天に数多の虹が輝く時
それは現れる
ニジカガチ
別名:天弓怪獣
身長:60m
体重:4万5000t
登場話:ウルトラマンブレーザー第7・8話「虹が出た(前編/後編)」
古来の日本にて「雨を降らせる神」として信仰され、各地の伝承にその存在が記された怪獣。名前は漢字で「虹蛇神」と表記され、その名の通り「天に数多の虹が輝く時 それは現れる」という言い伝えもあり、出現の前兆として逆さ虹が現れるともされている。日照り続きのある集落にて雨乞いの儀式に応えるように恵みの雨をもたらすなどして崇められていた一方、作物の不作がニジカガチの祟りとされてそれを鎮め豊作を願う儀式を行っていた地域があったり、人間の邪な心を受けて災いの嵐をもたらす荒神として恐れられていた側面もあったりと、古来の人間達には神・自然そのものの如く強い畏敬の念を受けていた。ニジカガチを呼び起こす儀式として、日本各地に隠された七つの腕輪を身につけ、それを聖なる泉に浸すというものがあり、それを行い腕に蛇の刻印が刻まれた人間との間に精神的なリンクを築くともされている。
カタツムリやウミウシを彷彿とさせる頭部の鎧をはじめとして全身を強固な鎧で包んでおり、防衛隊の誘導弾の直撃を連続で受けながらも身じろぎすらしないほどのその頑強さでもって敵の攻撃を物ともせず、凄まじい馬力により敵を押し除け進撃する。また頭部の鎧が展開し龍や蛇を思わせる虹色の真の頭部が出現すると攻撃性が上昇、尻尾の先端に仕込まれた剣を伸ばして尻尾を振るい敵を切り裂く他、額の水晶体から山を抉りウルトラマンブレーザーの必殺技・スパイラルバレードを焼き尽くし消滅させるほどの規格外の威力を誇る虹光線を放つようになるなど手がつけられなくなる。加えて伝承にもあるように天候を操る力を有しており、周囲の大気を吸い込んで気圧を急激に下げることで雨雲を発生させ、それを更に拡大させて熱帯低気圧/台風を無数に生み出すことも可能。その台風を一つにまとめ上げ、日本を洗い流し人間を「リセット」させるほどの超巨大な台風にすることもできる。
↑頭部の鎧の展開の様子を写した正面図。
怪獣への畏敬の念を失い脅威として排除していくようになった人類の傲慢に憤り、「人類のリセット」を目論むようになった怪獣研究の第一人者・横峯万象が、七つの腕輪を富士の樹海の聖なる泉に浸す儀式を実行したことにより復活。日本各地に逆さ虹が1週間以上も消えずに発生し続ける異常現象を前兆として、富士の樹海の泉を干上がらせながら姿を現す。その後復活した状態のまま不動で佇んでいるところへ、防衛隊の誘導弾の連射やアースガロンのアースガンといった攻撃をされるがままに喰らうも、持ち前の頑強さによりノーダメージで身じろぎもせず受け切り、その後周囲の大気を吸い込み気圧を急激に下げることで雨雲を発生させ、降雨をもたらすと進撃を開始する。
日を跨いだ後も雨雲を伴いながら南西へ進行、自身を中心─さながら台風の目とするようにして7つの台風を日本列島に向け発生させながら、かつて自身が「国のリセット」を行った比土羅市に向け、街を踏み荒らしながら近付いていく。再び現れたアースガロンも、アースファイアの直撃さえ物ともせず持ち前の馬力で跳ね除け、更に横峯との感応による覚醒で頭部の鎧を展開させた真の姿を晒し、額から放つ虹光線によって機能停止に追い込む。加えて続くようにして現れたウルトラマンブレーザーも凄まじい攻撃性により圧倒、必殺技のスパイラルバレードをも虹光線によって真っ向から破り、最終的に撤退へと追い込んでしまった。
その後も海から水蒸気を巻き上げ台風を着々とより強大なものにしながら、一歩一歩と比土羅市へと進行するが、そこへリベンジマッチとばかりに強化装備・Mod.2ユニットを装着し強化されたアースガロンが出現。最初は静かに構え攻撃を待ち受けていたものの高威力の多目的レーザーの連射に押され動揺、頭部の水晶体を狙うアースガロンとの駆け引きを含めた激しい攻防を展開する。その時、テルアキ副隊長によって破壊された横峯の腕輪から出ていった光を身に受けたことにより強化、頭部の鎧を開き黒い光を纏いより強力になった虹光線でアースガロンをダウンに追い込む。そのままトドメを刺さんとばかりに迫っていくも今度はブレーザーが出現、アースガロンに続き2戦目を繰り広げる。凄まじいパワーや強化された虹光線、尻尾の剣でブレーザーを苦戦させるも、再起動しチャンスを狙っていたアースガロンが放ったレールキャノンが額に直撃し大ダメージを追ってしまう。そしてブレーザーがそこから溢れた虹の光を掴み取ることで手に入れたニジカガチストーンの起動を経て会得した新技・レインボー光輪を喰らって身体を縦一閃に両断され、眩い虹の光と共に崩壊、発生していた超巨大台風も消滅した。
↑側面図と背面図。尻尾の剣を攻撃時に伸ばす。
今回はブレーザー初の前後編エピソード登場怪獣という大役を見事に果たした大怪獣・ニジカガチをご紹介。いわば序盤ボスとでも言うべき重要なポジションとなったわけですが、あらゆる面でその名に恥じない存在感を示した名怪獣となりましたね...
まずやっぱり惚れ惚れしたのはこのデザイン。王道の二足歩行怪獣スタイルを基本として、爬虫類の爪や鱗を思わせる鋭くゴツゴツとした鎧・装飾のような部位を全身に纏ったマッシブ且つ芸術的なシルエットをしており、そこに名前にも入れ込まれている“虹”をイメージした色とりどりなカラーリングが散りばめられ鮮やかさを纏っている、というこの全体のバランスがまさに古代の神獣のイメージさながらに凄く絶妙でカッコ良いのなんの。ここはほんとじっくり見れば見るほど惚れ込んじゃいましたね。
でもってのっぺりとしていてどこか不気味な印象のある鎧に覆われた頭部がなんとばかっと開いて鋭く厳ついディテールの真の顔を晒すというギミック、これも“虹”や“雨”にちなんだであろうカタツムリやウミウシのようなイメージの頭部から蛇や龍といった先程とは真逆のイメージのある爬虫類的な顔が出てくるという、顔の印象をガラリと変えてくるびっくり箱的な驚きがあって凄く面白かったし、ニジカガチ=虹蛇神というネーミングに含まれた虹(雨)や蛇というワードのミーニングを余さず拾い上げ取り入れるという秀逸さがあって凄く唸ったしと、ここはかなり芸術点高し、でありました。開いた鎧の裏の柄や真の顔のカラフルさも込みでより“虹”のイメージに寄った鮮やかさが全体として増すのも良き プレミア発表会等で顔見せし出したばかりの頃から「顔が開きそう」とは言われてたけど、まさかここまで大胆にくるとは
そんなニジカガチのデザイン担当は、トリガーにて闇の巨人やメガロゾーアのデザインを担当された武藤聖馬さん。最初はえっ!?って感じだったけど、言われてみればディテールの掘り下げ方とか、真の顔の目の情報量とか、たしかに武藤さんのテイストを多分に感じられてなるほどなとなったところでありましたね 実を言うと武藤さんデザインの闇の巨人やメガロゾーアは個人的な好みで言うとあんましハマりはしなかった(ここら辺は個人的なトリガーという作品自体への印象のバイアスも強いかもだが)ので、武藤さんウルトラシリーズのデザインで言うとちょっと微妙かなぁ...って思ってたのですが、恥ずかしながら今回のニジカガチで大きく評価を改めることになりましたね めちゃくちゃ良い“怪獣”作られますわ...武藤さんのオリジナル怪獣、この先も登板の機会があるなら幾つか見てみたくなっちゃったな とてもとても良かったです
武藤聖馬 on X: "『ウルトラマンブレーザー』 第7話「虹が出た 前編」にて 【天弓怪獣 ニジカガチ】のデザイン を担当させていただきました! 第8話「虹が出た 後編」 にも引き続き登場します! 来週もよろしくお願いします!! #ウルトラマンブレーザー #ニジカガチ #ultramanblazar #ultraman https://t.co/n7F8InvtyO" / X
またネーミングや設定周りのオサレさや絶妙なカッコ良さ、ここも何気に良いアクセントになってて良かったところでありました。虹の別の言い方である「天の弓」と書いての「天弓」や、蛇の異称「カガチ」など、神的なイメージに沿った和テイストのカッコ良いワードを積極的に取り入れていつつも、それらが気取ったような響きになっていない絶妙なまとまりになっているというこの言葉選びのセンス、これには名前が初めて明かされた時からめちゃくちゃ痺れちゃったんですよね
天弓怪獣ニジカガチ
天弓怪獣ニジカガチ!
天弓怪獣ニジカガチ!!
うーんあまりにも良い響き 繰り返し言いたくなる日本語2023年度トップですよこりゃ
そして特に素晴らしかったのは、序盤ボスに相応しすぎた圧倒的な強さ!ここでしょうやっぱり 誘導弾やアースガンを復活時点の体勢のまま不動で受け切り平然としている様や、ゆったりとした歩みで敵を物ともせず進行し続ける威容など、「動」よりも「静」に重きを置き悠然とした神性溢れる格を表現した様は前編から凄く魅入ったし(同じ進行一つ取っても、凶暴性剥き出しで進撃していたバザンガの「動」の迫力とはまた違った感じあったのがスゲー良いのですよ)、鎧を展開して繰り出す本気の暴れっぷりも先の「静」のムーヴとのギャップも相まって凄く際立っていてインパクトたっぷりで震えたしと、こりゃあ文句無しにボス格にして「神」とも例えられる怪獣ですわと。チートじみた威力の虹光線をかなりバカスカみたいなペースで撃てる上に、そこから更にバフかかり得るというインチキ具合よ ゲームのボスがこんなならキレてる() また天候操作の能力も、段階的に規格外の脅威を見せてくる感じが凄くゾクゾクきて非常に良かったところ。気圧を下げる前段階の時点から「気圧の変化」という副作用的な効果で人間に頭痛をもたらし苦しめてしまう、というニジカガチ自身が意図してやってるわけではないダメージが発生する辺りがまさに「神」のスケール感って感じでおぉとなったし(理屈自体は現実的な科学に沿っているんだけど、側から結果だけ見ると「神通力」的な超常の力にも見え得るというのが好き)、台風が着々と発生・成長し日本を洗い流そうとしていく過程の展開も、台風の被害を実際の描写として描く場面こそ殆ど無かったのが惜しいものの、台風の目と化してるニジカガチの周りだけ全くの無風というコントラストの演出で却って異常さを強調したりしてたのが効いてちゃんと危機感を観てる側にも印象付けるものになってたしと、実にインパクトあるものになってたので満足度は高かったですね。そもそも台風7連とかいう異常自体は口頭だけでも十二分にヤバいの伝わるしな...OPでもニジカガチの示唆として描かれてた5つの台風接近のシーンがあったし、あれでヤバさがしっかり印象付けられてたのも大きいか
総じて実に壮大さと格に満ちた素晴らしい怪獣であったなという感じでしたね。ストーリーの内容の熱量も合わさって本当良いもの見せていただきました。最近解禁になったゲバルガも同じくらいのインパクトを刻み付けて欲しいですね...
というわけで今回はこの辺で。次回は...
宇宙より来たれり、機械仕掛けの隕石の刺客
次回も見てくれよな!
※あとがき
なんだコイツ!? 近日公開(予定)