い

 

そんな今回のエピソードの大きな見所は、先にも述べたモンスターパニック仕立てのテイストで目まぐるしく展開していくストーリー。親子が仲睦まじく過ごすのどかな山村、そのすぐ近くに妖しく迫る霧と謎の生命体に取り憑かれ倒れる人々、響き渡る悲鳴...という平穏を緩やかに犯していくような不気味な導入から始まり、迷い込んだダイゴ・ホリイ隊員を謎の怪獣、ゾンビのように襲い来る村人達、霧を伴い無尽蔵に迫る謎の生命体群といった未知の脅威が次々襲う、という理解を追いつかせんばかりの容赦無い恐怖の連続で、冒頭僅か10分くらいの間に観てる側さえも引き込み飲み込んでいくこの怒涛の展開が最高に背筋にゾクリとくるんですよね。これらのじわじわと迫り牙を剥いてくる得体の知れない恐怖感を端的に表し詰め込んだサブタイの「霧が来る」のさり気ない秀逸さも含めて凄く良きで、モンスターパニック・パニックスリラー映画のインパクトを濃縮したような洪水のごとき力強さにグッと引き込まれるところであった

またこの辺りの展開は、触手の生えた腫瘍とでも形容したくなるグロテスクな見た目の端末マグニアの造形・質感首元にボコボコと脈動する端末マグニアを寄生させて虚な目で襲ってくる村人達の画など、生理的な嫌悪感を恐怖と共に煽ってくる演出に力が入りまくってるとこも凄く怖いんですよね。水でしわしわに萎むとこまで含めて端末マグニアの造形物と生物感の表現がマジで気持ち悪いし、ゾンビ化村人達も出番自体はほぼ一場面なんだけど、お婆さんや幼女まで得物を持って一様に襲い来る異様さがインパクト大だしと、非現実的ながらも生々しい質感がぞわぞわと牙を剥いてきて実に恐ろしかった。子供の頃にも観ててその時恐ろしく感じたインパクトも込みなんだろうけど、今観てもスリラー映画ばりのパワーがあって強烈ですわ

 

というスリリングさも見所な今回ですが、一番の見所はなんと言ってもホリイ隊員と1人の女性─“エザキ”・ミチルの交流を描く人間ドラマ。家族を顧みず宇宙を見続けた父に対する「当てつけ」と「父の下へ行きたい」という愛憎入り混じる想いから父が籍を置いていたセンターで一生涯を終えんとし、マグニアの襲撃という危機も相まって自棄になり頑なな態度を取るミチルの心を、如何なる絶望の中でも決して諦めず戦い抜こうとするホリイ隊員の真っ直ぐな意志が氷解させ突き動かしていく過程が、全編を通して凄く熱くて良いんですよね。そうして終盤では彼の想いで心を動かされ生きる意志を見せるようになったミチルが、端末マグニアに寄生されてミチルを1人逃そうとするホリイ隊員の手を取って諦めるなとばかりに励まし返してからの、気力を振り絞ったホリイ隊員が

「人間舐めたらあかんでえええええ!!!」

で端末マグニアの寄生を自力で振り切る、この流れはやっぱいつ見てもめちゃ最高ですわね...小さい頃よく観てたのもあって凄く印象深い、個人的ウルトラマンティガ名シーンの一つです ホリイ隊員ほんま名言しか残さへん...バリバリの科学の人が人間を強く信じてもいる熱血漢なの、やっぱ超良いわ

またそんなホリイ隊員とミチルのドラマにおいて、かつてリガトロンの事件(第4話)にてリガトロンの餌食になりながらも“最後まで諦めず戦い抜き”光となったエザキ博士が、ミチルの父にして彼女の「最後まで諦めず戦い抜く意志」を後押しする存在として巡り巡ってくる作劇も凄くグッときたところでありました。序盤の傑作エピの一つである第4話でありますが、その要素がここで今回のドラマ面のミチルにまつわる重要なキーとして大きく絡んでくるのは面白い展開運びだったよなぁと。ミチルの自暴自棄で刺々しい態度にホリイ隊員が「親の顔が見てみたいわ!」と毒突くというさり気ない台詞回しで導線を引いてみせたところまで含め、過去エピをこうして劇的に回収してくる粋で巧みな作劇を入れ込んで見せたのは長谷川さんのファインプレーだったわね ミチルが父の安否に対し「死んだわ、多分」みたいな口ぶりをしてた辺りにも、リガトロン事件の時にエザキ博士はミチルの下にも現れていて、それでミチルはうっすら父の死を確信したのかも(それで「家族を置いて先に逝くなんて」と思って今回に至ったのかも)、とか色々想像できるし、この辺りの設定をほんのりと上手いこと活かした細かな台詞回しも初登板とは思えんほど巧みで良き 強いて言えば第4話のメインはシンジョウ隊員だったので、シンジョウ隊員にスポット当てる話でも良かったかな...!というのはちょっと思ったり。まぁシンジョウ隊員でやったら最後の不憫シンジョウ隊員見られないし結果的には良いんだけどな!(酷)

 

そうして終盤では、姿を現した怪獣マグニアとティガの対決が展開。全ての元凶・マグニア隕石からの無限のエネルギー供給でインチキじみたパワーを発揮するチート戦法でパワータイプをも真っ向から圧倒しねじ伏せるマグニアとティガの戦闘から、墜落から復帰して颯爽と駆け付けたシンジョウ隊員の援護がマグニア隕石を砕き、弱体化したマグニアをティガが怒涛の巻き返しで逆転し打ち倒す流れは緊迫感もありアガるところだったわね 建物のミニチュア破壊とかさり気なく特撮面の派手さがあるのもグッド  しかし今回登場のマグニア系列の存在達、グロテスクさごん振りな造形の端末マグニアも、不気味の発光し鎮座するマグニア隕石も、王道二足歩行スタイルの全体像に球状の部位の集合体で構成されたボディや触手が蠢く目鼻無しの顔といったマグニアのグロい特徴を結集させた特異さが際立つ怪獣マグニアと、どれも凄まじいインパクトあって凄く良いよね...宇宙から来た未知の生命体が不気味に襲い来る恐怖、みたいなとこを描く作品は多いけど、その辺の生理的な嫌悪感をバチバチに押し出した素晴らしい奴らであった

 

そして全てが解決し、最後は生きる意志を手に前へと踏み出したミチルが自身を勇気づけてくれたホリイ隊員へのほのかな恋慕を見せる一幕によって甘酸っぱく爽やかに締め括り、と実に希望あるオチとなりました。冒頭にコミカル描写として入れ込まれたホリイ隊員の失恋と惚れ薬の話を「どうやら惚れ薬は完成していたようだな?」という副隊長のウィットの効いた言い回しで綺麗に回収する作劇も綺麗にハマった、実に気持ちの良い締めで良かった。台詞上での布石の敷き方が凄く上手いのよね本エピ

実は本エピはそんなオチも含め、全体通して「霧の中から襲い来る怪物達の脅威に晒されながらも男女が希望を信じて前へ進んでいく」というスティーブン・キング原作の小説「霧」の内容をオマージュしたものになっているのが特徴。自分も本エピを観たよりもだいぶ後年になってから「霧」を原作にした映画「ミスト」を観たことがある(※)ので、なるほどたしかにかなり大胆に踏襲した内容だなというのを実感した(霧を逃れてセンターに立て篭もるとこなんかはまさにスーパーマーケットの下りさながら)のだけど、これだけダイレクトなオマージュをベースにしつつもそれをウルトラシリーズならではな和製のSF特撮テイストの上で調理し、約30分の特撮ドラマの一エピソードとしてまた一味違った形に綺麗にまとめ上げたところは流石の一言。本エピを知ってたからこそ後年に「ミスト」を観るきっかけにもなって凄く楽しかったし、オマージュ元を知れたことで本エピもまた新しい視点で楽しめたしと、凄く得した気分であったね

(※)...ちなみに「霧」を原作にした映画「ミスト」は、原作からの改変として「霧」の結末の更にその先を独自で描いており、希望も感じられるオチだった原作(自分は恥ずかしながら原作小説はまだ読んでないのであくまで又聞きした話)に対し映画はだいぶバッドエンドな感じだったりしてます。ミチルが知ってたのが小説の方で良かったな...() まぁ映画の方はティガよりも後年の公開なのでその心配はないだろうけども!!

 

 

以上、ティガ第22話でした。長谷川さん初登板回でありつつも、後年の長谷川作品にも通ずる絶望的な状況から諦めず立ち上がる者達の熱い人間讃歌がしっかりと軸になっており、クライマックスに行くにつれて強く心揺さぶられる熱いストーリーに魅入る素晴らしいエピソードでありました。スリラー映画・モンスターパニック映画的なスリリングさや不気味さもそこを引き立てる良きファクターにしてウルトラシリーズ的なSFテイストの創出で良い雰囲気を出してて面白かったし、昔もよく観てたけどやっぱり好きなエピソードの一つだなと改めて。

実に3ヶ月ぶりのご無沙汰になったティガ感想でしたが、大いにリフレッシュできたのもあって気持ち良く書くことができましたね。今後どのくらい連続するかは分かりませんがまぁ自分のペースでまた続けてくださいつもりなので、現行のブレーザー感想と一緒にどうぞよろしくお願いします

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた