AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

地球の仲間達よ

ウルトラマンティガ

第23話「恐竜たちの星」

感想レビュー

 

 

「ヤズミ隊員」

「?」

「こんな時に一人で居残るつもり?」

「......!はい!!」

ヤズミ隊員がずっと前線へ出動したがっていたのを知ってるイルマ隊長がここぞで「行ったれ」とばかりに、けれど直接的に命令はせず彼の自発を促すような言い振りで出動を指示するのが台詞回しまで込みで凄く粋で、本筋とは直接関係ないながらも今回の何気に凄く好きなポイントなんですよね その意図を感じ取り待ってましたとばかりにはつらつに一言「はい!」で応えるヤズミ隊員も良き こういうさり気ないポイントポイントでの縦のドラマの繋がりで大きな広がりを魅せていくところがやはりティガの魅力

 

今回のエピソードは、太古の昔に恐竜達を支配していたと語る謎の存在ナーガが送り込む恐竜人類、ウェポナイザーといった刺客達との地球の存亡を賭けた戦いを描く話。謎のサイボーグ恐竜=ウェポナイザーの発見、ナーガの宣戦布告、恐竜人類アダムとイブの襲撃といった謎めいた雰囲気を纏った脅威達が初っ端から畳み掛けるように襲来してくる怒涛の展開の下、刻一刻と迫る地球滅亡へのカウントダウンに皆が立ち向かう姿が最初から最後までスリリングに描かれるストーリーが見所の、最初から最後まで興奮のボルテージを高め続けてくるジェットコースターさながらな盛り上がりとスピード感が非常に見応えアリなエピソードでした。エノメナのエピやマグニアのエピと同巻収録ということでこれもガキの頃めちゃくちゃ観た回ですね 思い出深い そんな思い出深い回なのだけど、当方この度の感想記事執筆における視聴に際してやっっっとアダム役の役者さんが松田洋治さんだったことに気付きました 申し訳ねぇ...ぼんやり観てんちゃうんお前(

 

そんな今回のエピソードの魅力は、じんわり滲むミステリアスさとガンと刻み付けられてくる緊張感・危機感のコントラストによりバランス良く成立した奥行きのあるSFテイスト。氷の中で眠る本来存在し得るはずのない機械化した恐竜」という壮大な画から始まり、ゆらめく宇宙船のビジョンと共に電子音声じみた喋りで一方的に語り掛けてくる謎の存在」「奔走するダイゴ達を見つめる爬虫類さながらの不気味な目」といった感じで敵達の存在を謎めいた感じで演出しそのじんわりとまとわりつく得体の知れなさでぞわぞわとさせてきつつも、ストーリー自体の軸には「地球を滅亡させる威力を持った兵器・中性子爆弾という分かりやすい脅威をドンと配置して気の抜けない緊迫感をガンガンに押し出してくる、この「未知の侵略者との人類の存亡を賭けた攻防」的なSFパニック映画じみたスケール感を、対照的な要素のコントラストによって約30分のエピソードの中にぎゅっと濃縮しつつも無理なくスッと詰め込んでる感じがとても巧みで、観ていて凄く面白いんですよね。「ウェポナイザー内蔵の中性子爆弾1発で地球の半分がヤバい!」を先に示してから2体目のウェポナイザーを登場させることで、「地球半分ヤバいが2発分、つまり地球全体がヤバい!!!」をスッと理解させる作劇もなかなかパワーじみてるけど明快で好き  視点の切り替わりや情報の展開の目まぐるしさもここにカチッとハマって小気味良さになっているし、この辺りの手並みはSF特撮シリーズとして慣らしてきたウルトラシリーズの強さを感じて感心しますね

また今回の黒幕たるナーガもこのストーリーの上で分かりやすい巨悪として良い存在感を出していたところも好きなポイント。ナーガ、ホログラムじみたゆらめく宇宙船のビジョンを通じて姿を見せず宇宙から語りかけてくる佇まいにどこか神々しい雰囲気を醸しているのだけど、一方で物言いは有無を言わせない殆ど一方的なものだし、自分達を上位に置いた傲慢な態度をごくごく自然にとってるしと、感覚的に「コイツは立ち向かなくてはならない悪だ」と分かる人格が滲んでるのが良いキャラしてるんですよねぇ 喋りもよく聞くとこっちを見下してるのが全く隠せてない嘲りを含んだヘラヘラしたものに聞こえるし、庇護下に置いてるように見せて捨て駒にする気満々だった恐竜人類達への扱いも含め、ほぼほぼ直接登場させない中で凄く良いカスの悪役してて最高  とはいえ科学力ややってることの規模感で言えばちゃんとスゴい相手なのも違いはないし、そういう意味でもとても存在感あって良き。作品が作品ならボス級でもおかしくない奴よな(こういうのがポンポン出てくるウルトラシリーズはやっぱり魔鏡だぜ)

 

そんな壮大なストーリーなだけあって、特撮シーンの方もなかなかに見応えある画が多しで非常に良きでありました。ウェポナイザー1号の氷の中からの復活シーンに始まり、ウェポナイザー2号の進撃を抑え込もうとするティガの足が地面を抉るカットや、陥没した地面にウェポナイザー2体が砂塵や瓦礫と共に沈んでいくシーンなど、何気に力の入った巨大特撮部分多くてスケール感デカくて実に爽快なんですよね今回 ウェポナイザーもアクション自体は控えめでシンプルなんだけど良い脅威度があって申し分ない存在感だった ティガフリーザーで凍ったまま進んでくシーンとか強大さがあって好きなのよ  ウェポナイザー、身も蓋もない言い方すれば各部に機械の付いたオーソドックスなT-レックス型の恐竜って感じなんだけど、その分ビジュアル的な味とインパクトあるので良いよね 機械化恐竜という点で恐竜戦車と同じテイストだわね にしても殆ど同じ姿の1号と2号がそれぞれちゃんと実スーツとして在るの、時代ならではの豪勢さだね(シチュエーション上どっちかが動いてる時どっちかは止まってる形になるのにスーツ両方あるのがあまりにもクレイジーだぜ)

あと今回第13話以来(長すぎる)かーなりご無沙汰だったスカイタイプが久々に登場したのだけど、今回パープルカラーとボディのスマートさが他の回にも増して洗練されてる感じがあってなんか凄く好きなんですよね(元々よく観てた回でとりわけ印象に残ってるのもあるだろうが) 活躍的には苦戦多しで終わったのでぼちぼちだったけど、ウェポナイザーを地面に落とす時の変則ティガスラッシュ発射時のシームレスなマルチタイプへのチェンジとか画的にとても映える場面が多くてカッコよかったね こんなカッコいいんだから真骨彫でもはよ出せよ(突然の苦情)

 

そして今回のエピソードのもう一つの軸たるダイゴと恐竜人類アダムとイブの交流のドラマ、こちらの方もナーガやウェポナイザーを取り巻く緊迫した展開に押されてやや感情面の動き辺りが巻き気味なった感こそあったものの、最終的には映像的にも凄くドラマチックな形に纏まっていてグッときたところでありました。最初は姿と身分を人間に装った上でもホリイ隊員との握手を露骨に嫌悪し拒んでいたアダムが、最後には自分達に懸命に向き合おうとしていたダイゴの心に応えて恐竜人類としての手を自分達の方から差し出す構図と流れは凄い良いんですよね  生体兵器になってしまい利用されるウェポナイザーに思うところがある様子を窺わせたところといい、共に生きる道を示すダイゴの想いを汲みつつも故郷たる地球に曲がりなりにも牙を剥いてしまった罪を背負って宇宙へと旅立っていくケジメの付け方といい、アダムもイブも根は真っ直ぐで純粋なことが窺える良いキャラをしてたし、この辺は前後編くらいあればもっと掘り下げられてより魅力的になってたかもなとちょっと勿体無くはあるなとは。今回のドラマ自体、かつては地球に君臨していながら、ナーガに思うままに利用され滅びの道へ進む恐竜達の悲哀」を描きつつも、そこから転じて最後には同じ地球の仲間だからと人類が差し伸べた手を取ることができた」という希望ある締めが描かれるけっこう奥深い内容だったし、ドラマ面をよりグッと押し出した形も見てみたかったなというのは凄く思う(ダイゴが「人類の一人」として彼らに向き合い共に手を取り合う、という構図も作品として見るとかなり意義が大きいしね)。ともあれ2人の行く末が健やかなものであることを願うばかりである 今も宇宙のどこかを旅しているのだろうか...

あと個人的には彼らの恐竜人類としての姿が各所での顔の寄りのカットや最後のCG表現でのぼんやりとした全体像以外あまり映らなかったのもちと惜しい(寄りのカットの顔の質感とか凄かったし実物での全身像ちょっと見てみたかったね ウェポナイザーのスーツ2体作った分難しかったのだろうが)  

 

 

以上、ティガ第23話でした。SFパニック映画さながらのスケール感でグングン展開していくストーリーを、諸要素の掘り下げや気合の入った特撮でしっかりと表現した実に見応えあるエピソードでしたね。ドラマ面が少々巻かれた分惜しさはあるものの総じて言えば満足度は高く、完成度も良かったよなと 先にも述べたけど色んな意味で前後編でも良かったくらいだわね 面白かった

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた