AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

怪獣無法魔境

ウルトラマンティガ

第26話「虹の怪獣魔境」

感想レビュー

 

 

シ「よしっ、ひとっ飛びしてくるか」

ヤ「スカイメカはマズいですよ...!」

このやり取りだけで面白いのもうどうしようもないぞシンジョウ隊員() 内容的にはあくまで「磁場が精密機器を狂わせるからスカイメカは危険」って言ってるだけで面白いシーンじゃないんだけど、シンジョウ隊員相手に言ってんの確信犯にしか思えないんだよな...w

 

ブレーザー感想&怪獣語りに熱が入って執筆ペースが持ち直したと思ったら、今度はそっちに熱が入りすぎてまたしても長らく放置となってたティガ感想、久々に更新です ブレーザー関連が一区切りついてほんとにマイペースにぼちぼちと書いてく感じになりそうだけど、まぁ止めるつもりだけはないので気が向いた時更新されてるか見に来るくらいの感じでお付き合いください 元々趣味みたいなもんだしこのくらいの感じで良いのかもだが

 

てことで今回はティガ怪獣メジャーどころの一角であるシルバゴンの登場する第26話。前回はキリエルを交えてティガのメインのテーマにグッと切り込んでいく濃いめのエピソードでしたが、今回はオーソドックスな怪奇モノ・怪獣モノテイストのエピソードということで、シンプルな構成ながら見所盛り沢山で盛り上がる一本となっていましたね。次のエピもちょっと重めなメッセージ性が入るし、次の次に至ってはよりハードで重厚な話になるから、25話に続くその間に挟まるエピソードとしては分かりやすめのストーリーが絶妙なバランスだったわね しかし「悪魔の審判」で始まり「うたかたの...」で終わる7巻、濃密すぎるな改めて

 

今回のストーリーは、ごく普通の家族がふとしたことで日常と非日常の境界を越えて怪奇の世界へ迷い込んでしまう不穏な導入からスタート。雪の残る見知らぬ森の中を彷徨い歩くシチュエーション、そうして辿り着く不気味に積まれた廃車の群れとその中に横たわる人骨という不吉で不穏な構図などのホラー的な演出を通してじわじわと増していく不穏さや不安感を刻んできて、それが極まり切ったところでドンとシルバゴンが現れ追ってくるという、段階的に恐怖感を煽る演出が目を惹いたところでありました。普通の人間が怪奇摩訶不思議な世界に巻き込まれて追い立ていく様は(GUTSが途中まで介入してこないことも相まって)ウルトラQさながらであり、ある種原点回帰的なウルトラシリーズのテイストをかなりしっかりと踏襲し魅せてきてるとこが面白かったですね。古き良きというかなんというか、やっぱウルトラシリーズと言えばこの怪奇色のプッシュが一番安心感ありますね グッと引き込むものがある(その上で「カーナビ付きの車」というちょっと現代的/近未来的な要素の入れ込みや「バミューダ・トライアングル」の例示が、昭和シリーズから時代的に一歩進んだ感じやティガのオカルティックなタッチの印象付けに繋がっててただ古臭いだけになっていないのも絶妙)

 

からの後半では、駆け付けたGUTSをも巻き込みガギⅡやシルバゴンといった怪獣達が更なる波乱を巻き起こしていく流れが展開。先にも挙げた「怪獣無法地帯」や「怪彗星ツイフォン」にも通ずる複数の怪獣達が現れ人間達に襲い掛かったり互いに迫力満点に衝突したりする回は、怪獣達の大暴れやそれに相対する防衛隊およびウルトラマンの奮闘がパワフルに描かれるストレートな対怪獣活劇の面白さが出るところが魅力なわけですが、今回は前半が怪奇ホラーテイストだった分一気にその辺も痛快さが出るコントラストも効いててとても良かったですね

何より正統派のモンスターパニックで魅せた大暴れが印象深かったガギの再登場(ガギⅡ)そのガギを真正面から下しティガをも苦戦させる更なる大暴れで魅せてきたシルバゴン、という過去エピ怪獣(の亜種)再登場と新怪獣堂々参戦の多段構造で怪獣達のインパクトを丁寧且つ豪快にぶち上げてくる見せ方、これが実に巧くて面白いんですよね アナログなパントマイムによってちょっとシュール気味に表現されるバリアの描写液体窒素の装備さえあれば...!」というムナカタ副隊長の台詞といった第10話で印象深かった先代ガギの演出や設定をしっかり踏襲してガギの強烈さ・鮮烈さを改めて印象付けつつ、その上でガギⅡのバリアを腕力のみで破壊し、ガギⅡを真正面から叩き伏せ倒すシルバゴンの強さを劇的に引き立てることで、観る側にシルバゴンの「コイツはヤバいぞ...!」というところを直感的に感じさせてくる、怪獣の魅せに凄く真摯なギミックの組み立てが実に気持ち良かったなぁと。シルバゴンの“前座”でこそあれ“噛ませ”ではないというか、ガギⅡをしっかり「ならでは」な特性や技の演出を見せ切ってしっかり立てるという、ニュースターのシルバゴンと並列する主力選手として扱われてるとこが良いんすよ

 

そしてそれをしっかり踏まえたからこその、特殊な能力は無いながらもシンプルに強い強敵として引き立ったシルバゴンの存在感も非常に良きでありましたね。ガギⅡをねじ伏せた圧倒的なパワーも去ることながら、ゼペリオン光線の直撃に耐えたりパワータイプを直接ねじ伏せたりとティガ戦でもそのフィジカルを見せつける様がとても気持ち良かったわね パワータイプの力が通用しないなんて...!自体は割とよくあるパターンではあるが()  羊さながらな巨大なツノと厳つく食いしばったような悪魔や閻魔を思わせる相貌で表現された凶悪さ、筋肉質な隆起が全体のマッシブさを引き立て「パワー系の怪獣」としての説得力を高めてるシルエットと、シンプルながら上手く纏まったデザインの力強さも凄く惹かれるよなぁ 実はシーリザーのスーツガギの巨大なムチの造形物のミキシングによる改造(ガギのムチは尻尾に流用)なのも含めて秀逸で素晴らしい(腐敗して崩れかけたシーリザーの体表筋肉質な隆起に変えたのマジで天才的ですよね こういう見事なアレンジこそがウルトラ怪獣スーツ改造の醍醐味ですよやっぱ)

 

かくしてティガをも苦戦させるシルバゴンのパワフルさでもたらされるピンチがスリリングに展開されるも、ここでシルバゴンと邂逅した一家の助言によりシルバゴンの「視力の悪さ故に動かないものは見えない」という弱点が明らかとなり、それを受けたティガの機転で逆転!と前半パートの伏線を手堅く活かす形で描かれる怪獣の特性を紐解いての逆転の展開がクライマックスの良い盛り上がりとなりました。怪奇ホラー的構図が恐怖感を煽る前半、怪獣達の怒涛の大暴れが描かれる後半、とずっとスリリングな画が続いてたところからクライマックスはまさかのだるまさんがころんだ戦法で強敵シルバゴンを翻弄して倒すというコミカルな風味になってくシュールさ、やっぱりいつ見ても面白いですね。w  真面目にだるまさんがころんだするティガ...() まぁ絵面こそかなりふざけてるけど先にも述べたようにここまでがスリリングで緊張感もある流れ続きだったわけだし、そのバランス感としては良い塩梅かもしれない  しかしティガの光線やタイプチェンジのモーションを興味津々で真似するところや、にだるまさんがころんだ戦法を取られて一転翻弄されるシュールな絵面など、ちょっとおばかでコミカルなところも見せてたのがキャラクター的な愛嬌になってて良いですよねシルバゴン ポーズの真似して何も出ないので「なんでー!!」みたいにジタバタしたり、動かないティガを捉えられなくてすぐそっぽ向いてしばかれたり、この抜け感が凶悪さとのギャップで良い味であった  こういう複数怪獣登場エピのガキ大将的存在でちょっと頭が悪い人間臭さが特徴の力自慢怪獣という趣もあって「平成のレッドキング」として評価されてるのも含めて総じて良い怪獣よねシルバゴン 元々第26話自体が「多々良島をやってくれ」というプロデューサーからのオーダーでできたエピだったそうだし意識してるのは確実であろう

 

そしてラストではGUTSの面々、迷い込んだ一家共々魔境より帰還、でしっかりと気持ち良く締め。パパさんの家族愛とムナカタ副隊長の家族同然な部下達への思い入れを重ねて良い感じに合流させるドラマ的な着地も含め良いオチであったね  魔境に迷い込み怪獣達に追われる中で家族としての繋がりを改めて強め合った一家のドラマが最初から最後まで話全体をさり気なくもグッと引き締めていて良い味だった いつもの面子と違うゲスト主体だからこそのドラマの広がりというのもウルトラシリーズの横の広さの魅力の一端として好きなところですわねやっぱり 尺的な関係とか1年近いスパンでやる上での構成の難しさとかもあるだろうけど、ウルトラシリーズをはじめとしたこの手の作品達にはやっぱゲストエピも大切にしてって欲しいね...

 

 

以上、ティガ第26話でした。ウルトラシリーズならではの怪奇SFホラーテイストを導入として、複数の怪獣の大暴れやそこからの逆転といった痛快・爽快な展開で魅せる一連の流れが程良いドラマパートも合わさってしっかりカチッと纏まっていて、オーソドックスながら面白いエピソードでありました。見所多しでありつつ、総じて比較的ライトで見やすい一本として良い味わいになってましたね 。ガギもシルバゴンもしっかり魅力たっぷりに描かれていて怪獣特撮としても実に良質であった やっぱ怪獣はそれに向き合う人間達の描写も含めイキイキ描かれてこそですよ

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた